KDDIとウェザーニューズ、気象情報サービスで協業


 KDDIとウェザーニューズは、気象情報に関連したサービスで協業し、11月下旬より携帯電話・スマートフォン向けのサービスを開始する。

 今回の協業により、ウェザーニューズが提供中の「ウェザーニュース」がKDDIとの協業により提供される。auの携帯電話基地局には、全国の約3000局に対し気象観測設備を設置、これまでの観測では得られない情報を含め、精度の高い気象データの収集を行う。また、まずはau向けとして気象情報を使ったコミュニケーションサービス「ソラテナ」を11月下旬より試験サービスとして提供する。ソラテナは概要が発表されたものの、詳細な内容や利用イメージは「CEATEC JAPAN 2010」のKDDIブースで公開される。

ソラテナ 利用イメージ

 

 今回の協業ではまず、ウェザーニューズが提供しているパソコンおよびau向け「ウェザーニュース」が協業サイトとなる。au one天気、EZニュースEXの天気情報などもウェザーニューズ提供の天気情報となる。また、後述する携帯電話基地局への気象観測設備の設置により、他社向けも含め、ウェザーニューズが提供するすべての気象情報について精度の向上が図られる。

 協業のポイントとなる携帯電話基地局への気象観測設備の設置は、11月下旬までに東京近郊の約100局に対し実施する。その後、全国を対象に約3000局にまで設置を拡大し、2011年4月に「ソラテナ」の本格サービスを開始する予定。

 気象予測や実況確認に必要な情報は、気象庁のアメダス(AMeDAS)で取得されるデータが一般的で、ウェザーニューズではこれに加えてユーザーからの情報提供やユーザー宅への機器設置を行うことで、独自の情報を収集・分析して気象予測情報を提供している。今回の協業による基地局への気象観測設備の設置は、独自の情報収集の量と精度を飛躍的に向上させるもので、アメダスの全国約1300カ所(降雨)の観測所に対し、全国で約3000カ所と、倍以上の数が設置される予定になっている。

 また、設置される気象観測設備には、アメダスでは取得できない感雨、二酸化炭素、紫外線、一部にライブカメラなどの計測機器も搭載されており、独自のコンテンツ提供に結びつける。紫外線センサーは、ロームが開発したセンサーにより、波長の異なるA紫外線とB紫外線を分けた計測が可能で、より詳細な情報の提供を可能にする。

 携帯電話・スマートフォン向けのサービスとなる「ソラテナ」は、「ソラを見守るアンテナ」をテーマに提供されるサービス。前述の基地局に設置する気象観測設備を“擬人化”し、キャラクター性を持たせて情報を発信するというもので、ユーザーはお気に入りの場所でアンテナを登録すると、アンテナから発信される情報(つぶやき)を専用アプリで閲覧できる。感雨計による雨の降り始めや、気温、気圧、紫外線などさまざまなデータがつぶやきの対象となるほか、長袖がいいかどうかなど、ユーザーからの情報収集も行う。さらに、学習機能を持たせることで、寒さ・暑さの基準など地域で異なる感覚にも対応していく。

 また、位置情報サービスやSNSといったサービスへの応用も検討されており、オープンプラットフォームとして他社の参画も受付ける。法人向けにも、ウェザーニューズの豊富な提携・納入実績を背景に、新しい計測データを含めて提供していく方針。

「実況確認の次元が変わるだろう」

 29日には千葉県で記者向けに発表会が開催された。KDDI 代表取締役執行役員専務の高橋誠氏は、「Androidを迎える時代において、ユーザーとの接点を増やしていきたい。オープンな時代にはより重要になる」と説明。「天気という、誰もがアクセスするものを接点に、エンターテイメントの要素、auならではのものを取り入れる」と独自色に言及するとともに、「今後もいくつか用意している」と、アライアンスの発表が今後も予定されていることを明らかにした。高橋氏は3000局に設置される気象観測設備についても、「世界でも無いのではないか」とユニークで先進的な気象情報サービスの提供に期待を寄せた。

 ウェザーニューズ 取締役の石橋知博氏は、「基地局は、気象観測の観点からも良い場所に置いてあることが多い」としており、電源やネットワークなど、必要な機能や条件がすべて揃っており、「考えれば考えるほど相性が良い」と基地局への気象観測設備の設置を歓迎している様子。「予測」「実況確認」「修正」という3つのフローの中でも、「実況確認の次元が変わるだろう」と期待を込めており、「これまでの会員提供のデータをさらに高度化できる」と、気象予測の精度に大幅な向上が見込めるとした。

KDDI 代表取締役執行役員専務の高橋誠氏ウェザーニューズ 取締役の石橋知博氏
気象観測設備に搭載されるセンサー類
発表会は千葉県の船橋港で公開中の南極観測船「しらせ」上で行われた会場は後部ヘリポート隣接のヘリ格納庫

 



(太田 亮三)

2010/9/29 13:50