KDDI田中社長、「ワクワク感を体現した」夏モデルを紹介


スマートフォンを手にする田中社長

 KDDI、2011年夏モデルの発表会を開催した。KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が登壇し、ラインナップにかける意気込みを語った。

 田中氏は冒頭、「auらしさとは何か。それは、ワクワク感である」と、同氏が社長に就任してから、新商品発表会などで繰り返し訴えてきた内容を再度示す。この夏の商戦期を戦うモデルは「選べるラインアップ」「充実のネットワーク」「とびっきりのコンテンツ・アプリ」という3点で紹介し、「結構期待できるかなと思っている」と自信を見せた。


夏モデルのポイント夏モデルの全ラインナップ

 

スマートフォン6機種発表、今後はauサービスに標準対応へ

KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

 スマートフォンのラインナップは全6機種で、すべてAndroid 2.3を搭載すると発表された。今夏のスマートフォンラインナップのコンセプトは「みんなの選べるスマートフォン」とし、特徴的なランナップを次々に紹介した。10キーを搭載した「AQUOS PHONE IS11SH」については、「スマートフォンはミッドレンジのユーザーにも広がっていくと思う。テンキーが使いたいという要望も聞いている。フィーチャーフォンでおなじみの機能も搭載されている」と、スマートフォンのユーザー層の拡大にあわせたモデルであると説明。「Xperia acro IS11S」については『ファンの皆様 お待たせしました』とスライドを表示し、「グローバルでありながら、“ガラスマ”(ガラパゴス スマートフォン≒日本向け機能を搭載したスマートフォン)の機能も入れた」と日本市場向けの機能を搭載したモデルになっていることをアピールした。

 スマートフォンに対する取り組みでは、2011年秋以降に発売するモデルについて、「EZwebのEメール」「Cメール」「auかんたん決済」「au one Market」の4つの機能を発売時に標準で搭載していく方針を示し、「Xperia acro IS11S」についても9月下旬以降に同様の機能を提供するとした。発表会では、「htc EVO WiMAX ISW11HT」にも同様の機能を提供することが田中氏の口から表明されている。同氏は「グローバルフォンと、“ガラスマ”の区別をなくし、すべての端末でこの4つを提供していきたい」と、標準対応に意気込みを見せた。

 東日本大震災でも注目を集めた緊急地震速報については、今後はスマートフォンでも全機種で対応していく方針を示し、一部はアップデートで対応していくとした。

 また、さまざまなファッションブランドとのコラボレーションによる、スマートフォン向け周辺機器を充実させる方針で、「au one Brand Garden」などで販売される予定。さらに、標準的な周辺機器についても、スマートフォン向けラインナップを拡充し、microUSBケーブルを装備した「共通ACアダプタ03」を「パワーのあるACのアダプターで、充電時間は半分ぐらいになる」とスマートフォン向けに最適化されている仕様を紹介したほか、持ち運べる外部バッテリー「ポータブル充電器02」もラインナップに加えたことを紹介した。

4つのサービスを標準搭載へスマートフォンも全機種、緊急地震速報に対応へ

 

iida「INFOBAR A01」は「スマートフォンでもここまでできる」

 今夏のラインナップに加わることになった、iida初のAndroid搭載スマートフォン「INFOBAR A01」については、「デザインのauがやると、こんな風になる。私自身も使っているが、結構いけるんじゃないかと思う。スマートフォンは似たようなものが多いという声もあるが、スマートフォンでもここまでできる」と、INFOBARの世界観を反映させた個性的なデザインに自信を見せたほか、「ずっと大事にしてきたワクワク感を体現したく、外見だけでなく中もデザインした。“デザインのau”を大事にしたい」と語り、iidaとして開発したUIも動画で紹介。合わせて、iidaブランドで豊富に周辺機器が展開されることも紹介された。

発表から10年を迎えるINFOBARの歴史深澤直人氏がデザインを手がける

 

フィーチャーフォンは「セルフメニュー」搭載、Skype auに対応

 フィーチャーフォンも6機種がラインナップされているが、田中氏からは、冒頭に「セルフメニュー」が紹介され、端末に搭載されるさまざまな機能から好みの項目を自由に選んでメニューとして設定できる様子が示された。この機能は夏モデルに標準搭載され、専用のキーも搭載され手軽に使えるようになっている。

