「F-01B」「F-02B」「F-03B」開発者インタビュー
“ハイスペック+防水”をさらに進化させる富士通
NTTドコモから発売される富士通製のF-01B、F-02B、F-03Bは、12メガのカメラをはじめとするトレンド機能や防水、デザインなど、富士通製端末の充実ぶりを象徴する端末に仕上がっている。セパレートスタイルが話題の「F-04B」は開発中ということもあり別の機会となったが、ユーザーの手元にさっそく届くこれらの3端末について、富士通 モバイルフォン事業本部 マーケティング統括部の増田茂則氏、藤井陽子氏、坂本秀幸氏の3名に話を伺った。
左から富士通の藤井陽子氏、増田茂則氏、坂本秀幸氏 |
――今回お話を伺う「F-01B」「F-02B」「F-03B」について、まずは各機種の開発コンセプトを教えて下さい。
増田氏
基本的に富士通の端末開発では、「デザイントレンドリーダー」「ブロードバンドリーダー」「携帯テクノロジーリーダー」の3つを柱としています。PRIMEシリーズの「F-01B」は「F-01A」(2008年11月発売)の正統進化と呼べる端末で、折りたたみ型で2軸ヒンジの端末として開発しました。直近のモデルである「F-09A」(2009年6月発売)は「スライドヨコモーション」でしたが、これは折りたたみ型とスライド型を交互に開発しているためで、同時期に店頭に並んでも違うモノとして見てもらえるよう意識して開発しています。
「F-01B」「F-03B」の2機種は1220万画素カメラを搭載していますし、3機種とも防水性能を実現しているのもポイントです。「F-01A」で「ハイスペック+防水」を確立しましたが、今回はさらにカメラを1220万画素に強化した点をアピールしていきます。
――1220万画素カメラ搭載モデルは「F-01B」「F-03B」「F-04B」と、4機種中3機種もラインナップしています。
1220万画素カメラの「F-01B」(左)と「F-03B」(右) |
増田氏
PRIMEシリーズでは特に、カメラの性能をユーザーにも分かりやすい点としてアピールできますし、コンパクトデジタルカメラを意識しつつ、いつでも持ち歩く携帯のほうが写真を撮影する機会が多いと考え、デジタルカメラを凌駕するようなカメラ機能として開発しています。
藤井氏
市場調査を行っても、カメラ機能はユーザーが注目する要素になっていますし、画像処理エンジン「Milbeaut Mobile」も搭載ラインナップを拡大しています。機能的にデジカメに迫るものですし、やるからにはデジカメと言えるようなものにしました。
「F-01B」 |
坂本氏
「Milbeaut Mobile」は富士通研究所の開発した画像処理エンジンで、1220万画素カメラの能力を最大限に引き出します。個人認識で笑顔も認識できるなど、一歩進んだ機能を実現しています。トラッキングフォーカスはモルフォさんの技術を採用していますが、「Milbeaut Mobile」と組み合わせた形で実現しています。
ほかのメーカーと比較しても、富士通のカメラ機能はどのモデルも、機能が欠けたりすることなく多機能だということが分かると思います。感度は最高でISO25600相当まで自動で設定されますが、ここまでくると暗闇の中でも撮影できます。また、キャンドルライトなどの場面では、高感度モードでなくても撮影できるので、ノイズの少ない綺麗な写真になると思います。
――もうひとつのこだわりは防水でしょうか? ほかのメーカーでは思ったほど防水端末が増えていません。
藤井氏
富士通としては以前から継続していることですが、防水は市場調査でも欲しい機能のトップ3に入ります。らくらくホンシリーズにも防水性能を実現したモデルをラインナップしたように、我々としては、防水は基本機能と考えています。
坂本氏
今回はIPX5/IPX7等級に加え、IPX8等級にも対応して、防塵性能はIP5X等級と、さらに性能を強化しました。普段使っている携帯電話と変わらないデザインで防水を実現しているのも、こだわっている点です。
――3モデルのターゲットは、どう分けているのでしょうか?
F-02Bは香水をつけられるカバーが付属 |
藤井氏
ターゲットにしているユーザーが違うわけですが、PRIMEシリーズの「F-01B」は機能的に最先端を求めるユーザー向けです。
「F-02B」はSTYLEシリーズとして自分らしさや感性、ファッション性がポイントで、五感に訴えることをテーマにしました。キーワードは「キラキラ感」と「香り」で、女性では8割が使っているという香水を付けられるようにしました。これまでに(ほかのメーカーで)あったモデルとは違い、ユーザー自身が好みの香水を付けられます。
本体デザインでは、ボディカラーに合わせて異なるカッティングを施したサブ液晶付近のジュエルブロックに加えて、オープンアシストボタン、センターキーにもキラキラ感を表現したカッティングを施すなど、細部にこだわりました。浮かび上がるイルミネーションも、ボディカラーごとに違うデザインになっています。持っているだけで気分が盛り上がるデザインを目指しました。
「Folli Follie」とのコラボレーションにより実現したスペシャルモデルは、ジュエルブロックに2カラットのキュービックジルコニアを配し、ゴールドのカラーで上品さを引き立てました。パッケージに同梱されているオリジナルストラップも同じカッティングのモチーフで、Folli Follieからもジュエリーとしてコラボレーション展開されています。
F-02BのFolli Follieコラボレーションモデル |
「F-03B」はSMARTシリーズで、富士通としてもこれまでスリムなボディにこだわってきたシリーズです。ただ、機能面では控えめだったので、「なにも妥協しない」とスリムなだけでなく必要な機能もすべてそろっているモデルを目指しました。
デザイン面ではプレミアム感を出し、上質感をさらに演出するために金やチタン素材を採用し、エグゼクティブな雰囲気を目指しました。ステンレス素材の表面パネルは角度をつけた面を作るなど、デザインを実現するため技術的に難しいアプローチも行っています。
増田氏
指紋センサーも装備していますし、ビジネスマンにとっても十分に豊富な機能を搭載していると思います。
F-01Bとの差は、タッチパネルではないことと、地磁気センサー(電子コンパス)が無い点です。加速度センサーは搭載しており、オートGPSにも対応します。
F-03Bは金やチタン素材などで大人向けの高級感を追求 |
――3機種とも折りたたみ型ですが、防水にこだわるとこの形状になるのでしょうか?
