SPMT、携帯メモリインターフェイスにパラレル/シリアル切替技術


ジム・ヴェナブル氏

 SPMTは、モバイル機器や家電製品をターゲットとしたメモリインターフェイス技術「SPMT(Serial Port Memory Technology)」の記者説明会を開催した。発表されたばかりの新技術「SerialSwitch」などについて語られた。

 SPMTは、デジタルインターフェイスLSIを提供する米Silicon Imageの100%出資子会社。次世代メモリインターフェイス技術「SPMT」の普及を促進するため、昨年5月に「SPMTコンソーシアム」を設立した。コンソーシアムはSilicon Imageのほかに、ARMやサムスン電子、LGエレクトロニクス、Marvell、Hynix Semiconductorなどが後援している。

 モバイル機器のメモリインターフェイスはパラレル接続が主流だが、SPMTはシリアル接続のインターフェイスとなる。6月、パラレルとシリアルを切り替えられる「SerialSwitch」技術が発表された。

 SMPTのプレジデントであるジム・ヴェナブル氏は、「SerialSwitch」技術について、「従来のSPMTより4倍の帯域幅を半分の消費電力で実現する」と新技術の特徴を語った。主流のパラレル接続型のメモリインターフェイスは、起動時に遅延が少なく、狭帯域においては低消費電力を実現する。モバイル機器における通話やカメラ撮影、音楽を聴くといったアクションは、ほぼこの狭い帯域幅で処理できるが、さらに高いパフォーマンスを求められた場合に、パラレルではその技術上、ピン数が増加しコスト高に繋がる。

 一方シリアルインターフェイスは、起動時の遅延こそパラレルに譲るものの、パラレルよりも広帯域に対応し、広帯域においては省電力化が可能となる。発表された「SerialSwitch」技術では、DRAMコアに対して、パラレルとシリアルの両方のI/Oを持ちデュアルモードに対応することで、狭帯域についてはパラレル接続、広帯域についてはシリアル接続へと切り替えられる。

 SPMT技術では、パラレル接続のメモリインターフェイス「LPDDR2」と互換し、LPDDR2の置き換えが可能。既存メモリコアへの統合もサポートされ、メモリメーカーはコアを再設計する必要はない。チップ当たりの帯域幅は、パラレル1.6GB/sに対して、SPMTは6.4GB/sとなる。「SerialSwitch」技術のパラレルからシリアルへの切替速度は10マイクロ秒。テスト環境にも互換性があり、LPDDR2のテスト環境がSPMTでも利用できる。

 ヴェナブル氏は、モバイル機器の分野で、HDビデオや3Dゲームなど今後さらにより高いパフォーマンスが求められると予測。SPMTコンソーシアムでは、携帯電話やポータブルゲーム、ポータブルナビゲーション端末、ネットブックなどへの採用を見込み、普及拡大を図っていく。コンソーシアム設立時は2013年の搭載を目指し活動していたが、市場拡大・需要の高まりを受け、2011年の終わりにサンプル出荷を開始し、2012年末にも量産出荷する予定という。


 



(津田 啓夢)

2010/6/17 14:07