マカフィー、スマートフォン向けセキュリティ製品アピール


マカフィーの田中氏
マカフィーの石川氏

 マカフィーは、モバイルセキュリティ製品の説明会を開催した。この中でAndroid向けセキュリティアプリなどに関する今後の取り組みが語られた。

 「モバイルの進化はめざましいものがあり、個人も企業もアプリケーションがなければ生活や仕事ができない」――説明会冒頭、マカフィーの取締役常務執行役員 CSB 事業本部長の田中辰夫氏はそう語った。

 同氏によれば、2010年はモバイル向けのマルウェアが前年比46%と伸び、2010年末までに約1000件の報告があったという。また、端末が普及増加ペースに入ったAndroidには、次々に新たな驚異が報告されているとした。説明会終了後に確認したところ、マカフィーではモバイルセキュリティの市場について、国内1500万台市場と想定しているという。

 スマートフォン向けのこうしたマルウェアは、アプリとともにユーザーの端末に忍び込み、個人情報を取得するトロイの木馬型や、通話を全てシャットアウトしてしまうものなど、さまざまな“悪さ”を働く。

 セキュリティという観点では、盗難や紛失に対するリスクというのもモバイルならではのものだ。遺失物の届け出は21万件を超えており、田中氏は、リスクがある以上、それに備えておく必要があると語る。個人でのリスク回避だけでなく、スマートフォンをビジネス活用する場合の為にも企業コンプライアンスを整える必要性を説いた。



 マカフィーでは、2004年よりモバイル向けのセキュリティ製品を投じている、モバイルに関してはいわば“老舗”といえるセキュリティベンダーだ。モバイル向け製品は、BtoBtoCの形で提供されており、国内でその多くは携帯電話事業者や端末メーカーが携帯電話やスマートフォンにプリセットされる形で提供されている。直近では、ソフトバンクモバイルより提供されているAndroidアプリ「スマートセキュリティ powered by McAfee」がそれにあたる。

 マカフィーでは、導入企業がアプリケーションをカスタマイズ提供しやすいよう、アプリを開発しているという。「スマートセキュリティ powered by McAfee」についても、ソフトバンクモバイル側の要望を受けた上で開発されているという。製品としては、ウィルス対策アプリについては、パソコン版とはことなり、新たに開発されたもので、モバイルに特化したウィルスなどにも対応する。

 コンシューマー向けのセキュリティ製品は、ウィルス対策アプリ「VirusScan Mobile」と、端末保護アプリ「WaveSecure」に分類される。「VirusScan Mobile」は文字通り、スマートフォンをウィルスの驚異から保護するアプリで、国内では昨年12月から提供されている。

 もう一方の「WaveSecure」は、端末紛失・盗難時の遠隔ロックやデータ消去機能、位置情報を追跡して端末を探索する機能などが用意されたアプリとなる。こちらは16カ国語に翻訳された提供されている。マカフィーのモバイルエンジニアリング プログラムマネージャー 石川克也氏よれば、ユーザーニーズは、ウィルスよりも紛失・盗難リスクに対するものの方が多いという。

 マカフィーでは、これらのアプリを4~6月にも国内向けに展開する予定だ。説明会終了後に石川氏に確認したところ、まず、携帯電話事業者もしくは端末メーカーに対して、「VirusScan Mobile」と「WaveSecure」の機能を統合したアプリが提供されるという。無料の試用期間を含めたアプリが端末にプリセットされるものとみられ、こうしたアプリの提供後に、国内のAndroid Marketへの展開を計画しているという。


 

(津田 啓夢)

2011/3/14 11:00