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“4MIMO”で性能2倍、KDDIがLTE-Advanced向け小型アンテナを開発

 KDDIとKDDI研究所は、内部構造の工夫により従来のアンテナと同じサイズながらアンテナ素子を増やしたLTE-Advanced向けの小型アンテナを開発した。建物が入り組む都市部での利用が想定されたもの。今後、実用化に向けてさらに検討が進められる。

 今回開発されたアンテナは、これまでと同じサイズの筐体で、性能を2倍に高めたもの。従来はアンテナ2本分の機能を持つ、いわゆる“2 MIMO”(Multi Input/Multi Output)の性能を持っているが、今回は、その倍になる“4 MIMO”を実現。2 MIMOのアンテナ2本を離して設置し、4 MIMOにするのではなく、1つの筒状の筐体内に、アンテナ素子を備える反射板を2枚、90度交差させる形で設置することで、4 MIMOを実現した。

 実験局を使って、都市部の東京都千代田区と大阪府大阪市、そして郊外の宮崎県日南市でフィールドテストを行ったところ、建物が密集して電波がさまざまな角度で乱れ飛ぶ都市部では効果的に動作する一方、障害物の少ない郊外では大きな効果がないことが裏付けられたという。もともと今回の技術は、通信が混雑する都市部において、場所をとらずに通信効率を向上させるために開発されたもの。実験は1.5GHz帯の電波を使ったが、将来的には3.5GHz帯のLTE-Advanced方式で、今回の新技術が活用される見込みで、今後はさらなる小型化を図るのか、あるいはコストダウンに向けて進めるのかなど、方向性や課題を検討しながら、実用化を目指す。

関口 聖