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ドコモとVisa、クレジットカードのように使えるプリペイド決済

 NTTドコモとビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は、モバイル端末向けに特化した、クレジットカードと同じように使えるプリペイドカードサービス「ドコモ口座 Visaプリペイド」を9月18日より開始する。

「ドコモ口座 Visaプリペイド」

 今回開始される「ドコモ口座 Visaプリペイド」は、従来からドコモユーザー向けに提供されている「ドコモ口座」と、Visaのプリペイドカード決済のサービスを合わせたもの。ユーザーは「ドコモ口座」を開設し、Visaプリペイドの設定を行えば、すぐに利用できる。

 「ドコモ口座 Visaプリペイド」は、事前審査が不要で、インターネット上の通信販売サイトなどで利用できるネット専用のバーチャルカード。プラスチックカードは発行されないが、クレジットカードと同じように使えるため、さまざまなWebサイトで利用できるのが特徴。18歳以上で利用できる。カードの名義は「ニックネーム」としてアルファベットで自由に指定できるほか、VISA認証サービスにも対応している。カード番号はバーチャルカードとして画面上に表示され、「ドコモ口座 Visaプリペイド」のWebサイトにログインすればいつでも表示できる。

 「ドコモ口座 Visaプリペイド」のプリペイドカード(バーチャルカード)の残高は、ドコモ口座の残高と連動しており、予めドコモ口座に入金した分だけを利用できる。

 「ドコモ口座 Visaプリペイド」には、有効期間が10日間という使い捨て型の「ワンタイムカード」と、有効期間が3年間の「レギュラーカード」が用意されている。

 「ワンタイムプラン」はワンタイムカードのみを発行するプランで、ワンタイムカードの番号の発行が1回につき105円。2013年12月末までは発行料は無料になっている。10日間の有効期間のうちは、クレジットカードと同じように使え、残高が無くなればドコモ口座に入金することで再び利用できる。残高が残っている状態で有効期間が過ぎた場合、カード番号は利用できなくなるが、ドコモ口座の残高としてそのまま残るので、引き続きドコモ口座のサービスに利用できる。

 「定額パックプラン」ではレギュラーカードが提供され、発行されるカード番号の有効期間は3年間となっている。手続きを行えば、3年経過後も同じ番号を継続して利用できる。「定額パックプラン」ではカード発行手数料は無料だが、月額利用料として月額210円がかかる。「定額パックプラン」ではまた、レギュラーカードとは別にワンタイムカードを何枚でも発行でき、こちらも発行手数料は無料。

 10月31日までは、「ドコモ口座 Visaプリペイド」で決済を利用したユーザーから抽選で50人に1人に、全額キャッシュバック(最大10万円)を行うキャンペーンも実施される。

「ドコモ口座 Visaプリペイド」ワンタイムカード
レギュラーカード
「ドコモ口座」開設後のサービス利用の流れ

 「ドコモ口座」は、ドコモのユーザーなら簡単に開設できる口座サービスで、コンビニやATMから自分で入金したり、ほかのユーザーからの送金や、企業からの送金にも対応したサービス。ドコモ口座に入金されているお金は、決済での利用や銀行口座への払い出しなどが可能。ドコモ口座の受入限度額は50万円で、「ドコモ口座 Visaプリペイド」の利用限度額もこれに準じ、月50万円までとなっている。対応端末はドコモのFOMAまたはXiに対応した端末で、スマートフォンではspモードメールに対応することが条件。ドコモが販売する「iPhone 5s」「iPhone 5c」でも、spモードメールに対応(10月1日を予定)すれば、利用できるようになる。

カード決済、電子決済に伸びしろ

ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役の岡本和彦氏

 17日には都内で記者向けに発表会が開催された。ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役の岡本和彦氏は、同社が提供するプリペイドカードサービスが、日本でも利用されているVisaのクレジットカードサービスと同じように使えると紹介。一方、日本ではクレジットカードでの取引自体が、個人消費の14%程度にとどまり、「まだまだ消費決済における場面では、現金が多い」と指摘する。

 Visaのワールドワイドでの取引ではポストペイドのクレジットカードよりも、即時決済のデビットカードとプリペイドカードの合計が6割以上を占めるとするデータを示し、日本のプリペイド型の決済サービスについて「まだまだ成長していくと確信している。伸びは著しいものがある」と期待を語った。

 岡本氏はまた、2020年のオリンピック開催の話題に触れて、「キャッシュレス・オリンピックにしたい。それをおもてなしのひとつにできれば」と語り、クレジットやプリペイドを含めて、さまざまな決済サービスを推進していく方針を明らかにした。

便利で安心・簡単に使える

NTTドコモ スマートライフビジネス本部長の阿佐美弘恭氏

 NTTドコモ スマートライフビジネス本部長の阿佐美弘恭氏からは、具体的にサービスが解説された。阿佐美氏は、「Eコマースの需要や、興味のある方が増えているが、支払手段も多様化が望まれている。プリペイドサービスにVisaさんと一緒にチャレンジするもので、両社の思いが合致した取り組み。便利で安心・簡単に使えるプリペイド機能を提供する」と説明。ワンタイムカードなどは特に、クレジットカード番号の登録や入力に不安のあるユーザーに最適であるとした。

 ドコモ口座の開設数は、阿佐美氏によれば「数十万規模」とのことで、質疑応答の時間には規模が大きくないのではないかと疑問が投げかけられたが、これまで送金などを中心にしてきた「ドコモ口座」において、新たにEコマースに利用できるという訴求を行うことで、利用者は増加する見込みであるとした。

 質疑応答ではまた、実店舗の店頭でも利用できるようなサービス展開が聞かれたが、プリペイドの残高を即時に照会できるシステムではないため、「オフラインでの利用は考えていなかった」と回答されている。

太田 亮三