本日の一品

1年遅れて”鉄のスカート”をはいた絶対に折れない超極細シャーペンを買った!

 新しいモノを誰よりも早く入手して使ってみるということは、子供の頃から大好きなことで、常に心がけている。しかし時には、忘れるほど、とっくの昔に発売されていた極めて素晴らしい商品に全く気づかず見落としてしまっていることもある。

一見なんの変哲もないシャープペンだが”orenz”は、奥が深すぎる!

 本日ご紹介する”不思議なほど芯が折れないシャープペン”「orenz」(オレンズ)もそういう商品の代表格だ。発売しているのは、永遠のグッドデザインであり、筆者も日々愛用している”サインペン”の発売元である”ぺんてる社”だ。

見落としてしまった言い訳をするならば、ボールペンでもシャープペンでも基本的に太字系(BOLD)が大好きな筆者は、ボールペンならボール径が1.2mm以上、シャープペンなら2mm径や5mm径を使うことが多く、オレンズの超極細0.2mmは、筆者の守備範囲でなかったことも理由の一つだったかもしれない。

 小さなスペースに極細のシャープペンを使って文字を書き込むユーザの悩みは、少し筆圧を加えて文字を書くと、芯先がペキッと折れてしまうことだろう。まして0.2mmなどという超極細の芯ならその頻度は圧倒的に多いだろう。ペキッと折れてノック、またしてもペキッと折れてノックの繰り返しに違いない。

 オレンズは、どういう風にしても必ず折れる硬度の芯を絶対に折れないようにコロンブスの卵的発想で解決したことだ。”芯は出すから折れる”というのを逆手に取って、”芯は出さなければ絶対に折れない”という基本コンセプトに辿り着いたことが素晴らしい。

ノック前の芯が全く出ていない状態
ノックすると、芯先は見えないが、飛び出してきた鉄のパイプだけが見える
指先でそっと鉄のパイプを押し込むと、パイプに保護されていた芯先が見える

 一般的なノック式シャープペンは、ノックすることでペン先より任意の長さの芯が露出し、同時に芯をくちばしのようなチャック機能で固定する。芯先が短くなってくると、再度ノックして適度な長さに芯先を出すという伝統的な仕組みだ。

 一方、オレンズは、ノック時に出てくる芯先を全て細いパイプ状の可変長型の”鉄のスカート”のような部品で完全に保護して、一緒に繰り出してくる構造を採用した。一見して芯先が出ていないような状態で筆記する変態的構造だ。

 実際には、筆記が進み、芯先が摩耗して芯が短くなってくると、細いパイプ状の鉄のカーテンも、芯の長さが短くなるのに合わせて徐々にスライドして内部に入り込んで短くなっていく。そしてパイプが十分に短くなって来たら、一度だけノックをすれば、また芯先とパイプが一体となってまた飛び出してくる仕組みなのだ。

芯先も押し込むと、いっしょにチャック機構の中に入り込んだパイプが見える
ノックすると、パイプに保護された芯先が同時に繰り出されてくる
筆記時には滑らかな表面処理をされたパイプが紙面に押し返されて少しだけ後退し、僅かな芯先だけが紙面に接することで筆記が出来る。

 オレンズを実現している最大のテクノロジーの要素は、筆記紙面の微妙な凹凸に全く影響を受けること無く固定し、ただ摩耗して短くなっていく芯に対して、筆記面の微妙な凹凸に応じてレスポンス良く上下して紙面に引っかからない滑らかな可変長のパイプの存在だ。

 オレンズは、コロンブスの卵的な素晴らしい着想ではあるが、細かなところに細かな文字を書く習慣のあまりない筆者には、この技術を楽しめる環境が余り見つからない。”芯が折れるのは、芯を出すからだ”という着想から生まれたオレンズ。実際に使うことは余り無くても、絶対に常時持ち歩いて、会う人すべてに自慢したくなる構造の逸品だ。

製品名販売元購入価格
orenz(オレンズ)ぺんてる500円

ゼロ・ハリ