 また、無料の通話やメッセージングサービスで展開されている「Skype au」がBREWアプリとしてフィーチャーフォン向けに提供されることも明らかにされたほか、スマートフォン向けを含む「Skype au」のサービスが12月以降も一部を除き月額無料で提供されることが発表された。

フィーチャーフォンに「セルフメニュー」を搭載Skype auもフィーチャーフォン向けに提供

 

約10万カ所を目指す公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」は無料で提供

 端末ラインナップに続いては、ネットワークサービスの拡充について紹介が行われた。田中氏からはこれまでも「マルチネットワーク」をキーワードに、さまざまな通信方式を組み合わせてサービスを提供していく方針が語られているが、17日の発表会では、全国を対象にした公衆無線LANサービスを、スマートフォンユーザー向けに無料で提供することが明らかにされた。当初は1万カ所のスポットで提供を開始し、2012年3月末には10万カ所での提供を予定する。「国内最大級に、一気に拡大する」と意気込みを見せ、「9割を自社のアクセスポイントでカバーしたい」と、他社との提携などではなく、自社で構築していく予定。その大部分は、アクセスポイントのバックボーンにWiMAXを活用する方針で、投資額は数百億円規模になる見込み。

 また、スマートフォン向けの公衆無線LANサービスを本格的に提供するにあたり、接続ツールも提供される。無線LANと3G通信を自動的に切り替える「かんたん設定」が提供され、KDDI研究所の技術を取り入れ、通信速度の差をモニターし、電波の強さに応じて接続を切り替えるといった利用も可能になるという。

約10万スポットを目標とした「au Wi-Fi SPOT」接続ツールも提供される

 

コンテンツはFacebookと連携、LISMOには聴き放題サービスも

 コンテンツ・アプリへの取り組みでは、月額1480円で聴き放題となるスマートフォン向けの音楽サービス「LISMO unlimited」や、LISMO WAVEの新しいチャンネル「Musiclips」が解説された。

 また、同日発表されたFacebookと協力する連動機能では、「jibe」でFacebookと連動できる機能や、「INFOBAR A01」でウィジェットが搭載されるといったコラボレーションを披露し、「さらに相互にコラボして、新しい付加価値を出していきたい」と、今後も連動サービスを拡大していく方針を示している。

 発表会ではFacebook Country Growth Managerの児玉太郎氏がゲストとして登壇し、「日本のモバイル市場は複雑で独特。Facebookでは、米国外では初となる開発拠点を東京に設けた。日本で、今までにないモバイルソーシャルエクスペリエンスを提供する」と意気込みを語り、日本向けの展開を拡充していく方針を語った。

 田中氏は発表会の最後に、「これからのKDDIは“3M”、マルチデバイス、マルチネットワーク、マルチユースを実現していきたい。今日はその触りだ」と語り、今回の発表会で示された戦略を推し進めていく方針を明らかにした。

Facebookとリニューアルした「jibe」が連携Facebookの児玉氏
3Mの実現を目指すKDDIの戦略

 

WiMAX対応端末は「秋にドカンと出てきます」

 質疑応答の時間では、WiMAX対応端末が今夏のラインナップに含まれていないことが聞かれた。田中氏は、「秋まで待ってください。ドカンと出てきます」と答え、秋以降に発表されるラインナップにWiMAX対応モデルが用意されているとした。また、海外メーカーのグローバルモデルについては、「秋以降、グローバル端末も出てくる」と、こちらも秋以降に再びラインナップに加わるとした。

 テザリング対応機種が無い点については、「テザリングでつなく相手はパソコンではないか。スピードが求められ、今のところはWiMAX(対応端末)を中心に考えている。秋以降に期待してもらえれば」と回答し、基本的にWiMAX対応端末がテザリング対応モデルになるという方針を示した。

 東日本大震災の影響については、「少し(発売時期が)遅れるかと思うが、6月末から通常のように出る。夏モデルに影響はない」と、大きな影響は無いとの認識を示している。


 

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(太田 亮三)

2011/5/17 18:45