【CES 2017】

「SIMフリーのシェアは倍増させたい」「MONOは大成功」ZTE幹部が語る端末戦略と日本市場

 「CES 2017」では、ユーザーコミュニティのアイディアから生まれた「Hawkeye」と、ミッドレンジながらデュアルカメラを搭載した「Blade V8 Pro」を発表したZTE。同社で、アジア・パシフィックおよびロシアを統括するのが張樹民氏だ。張氏は1月4日(現地時間)に報道陣からのインタビューに応じ、CESで発表された新モデルや、日本市場での取り組みを語った。

インタビューに応じたZTEの張氏

――Hawkeyeはユーザーコミュニティから生まれた端末だと聞きましたが、こういうやり方は初めてなのでしょうか。

張氏
 商品開発の初期からユーザーが参加するという意味では、初めての取り組みです。商品開発にはいろいろなやり方がありますが、市場調査の前段階から参加しているのは初ですね。

ファンから意見を募って開発された「Hawkeye」

――キックスターターの出資はグローバルで受け付けていますが、日本からの参加はできるのでしょうか。

張氏
 アイデアは日本を含めて募集していますが、1機種目は北米中心になります。一方で、次のモデルでは、アメリカ以外の市場の声も重視して開発を決めていきたい。また、要素技術に関してはグローバル端末にも展開していきます。同時に発表したBlade V8シリーズの次のモデルやシリーズにどんどん投入して、フラッグシップの魅力をアフォーダブル(値ごろ感のある)プレミアムのモデルに導入していきたいと思っています。

 ちなみに、V8シリーズは本日発表したBlade V8 Pro以外に、Blade V8があり、これもCESでは展示しています。Blade V8はグローバルモデルで、日本とロシアで発売する予定です。特にアジアは(Blade V8 Proの5.5インチではなく、Blade V8の)5.2インチの方がいいですからね。

日本での発売も予定する「Blade V8」

――Z-COMMUNITYのようなユーザーコミュニティを日本でも作っていく予定はありますか。

張氏
 Z-COMMUNITYはアメリカで先行していて、成功もしています。いろいろなファンからの意見をいただいていますが、この成功体験は、日本や中国なども含め、グローバルに展開していきたいと考えています。

アメリカで成功しているというファンコミュニティ

――日本だと要望もたくさん出そうですね。

張氏
 我々はこれまで、キャリアビジネスがメインでした。そこでもいろいろな意見を(キャリアから)いただいています。そこに一般ユーザーのアドバイスも取り入れ、商品開発をしていきたい。マーケティング活動によってブランド力を上げていけば、いろいろな意見がもっと入ってくるようになると思います。これを新しい商品開発に活かしていきたいですね。

――なぜユーザーの声に注目したのでしょうか。

張氏
 今申し上げたように、これまではキャリアからの意見がメインでしたが、それでは一部の声しか反映することができません。キャリアも端末を買ってくれるお客様ですが、実際に端末を使うのはキャリアではなくエンドユーザーです。B2Cマーケットに独自ブランドで展開する際には、もっとエンドユーザーの声を聞かなければなりません。両方の意見を聞く必要がある、という認識がありました。

――ドコモのMONOに関しては、ZTEの名前が出ていません。これに関しては、どうお考えでしょうか。

張氏
 我々とドコモさんのパートナーシップが成功するための協力は、全力でしますし、それは今後も継続していきます。ブランド戦略に関しては、確かにMONOはドコモブランドですが、ZTEが製造したものであることはいろいろな形でユーザーに宣伝しています。

 我々の強みの1つはイノベーション力で、6年間特許取得件数でトップ3に入っています。日本市場でも受け入られるクオリティの端末を、グローバルのスケールで安く作れる。これをユーザーに届けていきたい。MONOはファーストステップとしては、大成功だと思っています。

 また、MONOはグローバルでも展開する計画があります。名前をどうするかなどはこれから相談しなければいけないのですが、素晴らしい端末なので、ぜひグローバルに広げていきたいと考えています。

 弊社のブランドは、もっと認知度を高める必要があります。そのためには、やはり品質が一番重要です。日本の中でもっとも厳しいキャリアとMONOを開発したことは、その証明になると考えています。

初のドコモブランドで発売された「MONO」は、ZTEが製造

――日本では、どの程度のシェアやポジションを目指すのでしょうか。

張氏
 2017年の出荷目標は、100万台を超えることです。この数字には、キャリア向け端末とSIMフリー端末の両方が含まれています。また、SIMフリースマートフォンのマーケットでは、我々のシェアは約6%というデータがあります。2017年は、これを倍にしていきたいですね。

――MVNO向けに独占提供するような端末も出てくるのでしょうか。

張氏
 そういった計画もあり、一部のMVNOとは商談を進めています。

――SIMフリー市場では、同じ中国メーカーのファーウェイが急速にシェアを高めています。そのファーウェイとは、どのように差別化するのでしょうか。

張氏
 技術革新での差別化が必要です。たとえばAXON 7では、音響技術で差別化ができています。アップデートでのDaydream対応もそうで、あれも単にDaydreamが使えるようになるだけでなく、音響で特徴を出していきたい。我々なりの技術をプラスするということです。

 また、ファーウェイさんはグローバル端末をほぼそのままの形で日本に展開しています。我々はそういうやり方ではなく、グローバル端末のいいところをキープしつつ、キャリアやパートナーの意見を取り入れていく。MONOもその1つです。ファーウェイさんは我々より先にドコモさんとビジネスしていますが、端末台数で言えば、MONOの方がはるかに成功しています。

――本日はありがとうございました。