グーグル版“おサイフケータイ”「Google Wallet」


 米グーグルは、金融機関のCitiやクレジットカードのMasterCard、電子決済サービスのFirst Data、通信事業者のSprintと協力し、新サービス「Google Wallet」を発表した。Androidアプリは無料で利用できる。現在、実証実験が進められており、近日、米国の一般ユーザーも利用できるようになる見込み。

 「Google Wallet」は、非接触IC「NFC」を搭載する携帯電話で利用可能なサービス。日本では、非接触IC「FeliCa」搭載の携帯電話で、決済サービスや会員証、交通チケットなどが利用できる「おサイフケータイ」が2004年から提供されているが、米国でもGoogleが主導する形で、「かざして支払う」といった使い勝手のサービスが登場することになった。クレジットカードや会員証、ギフトカードが利用可能とされ、将来的には航空券、鉄道チケットなども取り扱えるようになるとのこと。返品もできる。

 グーグルでは、本サービスが事業者・消費者双方にとって、購買体験の改善に繋がるものと位置付け、支払いがより簡便になり、クーポンや会員向けサービスの拡充できるとしている。

 対応機種は、Sptintで利用できるNexus S 4G。対応するサービスは、Citiの「Citi MasterCard」、グーグルの「Google Prepaid Card」、提携量販店のギフトカードとなる。Citi MasterCardでは、MasterCard提供の非接触決済「PayPass」対応のユーザーが利用できる。また「Google Prepaid Card」は、MasterCardとMoney Networkが運営する仮想のプリペイドカードで、手持ちのクレジットカードを使って前払いできる。他のカードも利用できるよう、Googleでは活動しているとのこと。どちらのカードも、審査なしで最大100ドル(約8100円)まで利用できる。圏外でも利用できるが、携帯電話の電源はONになっている必要がある。電池残量がなければ利用できない。

 セキュリティ面では、利用前に暗証番号(PINコード)の入力が必要で、カード情報は暗号化されて端末内のセキュアエレメントと呼ばれる場所に格納される。セキュアエレメントは、Android端末のメモリとは分けられた、独立した存在で、認証されたプログラムだけがセキュアエレメントにアクセスできる。リーダーライターにかざしたとき、やり取りされる情報は、MasterCardのPayPassの暗号化技術で保護される。もし端末を紛失した場合、これらの仕組みがGoogle Wallet内のデータを保護する一方、ユーザーは金融機関に紛失届を行うよう案内されている。

 米国内の対応店舗のうち、購入や返品、会員証が利用できる「Google SingleTap」に対応するのはトイザらス、Macy's、Foot Locker、サブウェイ、Walgreensなど。購入のみ可能な店舗/サービスは、スポーツオーソリティ、コカ・コーラなど。

 このほか、Google Walletと連携する割引情報配信サービス「Google Offers」も紹介されている。

 

(関口 聖)

2011/5/27 12:18