【CES 2016】

「VIBE S1 Lite」を発表したレノボ

日本では「ソフトバンクと次世代の端末を検討」

 「CES 2016」で、レノボは「VIBE S1 Lite」を発表。モトローラの端末に関しては新製品はなく、ブース内で最新モデルの「DROID Turbo 2」が紹介されていた。

セルフィー強化モデルの廉価版「VIBE S1 Lite」
Verizonが販売する「DROID Turbo 2」
セルフィー用のフラッシュを搭載

 VIBE S1 Liteは、同社が昨年発表した「Vibe S1」からスペックを落としたモデル。前面に搭載されていたセルフィー用のツインカメラを廃し、チップセットの性能も抑えられている。レノボの関係者によると、「性能を落としたぶん、価格は100ドル程度安くなっている」。背面カメラは13メガピクセル、前面カメラは8メガピクセルで、セルフィー用のフラッシュを採用する。

フラッシュなし(左)とあり(右)で撮った写真。ありの方が、肌の色などが自然

 DROID Turbo 2は、ディスプレイに使うガラスを3層のプラスチックにして、耐久性を高めたモデル。ディスプレイの方式はプラスチック有機EL(P-OLED)で、落下時などにも割れにくくなっているのが特徴だ。米国ではVerizonが販売する(グローバル版は「Moto X Force」と名称が異なる)。

 レノボのブースでは、あえてディスプレイ面からDROID Turbo 2を床に叩きつけるデモを実施。激しい音を立てて落下したDROID Turbo 2が、正常に動作している様子を確認することができた。

防水と耐衝撃性を備えた、タフネスモデル

デュアルブランド戦略で業績回復、日本ではソフトバンクと協議を続ける

レノボのモバイルビジネスグループでエグゼクティブVPを務めるシュドン・チェン氏。モトローラの会長も兼務する

 7日(現地時間)には、アジアパシフィック地域向けの戦略説明会が開催された。スマートフォン事業を率いる同社 モバイルビジネスグループ エグゼクティブVPのシュドン・チェン氏は、レノボとモトローラの組織を統合した経緯や効果を解説。製品はレノボとモトローラの2つを持ち、地域によってこれらを使い分けている一方で、「セールスチームやサプライチェーンを統合した」という。研究開発部門は、中国とアメリカにそれぞれ残している。

 こうした統合効果が出た結果、一時は低迷していたレノボのモバイル事業は業績は回復。全四半期から、成長基調に入り始めたといい、第3四半期は前四半期よりも26%、売上高が向上している。グローバルでのシェアは、ファーウェイに次ぐ第4位(調査によっても異なる)。中でも、ブラジル、ロシアではシェアが高く、それぞれ2位につけている。インドやインドネシアも、同社にとっての成長市場だ。

経営統合の結果として、業績は上向き始めている
ブラジルのように、シェア2位の国もある
モバイル事業の戦略は、3つに分かれる

 チェン氏は、同社の戦略は「非常に明確」だという。同氏によると、レノボとモトローラ、2つのブランドを使い分け、地域によって最適な端末を投入することが基本にあるという。そのうえで、新興国での展開を加速。欧米のような成熟市場では、行き詰まりを打開していく方針だ。当面の目標として、チェン氏は「米国でトップ3のベンダーになる」ことを挙げている。

 一方で同じ成熟市場の日本に対しては、まだ明確な方針が定まっていないという。同社のモバイルビジネスグループ、アジアパシフィック担当VPのディリオン・ユー氏は、「日本は大きな市場で、成長率も落ちていないため、ポテンシャルは高い」としながら、「一方で、非常に厳しいマーケット」と語る。そのため、PCやタブレットなど、スマートフォン以外の事業から、「ノウハウを蓄積している」。

 同時に、「日本はキャリアの力が非常に強い市場」というのがレノボの認識だ。「政府がオープンマーケット(SIMフリーモデルを単体で販売する市場)を広げる方針だが、市場の規模はまだ5~6%」といい、同社としては本腰を入れにくい規模であることを示唆した。キャリアとのビジネスは、「準備にもう少し時間が必要になる」といい、現在「ソフトバンクと、次世代の端末を検討している」とした。

石野 純也