増田氏
折りたたみ型以外も防水対応にしていかなければ、という点は認識し検討しています。
――「F-01B」のタッチパネルの操作で、進化した点はあるのでしょうか?
増田氏
「F-09A」でもすでにフルタッチ操作を内容を実現していましたが、今回は手書き文字入力の「フリータッチライティング」を搭載し、富士通独自の文字認識エンジンにより、漢字に加えて絵文字の認識も可能になっています。何かを書けばちゃんと答えが出てくるようにして、別のウィンドウを開かなくてもいいように心がけました。
また、キー操作とタッチ操作ではリスト表示のサイズを変えたりと、よりタッチ操作での使いやすさを意識した作りになっています。
――水にぬれた場面では、仕様上からか、タッチパネルが操作しづらいという声もありました。
増田氏
タッチパネルは基本的に大きく変えていませんが、今回はIPX8等級で水中でもカメラのシャッターが押せるとアピールしていることもあり、サイドキーの操作性などは「F-01A」から改善しています。
――ゴルフ関連の機能にも力を入れていますが、なぜでしょうか。
増田氏
富士通はこれまでも、センシング(計測、探査)技術に注力してきました。古くは歩数計を初めて搭載するなど、センサー系デバイスをいち早く採り入れてきたのです。そこで、加速度センサーなどセンサー系デバイスを使っていかに人の行動を支援していくか、人の行動をどれだけセンシングできるか、という面で着目したのがゴルフでした。
実際にゴルフのスイングをどこまで検知できるのか、当初は分かりませんでしたが、開発してみると、回転速度や加速度など詳細なデータまで計測できました。スイングのパターンまで分かり、プロゴルファーの江連 忠氏と組んだ機能で、まじめなアドバイスが受けられます。
――一連の技術はゴルフ以外にも活用されるのでしょうか。
増田氏
あらゆるものに広げていけるよう、検討しています。
坂本氏
発展させれば、道で転倒した時にアラートを出すといった使い方も考えられ、どう実現しようかと議論しているところです。
藤井氏
人の行動を支援できるようなものになれば、らくらくホンシリーズにも搭載していきたいですね。
増田氏
携帯に人が合わせるのではなく、携帯が人に合わせる、ということですね。
――そのほか、強化された機能はありますか?
富士通製端末ではおなじみ? ヒミツの画面モードも搭載 |
増田氏
「F-01B」「F-02B」「F-03B」の3機種共通ですが、microSDカードのデータにパスワードロックをかけられるようにしました。これまでもセキュリティ機能に注力していたので、ユーザーから要望が多かった機能です。また、サーチキーの中に「使い方ガイド」を搭載しています。これは、取扱説明書レベルの解説をキーワード検索で見られる機能で、該当する設定画面に移動できるリンクも表示します。
藤井氏
「親子モード」に対応しました。子供に渡すためのモードで、機能ごとに制限できます。
坂本氏
カメラ機能では、「ホワイトボード撮影モード」という機能があります。会議などで使うホワイトボードは反射が強く、綺麗な写真にならないことが多いのですが、このモードでは反射を抑えて文字を強調し、読みやすくします。
マルチキーの長押しでのぞき見防止機能を利用できるのも、新たに対応した点です。のぞき見防止機能の強さは3段階から選べます。
――「F-02B」「F-03B」でそれぞれ独自機能はありますか?
藤井氏
「F-02B」には「ビューティーミラー」という機能を搭載しました。インカメラで自分を画面に映す機能ですが、待受画面からすぐに起動できるようになっています。手鏡を取り出すのは少し恥ずかしいという場面でも、携帯を見ているふりをして、さりげないチェックに使えると思います。また、「F-03B」には、カメラ機能に名刺リーダー機能を搭載しています。
「F-02B」「F-03B」にはオープンアシストボタンという、ワンプッシュで端末を開けられるボタンをヒンジ部に装備しています。スリム化するとどうしても開けにくくなるので、基本的な操作性として必要だと考え、搭載しました。
――防水端末では端子のフタやパッキンが重要になることから、充電時に卓上ホルダを使用するのが理想的ですが、卓上ホルダは用意されるのでしょうか?
増田氏
今回の防水端末ではすべて、卓上ホルダを製品パッケージに同梱します。卓上ホルダと防水性能は結びつきが強いものと考えていますし、こういったことからもユーザーの満足度を高めたいと思っています。
今回のラインナップは、ユーザーの細かい不満にも応え、どの機種を買っても満足してもらえる、隙のないラインナップになっているのではないでしょうか。
――本日はどうもありがとうございました。
2009/11/20 11:00