「SH-01B」「SH-02B」開発者インタビュー

12メガのAQUOS SHOTとコンパクト志向のSH-02B


 シャープは今秋ドコモの発表会で、一挙に5モデルを登場させた。12メガカメラ搭載機からQWERTYキーボード搭載モデル、ファッション雑誌とのコラボレーションモデルまで、硬軟取り混ぜた幅広いラインナップだ。

 今回はそれらの新モデルから、発売が早い「AQUOS SHOT SH-01B」と「SH-02B」の2機種について、シャープの通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部の木戸貴之氏、森井啓太氏、久米俊裕氏に話を聞いた。

カメラを強調しないSH-01Bとコンパクトさを体感させるSH-02B

――まずは冬のドコモ向けラインナップ全体についてご説明いただけますか。

シャープの森井氏、木戸氏、久米氏

木戸氏
 今回はいつもより多めの5モデルを発表させていただきました。コラボレーションモデルも含まれております。大きなテーマとしては「バリエーション」「バラエティ」といったところを掲げました。堅いモデルから柔らかいモデルまで、老若男女問わず幅広くカバーできる、広いバリエーションのフルラインナップでご提案いたします。

 SH-01BとSH-02Bは共通のソフトウェアを使っていますので、ハードウェア以外の機能面では共通の部分が多くなっています。

――「SH-01B」はどんなモデルになるのでしょうか。

SH-01B
カメラ周りのリングが控えめなデザインとなっている
ディスプレイ側の側面が光るようになっている

森井氏
 夏モデルの「SH-06A」の後継機種で、ハイスペックなカメラ機能で訴求するモデルになります。そこに新たにハイデザインという要素を加えまして、あまりデジタルカメラに見えないデザインを意識しました。

 もちろんデザインだけでなく、スペックも最新・最高を目指しています。カメラの画素数は12メガに増えました。さらにケータイならではの、写真を撮ってから楽しめる機能も強化しています。

――「デジカメに見えないデザイン」というのはどのようなものなのでしょうか。

森井氏
 デザインの特徴としては「クリスタル」というキーワードで、ディスプレイの側面、3つの面が光るようになっています。この3面全部が光るという構想は、以前からあったのですが、ここまで光らすことは実現はできていませんでした。今回はそこを実現するにあたり、技術的に苦労しています。

 SH-01Bはこのクリスタルと合う色として、ゴールドというカラーバリエーションも用意しています。

木戸氏
 SH-06AとNERVケータイではイルミネーションが少し控えめだったので、今回はやるなら一気に目立たせよう、ということで、3面を光らせました。

――こうしたイルミネーションは、やはりニーズがあるのでしょうか。

木戸氏
 目で見てわかっていただけるので、訴求しやすいポイントです。イルミネーションは機能というよりデザインのひとつです。デザインの中で、ボディ形状とイルミネーションを組み合わせることが流行していますが、当社ならではの表現を試みました。このイルミネーションは、何パターンかの光り方をプリインストールしていますが、新しいパターンをダウンロードすることもできます。

 中には3色LEDが6灯入っています。この6つの点を目立せず、均一に光るよう、導光板を搭載しています。

――見た目でいうと、SH-02Bの方も特徴的なデザインをしていますね。

SH-02B

久米氏
 こちらのモデルは、「小さなサイズ」のニーズを満たすようにデザインしました。しかし、ただ薄くするだけだと、持ちやすさなどは悪くなってしまうこともあります。そこで、SH-02Bではラウンドフォルムを取り入れました。

 これまでのケータイでも、角だけが丸くなっているものはありました。しかしSH-02Bはフォルム全体が丸くなっています。カタログスペックでは厚み16.9mmとなっていますが、見た目や握ったときにそれ以上の薄さを体感していただけるかと思います。

木戸氏
 SH-01Bは最初に12メガカメラなどの機能・スペックを決め、そこから小型化・薄型化を図っていきました。しかしSH-02Bは逆に、最初に形状・大きさを決めて、そこに中身を収めるように設計しました。SH-02Bはスタイルシリーズながら、BluetoothやGPS、GSMなど、プライムシリーズと同等レベルのスペックを搭載しています。

SH-02Bのカラーバリエーション
背面のイルミネーション

――だいぶ目立つカラーを用意されていますね。

久米氏
 10層程度多層膜を使った5色のカラーバリエーションを展開します。定番の3色にオレンジとブルーを追加し、女性だけでなく若年層もにも選んでいただけるカラーバリエーションをそろえました。

 サングラスのような多層の蒸着仕様になっていて、角度によって色が変わります。これがラウンドフォルムの曲面と相まって、特徴的な見え方になります。

 また、イルミネーションも強化しています。蒸着塗装の下からイルミネーションが浮かび上がって光るようになっています。一見すると何も見えない背面パネルですが、白色LEDが12個、三色LEDが1個、あと1.4インチの有機ELサブディスプレイを搭載しています。

