本日の一品
真空調理法を家庭でも、「Anova Precision Cooker」
(2015/4/7 06:00)
真空調理法は、1970年にフランス人シェフ、ジョルジュ・プラリュが考案した調理法だ。水槽に下味をつけて真空パックした食材を沈め、一定の温度で加熱する。仕上がりのムラや加熱しすぎの部分などがなく、食品全体が均一に仕上がる。水槽の水と食品が直接接触することが無いため、食品の風味や旨みも逃がさない。「焼く」「蒸す」「煮る」に次ぐ第4の調理法とも呼ばれている。
書籍「Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ」(著:Jeff Potter、翻訳:水原 文、オライリー・ジャパン刊)でこの真空調理法を知ってこのかた、いつかは挑戦してみたいものだと思っていたのだが、水温を均一に保つための機材が必要とあって、長らく躊躇していたのだった。
その真空調理を家庭で簡単に楽しめるAnova Precision Cookerが日本でも購入できると知り、このたび購入してみた。価格が179ドル、送料69.99ドルの合計248.99ドル、日本円で3万円というところ。円安である。しかしこれで極上の味を手軽に楽しめるというのであれば、安いという見方も。注文してから5日であっという間に自宅に到着した。
ジップロックに肉を入れて、小さじ1/2の塩をまぶし、ローズマリーなどの乾燥ハーブを加え、オリーブオイルを少々加える。ストローで空気を吸い出し、簡易的に真空に近づけた状態を作った。
加熱時間は60度で1時間。電源を入れるとサーキュレーターが動き出し、だんだん水温が高くなってくる。水温が60度になるまでに15分ほどかかった。鶏肉の殺菌のためには60度で最低30分は加熱の必要があるとのこと。水温が上昇する時間も加味して加熱時間を決めた方がよさそうだ。
鍋の中に手を入れると、ものすごく熱い、というほどではないが、ずっと手を入れ続けるのは難しい、低温やけどをしてしまいそう、というぐらいの温度。この状態でただただひたすら放置する。
60分が経過するとタイマーが鳴るので、コンセントを抜いて、鶏肉を取り出す。包丁を入れるとふわっと切れる。白く均一に火が通っているが、加熱したとは思えないぐらいふにゃふにゃの状態。本当にこんなものを食べて大丈夫なのか?
食べてみると、これは本当に不思議な食感。火はきちんと通っているのだけれども、柔らかく、鶏ムネ肉独特のパサつきもない。しっとりとジューシーで風味豊か。オリーブオイルと塩と適当なハーブという、至極ちゃらんぽらんな味付けをした割に、きちんと料理人が作ったかのような味。200円台の鶏肉とは思えないおいしさでご飯が進んだ。
このAnova Precision Cooker、もちろん牛肉や豚肉などに使えるほか、魚の加熱や煮物などさまざまに応用できる。レシピはAnovaのサイトにも多数掲載されているが、日本ならではのオリジナル料理の工夫の余地もありそうだ。
製品名 | 販売元 | 購入価格 |
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Anova Precision Cooker | Anova Culinary | 本体179ドル、送料69.99ドルの合計248.99ドル |