SIMロック解除でどうなる? ドコモの対応状況をチェック


SIMロック解除対応第1弾となる「らくらくホン ベーシック3」
SIMロック解除の受付方法

 NTTドコモは、4月1日からSIMロック解除サービスを開始するとともに、SIMロック解除に対応した携帯電話の第1弾となる「らくらくホン ベーシック3」の販売も開始した。同社では、今後投入する端末について、原則としてSIMロック解除に対応していく方針を示しており、他社よりもSIMロック解除サービスをはっきりと打ち出している。本稿では、SIMロック解除に関するポイントをチェックしていく。

 ドコモのSIMロック解除サービスは、対応する端末をドコモショップに持ち込むことで、SIMロックが解除できる。その際、手数料として3150円かかる。解除されると、これまでドコモのSIMカードでしか利用できなかった端末が、他社のSIMカードでも利用できるようになる。ただし、端末がサポートする周波数帯や通信方式と合うSIMカードでなければ利用できないので、ユーザー側にも相応の知識が必要と考えた方がいいだろう。

 ドコモ端末の多くはW-CDMA方式を採用し、800MHz帯と2GHz帯がサポートされている。たとえば、KDDIのauでは、周波数帯こそ800MHz帯と2GHz帯でドコモと同じだが、通信方式がCDMA2000方式と異なり、現状ではauとドコモの間でSIMカードの互換性はない。

 W-CDMA方式を採用する国内の携帯電話事業者では、ソフトバンクが1.5/2GHz帯を、イー・モバイル(イー・アクセス)が1.7GHz帯を使ってサービスを提供している。このことから、SIMロックが解除されたドコモの端末では、技術的にはソフトバンクの2GHz帯対応のSIMカードで通信できることになる。逆に、SIMロック解除に対応したソフトバンク端末が登場すれば、技術的にはドコモの2GHz帯に対応したSIMカードでソフトバンク端末が使えることになる。

ドコモの携帯電話をSIMロック解除

 それでは、ドコモのSIMロック解除サービスの詳細を見ていこう。

 まず、ドコモの一般的な携帯電話(フィーチャーフォン)のSIMロックを解除した場合だ。iモードやワンセグ、おサイフケータイ、カメラ、GPS関連、緊急地震速報やソフトウェア更新機能など、端末の各機能・各サービスは他社のSIMカードを挿入すると基本的には利用できないと考えた方がいい。

 逆に、SIMロックを解除したドコモ端末であっても、ドコモのSIMカードを挿して利用すれば、SIMロック解除前と同様に全ての機能が利用できる。通話料やパケット通信料、各種割引サービスは、SIMロック解除前と同様にドコモの契約プランとして利用できる。

 また、SIMロックを解除したドコモ端末でも、故障・修理については通常のドコモ端末と同じように受けられる。ただしドコモの回線契約がない場合は、修理中に代替機の貸出サービスが受けられないので注意が必要だ。

 SIMロックを解除したドコモ端末で、他社のSIMカードを利用している場合の故障・修理対応は、まず端末側の故障なのか、SIMカード側の故障なのか問題が調べられる。端末側に問題がない場合、ユーザー自身でSIMカードを提供する他社の窓口に向かう必要がある。

ドコモのスマートフォンをSIMロック解除

 続いて、ドコモのスマートフォンをSIMロック解除した場合だ。

 フィーチャーフォンと同様に、spモードやドコモマーケット、ワンセグ、おサイフケータイ、ソフトウェア更新機能など、SIMロックを解除してもドコモのSIMカードを利用していれば、通常通り利用できるとしている。

 また、通話料やパケット通信料についても、SIMロック解除後でもドコモのSIMカードで利用すれば、これまで通りドコモのスマートフォンの料金プランのまま利用できる。故障や修理についてもフィーチャーフォンと同様の対応となる。

SIMロック解除したドコモ端末で、他社のSIMカードを使う

 それでは、SIMロックを解除したドコモの携帯電話やスマートフォンにおいて、他社のSIMカードを挿すとどうなるのか。

 この点についてドコモでは、「動作保証しない」と明言している。ただし、国内の携帯電話事業者のSIMカードを挿した場合については、通話とSMSに限って動作検証を実施する。検証結果は随時Webサイトで案内されるが、使える機能やサービスについて、ユーザーはある程度割り切った上で利用していく必要があるだろう。