 これだけLEDを搭載しているので、単に通知するだけでなく、光り方に意味やストーリー性を持たせるように考えました。たとえば流星や降雪、牡牛座の神話、七夕などをイメージした発光パターンなどを用意しました。発光パターンについては、きせかえパッケージに追加しているので、ダウンロードに対応します。これはSH-01Bも共通です。

 また、サブディスプレイが大きいので、メール本文やカレンダーなども表示でき、こちらもSH-01BとSF-02B共通です。

森井氏
 SH-01Bは歩数計を搭載しているので、歩数をサブディスプレイで確認することもできます。また、常時測位をするドコモさんの新サービスの「オートGPS」にも対応しています。

SH-01B、SH-02Bともにカメラ機能を強化

――SH-01Bはカメラ画素数が12メガとなっていますが、画素数以外の新機能はあるのでしょうか。

SH-01Bの撮影時画面。タッチパネルで操作できるようになっている。

森井氏
 SH-01BはAQUOS SHOTの第2弾で、カメラのハイエンドモデルとなります。カメラ関連の目玉機能としては、個人検出と個人アルバムという機能を追加しました。人の顔を記憶し、撮影時に認識してデータベースを作り、写っている人の名前で写真を探したりできます。「Aさんが写っている写真」や「AさんとBさんの両方が写っている写真」などの検索もできます。顔認識は10件まで登録できます。

木戸氏
 AQUOS SHOTは「デジカメ不要」というコンセプトでやっていますが、やはりケータイのカメラなので、撮った後にどう写真を活用するか、ということが重要になってきます。今回はそのあたりの機能にも重点を置きました。

森井氏
 顔関連の機能としては、「プリティアレンジカメラ」という新機能を搭載しました。撮影時に顔を認識すると、顔を小さくしたり美肌にしたり目を大きくするといった補正を自動で行えます。

 SH-01Bはタッチパネルディスプレイなので、手書きで写真をアレンジすることなどが可能ですが、ソフトウェアは共通なので、タッチパネル関連以外のほとんどの機能はSH-02Bにも搭載されています。

手書き文字入力機能

――タッチパネルを使った手書き機能は楽しいですね。

森井氏
 手書き機能は、待受画面に表示させるメモにも使えるようになっています。

木戸氏
 むかしザウルスにも搭載していたインクワープロ機能(手書きした文字を1文字ずつ縮小して記録する、文字専用の手書きメモ機能)を搭載しました。途中でらくがきモードに切り替えれば、地図なども書き込めます。

――インカメラに43万画素と大きめの解像度を採用されているのは?

木戸氏
 夏モデルから43万画素にしています。インカメラは省略する方向性もありますが、テレビ電話よりも、自分撮りのニーズが多いので、インカメラを省略するのではなく、逆に強化しています。

久米氏
 インカメラを使った機能としては、ハンドミラーモードを搭載しました。端末を開いた状態でサイドキーを長押しすると、インカメラの撮影モードになります。アイコン表示などもないので、ハンドミラーとして使えるようになっています。こちらもSH-01BとSH-02B共通の機能です。

SH-02Bは8メガピクセルのCCDを搭載する

――このほかのカメラの特徴機能は?

森井氏
 ベストセレクトフォトという機能を搭載しました。これは連写機能なのですが、シャッターを押す直前から直後まで、最大40枚(QVGA時)の画像を保存します。

 カメラ周りの機能としては、文字読み取り機能の応用として、新聞や雑誌の記事をカメラで取り込み、テキストデータに変換する「コラムリーダー」を搭載しました。

 ズーム機能は「スマートリサイズズーム」を搭載しています。こちらは、デジタルズームを使うとき、倍率に応じて自動で記録解像度を落としていくというものです。

SH-01BとSH-02Bの予測変換の表示

――カメラ以外のところで言うと、文字入力のケータイShoin、予測の表示形式が変わりましたね。

木戸氏
 予測の候補表示が横2分割表示ではなく、単語の長さに合わせて柔軟に表示される形式に変わりました。

森井氏
 文字入力関連では、内蔵の電子辞書と連動し、和英辞典から英単語を入力する、といった機能が搭載されています。あと、デコメ絵文字を「はーと」などの単語から検索して引っ張ってこられるようになりました。

久米氏
 デコメ関連では、テキストメール作成後、あとからデコメアニメ化できるようになりました。デコメアニメはこれまで入り口が違うところにあったので、使われにくくなっていました。しかし絵文字プラスと同様に使われやすくするべく、改良を施しています。

――一見するとわからなかったのですが、SH-01Bはノートパソコンのタッチパッドのようなタッチクルーザーを搭載していますね。

木戸氏
 これまでは光学式などを使っていましたが、今回は決定キー周辺に静電容量式センサを組み込んで、タッチクルーザーとしています。

――本日はお忙しいところありがとうございました。




(白根 雅彦)

2009/11/19 11:00