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ドコモのTizenスマホはまだ見えず、キーパーソンの杉村氏に聞く
(2013/10/31 20:35)
HTML5アプリやネイティブアプリが利用可能、そして完全にオープンなプラットフォームだ――iOS、Androidに続く“第3のスマートフォン向けOS”の座を狙う存在の1つ、Tizen(タイゼン)はそうした特徴を打ち出して、メーカーや通信事業者にとって使いやすいプラットフォームを目指している。
31日、インテルが都内で開催したプライベートイベントにおいて、Tizen関連のセッションが行われ、キーパーソンが報道陣からの質問に回答。Tizen Associationのチェアマン(議長)であるNTTドコモ プロダクト部技術企画 担当部長の杉村領一氏は、同社が2013年後半にも投入予定のTizen搭載スマートフォンについて「現在、最終的な努力を続けているところ。一番良いタイミングを見計らっている。既に実機は動作しているが、発表時にお披露目する」と述べるに留まる。一番良いタイミングという表現に対して質問が出ても「これ以上はコメントできない」として明言を避けた。
また、同氏は「さほど遠くないと思う」と語り、グローバルでの動きと協調することの重要性も指摘。海外で発売されるタイミングとあわせ、国内でも提供される可能性がある。
Dynamic BoxとDrop View、そしてTizen 3.0
今回のセッションで、現在のTizenの目玉機能として紹介されたものが「Dynamic Box(ダイナミックボックス)」と「Drop View(ドロップビュー)」だ。どちらもウィジェットをベースに、使い勝手の向上を図る機能だ。
たとえば野球速報のウィジェットでは、一見すると、現在のイニングでの得点のみ表示される。しかし「Dynamic Box」を採り入れたウィジェット、下方向へフリックすると「Drop View」として、そのイニングまでの経過が表示され、投手や野手、球場の機構など詳細を示せる。Androidのウィジェットも、タップすれば詳細を確認できるものはあるが、その際には1つのアプリとして起動して全画面表示になる。Dynamic BoxとDrop Viewは、ホーム画面のスクリーン上で、ウィジェットの表示サイズを拡張して、コンテンツをリッチに見せるものだという。
現在のTizenは、バージョン2.2で、モバイル向けとIVI(車載情報機器)向けになっている。そのモバイル向けもハイエンド用、ミドル~ローエンド向けに分かれる。2014年第2四半期には、Tizen 3.0へとバージョンアップし、スマートテレビ向けなど、他の機器向けのプロファイルも登場する予定だ。スマートフォンと車載機器のどちらが主流になるのか、という点について、杉村氏は「Tizen Associationは、いわば共和国で進めている。トップダウン(上からの指令)では広がらない」として、採用メーカー次第との見解を示した。
Tizen向けのアプリストアは端末にプリセットされる形。日本語向けアプリの数は多くない、とのことだが、Tizen側としてはクオリティ重視で進めるという。
パナソニックとNECのスマホ事業撤退は……
国内のモバイル業界では、パナソニックとNECカシオが個人向けスマートフォン事業から撤退した。パナソニック出身の杉村氏は「個人的には、身を切られるような辛さ」と語る。
そもそもTizenは、パナソニックやNEC、ドコモが手がけたソフトウェアプラットフォーム「LiMo」を源流の1つとしている。実際、Tizen Associationでもパナソニックはパートナー企業として参画している。ところが、スマートフォン事業から撤退となった。杉村氏は「(前NECカシオ社長の)田村氏とは、エスティーモ社(NECとパナソニックの携帯ソフト開発会社でLinuxベースのプラットフォーム開発を手がけた。2008年清算)でも同じ釜のメシを食った。Tizenを発展させて、(撤退した2社に)もう一度戻ってきてもらえるようにする、ということが個人的なコミットメント」と決意を示した。