Android OS搭載機器を高速起動する「Ubiquitous QuickBoot」


 株式会社ユビキタスは、Androidを含むLinuxベースの組み込み機器の起動を高速化する新製品「Ubiquitous QuickBoot Release1.0 (ユビキタス クイックブート リリース1.0)」(以下QuickBoot)を23日より発売すると発表した。価格は個別見積もり。

 「Ubiquitous QuickBoot Release1.0」は開発者向けのQuickBoot SDK(ソフトウェア開発キット)となる。対応OSは、Linuxカーネル 2.6.x。CPUは、ARMアーキテクチャ(ARM9/11、Cortex-A8/A9 Single)をサポートする。その他のCPUアーキテクチャについては順次対応していく予定だという。


ユビキタスによるデモ

 ユビキタスによれば、開発者はSDKを用いることで、ターゲットとなる組込みシステムの起動時間を劇的に短縮することが可能だという。SDKには、システム状態を不揮発性ストレージに保存・復元する「QuickBootスナップショットスクリプト」、「QuickBootスナップショットドライバ」「QuickBoot BIOS」のほか、メモリブロックの優先復元を制御する「QuickBoot IRA(Intelligent Resource Allocator)」、「Kernel Patch」「ブートローダーサンプル」などが含まれる。

 QuickBootは、ユビキタスが独自開発したソリューションで、システムの起動に必要なメモリ領域を優先的に不揮発性ストレージからRAMに復元することで、アプリケーション側で使用しているメモリ量に依存せず、数秒での高速起動が可能となるという。また、残りのメモリ領域は起動後に順次読み込み、ユーザーの操作にはほとんど影響を与えないとしている。

 ユビキタスでは、テレビ・セットトップボックス・DVD/ブルーレイ録画機などのデジタルAV機器、カーナビなどの車載機器、スマートフォン・タブレット型デバイスなどの携帯機器、ゲーム機、ネットブックなどのPC、デジタルカメラなど、高機能化が進み起動が遅くなる傾向にあるデジタル機器全般を対象として、自社および販売代理店からのソリューション販売を行っていく。

 ユビキタスによれば、Androidを使用した実装例では、電源投入から1秒台でアプリケーション実行状態まで復元可能だったという。実装例の環境は、Android / Armadillo-500FX(アットマークテクノ社製:ハードウェア改造なし)、使用RAMサイズ:105~110MB、RAMイメージサイズ:128MB(イメージ非圧縮、XIP未使用)。
 

従来からあるハイバネーション方式とユビキタスが発表したQuickBootの動作原理の違い

(工藤 ひろえ)

2010/3/24 06:00