ポータブル・再生可能エネルギー発電機「KINESIS K3」


「KINESIS K3」は大型のソーラーパネルと発電用ファンを備えたポータブルバッテリーだ。大型のため、普段鞄に入れて持ち運ぶといった用途には向かない

 「我が家にもついに自然エネルギー発電設備がやって来た!!」っと、つい大げさな事を言いたくなってしまうのが、今回紹介する「KINESIS K3」だ。

 「KINESIS K3」は、4000mAhの大容量リチウムイオンバッテリーを内蔵した、USB出力のポータブルバッテリー。特筆すべきは再生可能エネルギーを利用した充電手段を2系統搭載している点だ。

 1つ目は太陽光発電で、本体前面に大型のソーラーパネルが配置されている。天気の良い日に直射日光の当る場所で朝から日没まで充電してみたところ、本体のインジケーターで半分ほど充電できていた。このインジケターは内蔵バッテリーの残量を4つのLEDで表示してくれる。1日の日照でフル充電する事はできないようだが、内蔵バッテリーが4000mAhと大容量である事を考慮すると、致し方無いと思う。また、台座と背面の形状が工夫されていて、太陽の方向に合わせて45度単位でソーラーパネルの向きを調整できるようになっているのも実用的だ。

 2つ目は風力発電で、この機能が「KINESIS K3」の最大の特徴でもある。発電用の風車は7枚羽根のタービン型ファンで、製品上部の整流ダクト内に設置されており、見た目にもなかなかカッコ良い。いかにも発電しそうな雰囲気を醸し出すこのファンは、とても軽く、柔軟なプラスチック素材で成型されており、軽く息を吹きかけるだけでくるくると良く回る。

 こんなに負荷が軽くてちゃんと発電するのだろうかと不安になるくらい軽快に良く回るので、試しにサーキュレターの前に置いてみると、物凄い勢いでブンブン回ってくれた。本末転倒な話しだと思いつつ、そのまま一晩回し続けてみたが、残念な事にインジケーターの示すバッテリー残量に変化は無かった。出力の仕様は35~50mAh/6000rpmで、風力発電による仕様上の満充電までの所要時間は150時間だ。見た目にもカッコ良くブンブン回っている姿は「いかにも」な感じなので、これはこれで良いとも思える……。

 「KINESIS K3」に内蔵のバッテリーは、通常のUSB経由での充電にも対応しており、付属のACアダプターやパソコンのUSBポートからの充電も可能となっている。

 出力はUSBコネクターとなっているのでさまざまなUSB電源対応機器への給電が可能だ。色々と手持ちのUSB機器を接続してみたところ、LED照明やファンなども使用できた。出力電流は最大1000mAなので、iPadなど大電流を必要とする機器は充電できない。また、USB出力の結線の問題からか、iPhone 4も充電できなかったのは少々残念だ。

 少し前まで電気と言えばコンセントから取るのが当たり前だったが、小容量とはいえこういう形で役に立つ量の電力を確保できるのだと再認識させられた。風力発電能力の使い勝手は未知数な「KINESIS K3」だが、内蔵バッテリーの容量が大きく、ソーラーパネルも大型なので、非常時用のポータブルバッテリーとして常備しておけば携帯電話やLED照明、ラジオなどの電源として心強い製品だと思う。

見た目で一番インパクトがあるのがこのファン。よく目にする3枚羽の風力発電用風車とは異なり、ジェツトエンジンの様なデザイン背面は台座とダクト後端の形が工夫されていて、寝かせた状態でソーラーパネルを太陽の方向に向けられるようになっている
右側面にコネクターや内蔵バッテリーのインジケーターが集中配置されている。コネクター部はゴム製のカバーで保護されている内蔵バッテリーの残量は、確認ボタンを押す事でLEDの点灯により表示される。写真は残量3/4の状態
保護カバーを開けると2つのUSBコネクターがある。microUSBが本機を外部電源で充電する際の入力コネクターで、通常のUSBが出力となっている底面には小物を収納するスペースがある。また、本機をつり下げる折りたたみ式の取っ手もある

 

製品名製造元購入価格
KINESIS K3Kinesis industries約8000円

 

(田中 宏和)

2011/9/20 06:00