「スマートフォンならハンゲーム」、NHNが携帯事業に注力
NHN Japan 代表取締役社長の森川 亮氏 |
NHN Japanは、ゲームポータル「ハンゲーム」のロゴを刷新するとともに、スマートフォン事業の取り組みを強化していくと発表した。表参道で行われた同社のカンファレンス「HANGAME SMART DAY 2011」において、新しいロゴと事業戦略が説明された。
NHN Japanでは、2010年7月にスマートフォン向けサービスを開始以来、2011年3月までに54アプリを配信し、約300万件のダウンロードを達成している。54アプリのうち、iPhone向けタイトルは30タイトル、残りの24タイトルがAndroid向けとなる。2011年12月末までに、ユニークユーザーで400万人の利用を目指すとしており、これはスマートフォン契約者の4人に1人が利用することになる。
サービスを通じて日本を元気にしていきたい。――NHN Japanの代表取締役社長である森川亮氏は冒頭、そう語った。ハンゲームは、韓国のNHN Corporationの日本法人として2000年9月に設立され、パソコン向けのオンラインゲームなどを提供している。登録ID数は4102万件、最大同時接続者数は20万3000人で、メインユーザーは比較的年齢層の高い男性という。
パソコン向けゲームで成長したきたハンゲームだが、NHN Japanでは次の10年、スマートフォンを成長の柱に据えて注力していく。森川氏は、ネット接続可能な携帯電話の登場によって、携帯電話でコンテンツを利用する流れができたとし、「ガラケー(従来型の携帯電話)も流れの中で成長してきた。ガラケーの時代は江戸時代のように安定してきたが、ここにきて時代が大きく変化していきている」と述べ、ユーザーの興味関心がスマートフォンに移ってきていることを説明した。
2011年末までのスマートフォン利用者を1800万人とし、このうち800万人がゲームユーザーとしている。森川氏は、スマートフォン市場において「スマートフォンなら、ハンゲーム」と認識されれば、モバイル市場全体でも1位になれると話す。男性中心の現在のハンゲームだが、スマートフォン向けに展開することで、若年層や女性層の開拓にも期待できるとした。
森川氏は、従来型の携帯電話向けゲームは簡単なゲームが中心となるため、コンテンツはモノマネになりやすいと語った。スマートフォン向けアプリはある程度の開発期間が必要なため、似たようなコンテンツは開発しにくく、その分よりよいコンテンツを提供しやすいという。NHN Japanでは、まずは利用者数を増やし、さまざまな決済手段、サービス方法で収益に繋げていく考えを示した。
■定番ゲームとリアル連携ゲーム
写真右から毛利氏、加藤氏、博報堂DYメディアパートナーズの須之内元也氏 |
ドル撮!! |
ハンゲームではまず、テーブルゲームなどの定番ゲームコンテンツ「TEIBAN GAME」を拡充する。2011年夏までにiPhone・Android共に、約70タイトルを提供し、ユーザーの裾野を広げていく方針。また、会員登録不要で楽しめる点も特徴となる。
それと併行して日常生活と連動するゲームや、新感覚のゲームを用意する「リアゲー」も提供していく。例えば、「日テレジェニック 2011」のアイドルが登場する「ドル撮!!」は、画面上でポーズをきめるアイドル(動画)と、好きな場所でバーチャル撮影会ができるというゲームだ。日本テレビ放送網の「日テレジェニック 2011」の総合プロデューサーである毛利忍氏は、「スタジオに行かなくても、その場で大好きなアイドルの撮影会ができる。アイドルの寝姿も撮影できる。ゆくゆくは自分の部屋に実際にアイドルがやってくるような企画もやってみたい」などとアピールした。
また、「早朝シーソー」は、目覚ましゲームアプリとなる。ネットワーク上でチームを組み、目覚ましに反応してすぐに起きたり、チームのメンバー同士で起こしあったりすることを競っていく。チーム戦で勝利するとクーポンが入手できる。
「JANPON」は、トーナメント方式でジャンケンをし、最終的な勝ち残った1名に自動車などをプレゼントするイベントアプリとなる。開発したクエイクの代表取締役社長の加藤和宏氏は、「大人数でシステムに負荷をかけていきたい。車では夢が小さい。Googleがもらえるとか、より大きなものをみんなで争奪したい」などと話した。
「リアゲー」ではこのほか、AR機能を利用した怪獣討伐ゲーム「乗換戦記バトステZ」などが紹介された。
NHNグループでは、2010年下期にスマートフォン向けゲームに参入した。定番ゲームなどにより、2011年上期に事業を成長させ、今年下期にはモバイル向けのポータルを牽引するポジションにつきたい考えだ。NHNグループでは社内の開発部隊のほかに、スマートデバイス専門のゲーム開発会社「ORANGE CREW」を設立した。また、今後3年間、日本と韓国のNHNに対して100億円を投資していくという。
2011/4/14 17:55