【Mobile World Congress 2012】
日本から世界展開を目指すコンテンツプロバイダも出展


Japan Pavilion

 「Mobile World Congress 2012」の会場では、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)の主導で、日本の中小企業が出展する「Japan Pavilion」(ジャパンパビリオン)が設けられている。これは海外進出を目指すコンテンツプロバイダなどの企業を支援するための施策で、パビリオンの一角には、さほど広くはないスペースではあるが、日本のコンテンツプロバイダ、ソリューション事業者がブースを出展していた。

絵文字アプリの開発スタッフNoriko Osumi氏もデコられている

 絵文字コンテンツを手がける美術出版ネットワークスは、スマートフォン向けの絵文字ソリューションを展示している。これはチャットアプリやメッセージングアプリに組み込むためのミドルウェアとなっており、アプリベンダーや端末メーカー、キャリアといった事業者が自社製品に組み込む、というもの。絵文字をクラウド上で管理できるのも特徴で、クラウドを含めたプラットフォーム「;Dcloud」(ディークラウド)として、同社と電通、D2コミュニケーションズの3社共同で提供されている。絵文字は日本発祥の文化ともいえるものだが、海外からの引き合いも強いという。

Android向けのメッセージングアプリ。この絵文字入力部分のミドルウェアだけでの販売も行なっているこちらはiPhone版
フェリカネットワークスの展示

 おサイフケータイ関連のソリューションを提供するフェリカネットワークスもJapan Pavilion内にブースを設けている。同ブースでは、日本国内で実用化されているおサイフケータイの各種サービス、ソリューションなどが紹介されているほか、イベント直前に発表された、Type A/BとFeliCaのすべてに対応するNFCチップも紹介されていた。

 ケータイ向けブラウザなどを手がけるjig.jpは、エプソン製のヘッドマウントコンピュータ「MOVERIO」を使い、3Dコンテンツを楽しめるように拡張した独自のブラウザを展示していた。このブラウザは「MOVERIO」向けに最適化されていて、使用中に余計なユーザーインターフェイス(UI)が表示されないようになっている。MOVERIO自体はjig.jpの製品ではないが、装着中の姿のインパクトが強いこともあり、来場者の注目も高い展示となっていた。

MOVERIOを装着するjig.jpの福野社長。これで会場内をうろつくと、いろいろな人に話しかけらるとのこと背景が暗くて見えにくいが、表示は透けて見える。このUIはブラウザ上のHTMLで表現されている
SIPアプリの画面。人物は常に動いていて、放っておくと伸びなどを始める

 ANALOG TWELVEは、動画の人物が応対するようなUIのSIPアプリを展示している。会社や事務所の受付で利用することが想定されている。通話先は、SIP対応であれば良いとのこと。人物映像の追加なども予定され、人物以外のキャラクターを使うことも可能だという。

ARアプリを使っている様子。右下の人物はARではなく、ノリノリのブース担当者の一人

 araraはARアプリを展示している。QRコードなどから読み込んだアニメーション付きの3Dオブジェクトを、実空間上のマーカーにあわせて表示させる。開発やホスティングなどを含めたソリューションとして販売していて、エールフランスのキャンペーン向けのARコンテンツなどに採用されているという。

NTTソルマーレ

 Japan Pavilionと同じホールでは、ケータイ向けに電子コミックの配信などを手がけるNTTソルマーレがブースを出展している。ブースはセクシーなキャラクターのイラストが中心で、かなり目立つ展示となっていた。NTTソルマーレは英訳した漫画など海外向けに配信している。

 NTTソルマーレはコミックだけでなく、ゲームの配信も行なっている。スマートフォンでは女性向けの恋愛シミュレーション、いわゆる乙女ゲームも配信していて、昨年からはそうした乙女ゲームの英語化を開始し、すでにいくつかのタイトルが英語版となって販売されているという。

iOSやAndroid向けに配信されている乙女ゲームのデモ。過激な描写はなく、審査が厳しいと言われるiOSのApp Storeでも配信されているイケメンの侍、忍者が登場する歴史モノは、乙女ゲームの定番テーマだが、海外でも人気があるとか。配布されているパンフレットでは、「OYAJISM」として親父萌えが紹介されていた。レベルが高い

(白根 雅彦)

2012/3/2 11:00