ドコモと東大病院、携帯利用の外来患者受付システムなどを開発


 NTTドコモは、東京大学医学部付属病院(東大病院)とともに、携帯電話を利用した4つの医療支援システムを開発した。

 ドコモと東大病院では、2009年より医療情報に関する共同研究を進めてきた。その成果として、今回、「携帯電話を用いた外来患者受付システム」「携帯電話を活用した2型糖尿病患者の自己管理支援システム」「遠隔での心電図診断を可能とするクラウド型モバイル12誘導心電図システム」「スマートフォンを利用した個人医療健康情報管理システム」の4つのシステムが開発された。

 まず外来患者受付システムは、携帯電話の位置情報機能を利用し、病院から1.4kmの圏内に患者が入ると携帯電話へ診察受付が案内され、病院へ行く前に受付手続きを行える。自分が診察を受けるまでの待ち時間がどの程度かかるかわかるようにするため、「○○時予約の患者まで呼ばれた」といった情報を確認でき、診察の順番が来たら携帯電話宛てに通知される。また診察料の支払についても、順番が来たら通知してくれる。

 同システムは2011年11月~2012年6月まで、東大病院で実証実験が行われた。患者からは待ち時間を有効活用できた、あるいは診察までの進捗状況がわかりやすかったといった感想が得られており、今後、東大病院での実用化を目指すほか、他の病院での導入を図る。

携帯電話を用いた外来患者受付システム

 このほか、「携帯電話を活用した2型糖尿病患者の自己管理支援システム」は糖尿病患者が日々の食事内容や運動内容を携帯経由でクラウドサーバーへ送り、そのデータから健康指導のアドバイスが得られるというものになる。

携帯電話を活用した2型糖尿病患者の自己管理支援システム

 「遠隔での心電図診断を可能とするクラウド型モバイル12誘導心電図システム」は、急性の心筋梗塞が起きた患者を救急車で医療機関へ送る際、救急車内で計測した心電図をモバイル機器からクラウドサーバーへ送信し、専門医が診断して、搬送先を指示したり、病院への受け入れを指示したりする。現状は、救急車内でこうした診断を行うのは難しく、専用の治療施設を持つ病院への搬送が遅れるケースがあるという。

遠隔での心電図診断を可能とするクラウド型モバイル12誘導心電図システム

 「スマートフォンを利用した個人医療健康情報管理システム」は、大規模な災害、あるいは大規模なシステム障害が発生して、クラウド上の個人の医療データへアクセスできない状況での利用が想定されているシステム。スマートフォン内に、既往歴や検査結果などの医療データ、あるいは自宅で測定した血圧、体重、服薬状況などを保存しておき、定期的にクラウドと同期しておく。クラウドにアクセスできない、いざという時に備えたシステムとなる。

スマートフォンを利用した個人医療健康情報管理システム

 ドコモと東大病院では、7月18日から開催される「国際モダンホスピタルショウ2012」で展示する。




(関口 聖)

2012/7/17 17:22