SIMロック解除時の注意事項他社端末、ドコモネットワークで使う倍の通信料金

他社ケータイをドコモのSIMカードで使う

ドコモminiUIMカード

 SIMロックを解除した他社の携帯電話やスマートフォン、もしくはそもそもSIMロックの施されていない、いわゆるSIMフリーの端末をドコモのSIMカードで利用した場合についてチェックしていこう。

 なお、ドコモでは現在、SIMカード対応の携帯電話やスマートフォンを提供しているが、SIMカード単体としては、SIMロック解除サービスを開始した4月1日より、通常のSIMカードより小さい「ドコモminiUIMカード」も提供している。ドコモでは、FOMAカードのことをSIMカードとは呼ばずに、UIMカードと呼んでいる。本来、SIMカードとはGSM規格上のカードの名称で、3G向けに拡張された規格はUIMカードと呼ぶからだ。

 「ドコモminiUIMカード」は、microSIM規格に準拠した通信カードに位置付けられ、つまるところ、国内ではアップル製の「iPhone 4」や「iPad」などで採用さているmicroSIMカードと同じサイズということになる。iPhoneなどの国内モデルについてはSIMロックがかけられているが、海外ではSIMフリー版のiPhoneなども販売されている。ドコモのSIMカードのラインナップが拡充されたことで、他社の携帯電話やスマートフォンをドコモのSIMカードで利用しやすくなったと言えそうだ。

 ただし、ドコモのSIMカードで他社の携帯電話やスマートフォンを利用した場合、機能やサービスの対応状況について、ドコモでは「動作確認・動作保証はしない」と案内している。その理由をドコモでは、利用できる機能やサービスが制限される場合があり、他社端末の仕様や端末内での動作の全てをドコモ側で把握するのはできないためとしている。

 故障・修理の対応については、まず、ドコモのSIMカードが正常に動作しているかチェックされる。正常に動作している場合、他社の端末側の問題となるため、ドコモでは修理を受け付けない。ドコモショップでは、周辺の他社販売店が案内されるようだ。

他社端末でドコモのSIMカードを使う際の料金

 最後に、ドコモのSIMカードを利用した際の通話料や通信料を確認しておこう。他社の端末で利用する際もドコモの利用契約通り、バリュープランやデータプランが利用できる。

 注意が必要なのはパケット通信だろう。携帯電話をモバイルWi-Fiルーターのように通信モデムとして利用する、いわゆる「テザリング」機能の対応可否によって通信料が異なっている。

・テザリング対応の場合、パケット通信の上限額は1万395円
・テザリング非対応の場合、パケット通信の上限額は5460円/5985円

 「パケ・ホーダイ ダブル」「パケ・ホーダイ シンプル」「パケ・ホーダイ フラット」「パケ・ホーダイ ダブル2」の各パケット定額サービスを契約し、テザリング非対応であることをドコモ側で確認できた端末に限り、定額対応のアクセスポイント(APN)が設定できる。つまり、月額5460円/5985円でパケット通信が利用できるということになる。テザリング非対応が確認できた端末は、随時ドコモのWebサイトに公開される予定となっている。

 一方、テザリング対応もしくは、ドコモ側で対応可否が判定されていない端末については、上限額は月額1万395円となる。これは、パソコンなどの外部接続機器の通信モデムとして利用した場合と同じ条件となり、逆に言えば、上記のパケット定額オプションに加入していれば、テザリング機能を利用してもパケット通信料は1万395円におさまることになる。

 なお、通話などができない定額データプラン契約の場合は、指定のAPNを設定することで、パケット通信料の上限は5460円または5985円となる。

 ここで注意されたいのは、「パケ・ホーダイ」や「パケ・ホーダイフル」「Biz・ホーダイ」契約の場合だ。これらの通信オプションはそもそも、パソコン向けデータ通信が定額対象外となっており、通信料は従量課金の青天井となる。利用する際にはしっかりチェックし、必要があれば、パケット定額オプションの見直しをおすすめしたいところだ。

 



(津田 啓夢)

2011/4/27 06:00