エリクソンがネットワークのテスト施設を公開、VoLTEをデモ


エリクソンが開設したテスト施設「エリクソン・ジャパン・テスト・エンバイロンメント」

 エリクソン・ジャパンは21日、同社が横浜市内に移転開設したネットワークのテスト施設「エリクソン・ジャパン・テスト・エンバイロンメント」を報道関係者向けに公開した。施設内の設備を紹介するとともに、LTEを用いた音声通話「VoLTE」のデモなども実施した。

 「エリクソン・ジャパン・テスト・エンバイロンメント」は、エリクソンが通信インフラを提供する3GやLTEのネットワークなどのテスト施設。横浜市内の別の拠点にあったテストプラントに加えて、スウェーデンの開発組織の一部が移転し、開設された。

 公開に先立って挨拶したエリクソン・ジャパン代表取締役社長のヤン・シグネル氏は、「モバイル分野で日本は先進的な市場であり、新しい技術がいち早く使われる国。ネットワークを全く問題のない状態で提供するためにはテストが重要であり、そのための施設をここに作った」と述べた。

 同施設は、テスト作業を行うコントロールルームやデモルーム、外部からの電波が遮断された環境で端末を持ち込むシールドルーム、交換設備、基地局などで構成される。業界標準の安全性やセキュリティを満たすとともに、電力やスペースを有効活用する最適化されたデザインとなっているのが特徴。また、施設外部からのリモートアクセスが可能で、外部からでもテストを行える。

 施設を実際に使ったデモとして、LTEネットワークを用いた「VoLTE」の通話テストも公開された。回線交換がなく、すべてパケット通信で処理を行うLTEでは、IP電話として通話が実現され、ビデオ通話やファイル共有などの拡張が可能。発話ボタンを押してから相手の電話機が鳴るまでの「コール・セットアップ」にかかる時間が短いのが特徴で、電波の利用効率も高いほか、遅延も現状と同程度に保たれるという。シールドルーム内で行われた通話テストでは、2台のスマートフォンの片方から発信し、ほとんど遅滞なくもう一方のスマートフォンが鳴る様子を確認できた。

 また、携帯電話が移動したときのトラフィックの変化をシミュレーションするデモも披露された。実際の商用ネットワークでどのようなことが起きているかをシミュレートすることができ、ログや信号強度などを確認してトラブルシューティングも可能という。同様のシミュレーションはスウェーデンでも行われているが、スウェーデンで行われいるのは世界向けであり、同施設では日本向けのシミュレーションが行われる。新しい製品や技術がいち早く使われる日本でのシミュレーションにより、エリクソンが提供するネットワークに与えられる新たな影響を把握できるとのこと。

テスト作業を行うコントロールルーム外部からの電波が遮断されるシールドルーム

 施設の公開後には、エリクソン・ジャパンCTOの藤岡雅宣氏により、5月30日から開催される「WIRELESS JAPAN 2012」の出展の事前説明が行われた。同社の出展のメインテーマは「Networked Society(ネットワーク化社会)」となり、LTE関連や次世代パケットコア関連、通信サービス関連、M2M関連など、8つのテーマでコーナーを設け、デモや展示を行うほか、ミニセミナーも実施される。

「ワイヤレスジャパン2012」の出展の事前説明を行う、エリクソン・ジャパン CTO 藤岡雅宣氏エリクソン・ジャパンがワイヤレスジャパンで出展するブースのイメージ図

 

(鈴木友博)

2012/5/22 12:00