MW-260でモバイル中にプリント!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


MW-260でモバイル中にプリント!!

 今回のネタはブラザーの「モバイルプリンター MW-260」。業務用のポータブルサーマルプリンタである。前にもブラザーの業務用/ポータブルプリンタ「Pocket Jet PJ-663」のレポートを書いたが、アレの兄弟分的な存在である。ともかく、このMW-260に対し、急激に興味がわいたので実機を拝借して試用してみた。

ブラザーの「モバイルプリンター MW-260」。A6サイズの専用感熱紙にプリントできるバッテリー駆動のポータブルプリンタだ。ブラザー直販価格は7万3500円。

 どういう興味か?

 きっかけは「MyMio Free」である。ショックだったのは「MyMio Free」シリーズのMFC-J855DNだと無線LANプリンターとして使えるのに加え、FAX機能まで無線で使えること。ヤベ、かかか完璧に設置場所自由だ!! 次買うのコレ!!

 などと興奮してMFC-J855DN情報をチェックし、この機種でもBrother iPrint&Scanアプリが使えることを確認。Brother iPrint&Scanアプリというのは、Android端末iOS端末で使えるブラザー製プリンタ用アプリ。端末からプリントできたり、端末へとスキャンできたりする、いわば「複合機とスマホの連携」が可能になるアプリですな。

iPhone 4でBrother iPrint&Scanアプリを起動したところ。iPhone内の画像をプリントできるほか、対応複合機からiPhoneへスキャンすることもできる。Android端末用アプリもあるiPhone 4のウェブブラウザで目的地の地図など情報を表示させ、スクリーンショットを撮り、その画像をBrother iPrint&Scanアプリでプリント、といった利用法もある。意外に便利同じ無線LAN内にある対応複合機からiPhoneなど端末へのスキャンも行える。もちろん、スキャン結果(画像)をメールに添付して送るなど、一般の画像と同様に扱える。かな~り便利

 たとえばスマートフォンから複合機へのプリントはちょいと便利で、端末上で調べた連絡先や地図などを、とりあえずプリントして使う/渡す/残すなどして利用できる。そうそう、端末上で閲覧を全て済ませられる時代ではあるものの、紙にしておくと便利ってシチュエーションは少なくないんだよなぁ、とかBrother iPrint&Scanアプリを使っていて思う。

 のだが、Brother iPrint&Scanアプリは同じ無線LAN内のプリンタにしか出力できない。外で印刷するには、やはり「Pocket Jet PJ-663」のようなモバイルプリンタが……あ、もっと小さいのあったハズ。昔に買ったし。で、最近は……てなハコビでMW-260への興味が急増大したんであった。というわけで、以降、MW-260の機能や使用感などをレポートしてみたい。

 

A6サイズで印刷できる板状プリンタ

 MW-260はA6サイズの専用紙(感熱記録紙/サーマルペーパー)にプリントできるポータブルプリンタ。スペックはココにあるとおりだが、インターフェイスとしてBluetooth/IrDA/USBの3種類に対応した「汎用的なサーマルプリンタ」なのである。

 どの端末(ホスト)で使えるかは、現在のところWindowsマシン(Windows 2000 Professional/XP/Vista/7)、PDA(Microsoft Pocket PC 2003/2003SE/Windows Mobile 5.0/Palm OS)、それからAndroid端末となる。なお、Android端末で使う場合、後述の専用アプリが必要になる。

サイズは幅130×高さ210×厚み18.5mm。板状のポータブルプリンタなのだ質量は電池や用紙を含めて約520g。タブレット端末程度の嵩張り感があるハガキサイズのプリントが得られる。用紙は専用のサーマルペーパーだ
Bluetooth/IrDA/USBの3種のインターフェースを持つバッテリー満充電から連続で約50枚の印刷が可能充電は専用ACアダプタから。USB充電はできない

 このタイプのプリンタ、前述のとおり以前に購入したことがある。本連載バックナンバーでレポートした「M Print MW-100e」がソレですな。MW-100eで得られるプリントはA7サイズで、用途がけっこー限定されたが、MW-260はその倍となるA6サイズが使える。

 で、MW-260の用紙サイズ的な使用感から言ってしまえば「工夫次第でかな~り使える」と感じた。A6サイズは、A4サイズの1/4。ほぼハガキと同じサイズ。

 こんなサイズの用紙にプリントすると、たとえばPowerPoint書類をA4用紙に「4in1」で印刷したときのようなドキュメントサイズ/密度というイメージになる。ほぼハガキサイズって、プレゼンテーション資料などを違和感なく閲覧できる限界のサイズかもしれない。プリンタ本体/用紙のポータビリティと印刷結果の視認性を両立させているという点では、A6サイズってけっこーイケてますな。

ドコモのGALAXY Tab 10.1 LTE SC-01Dと、まあだいたい同程度の嵩張り感。両方持ち歩くと、モバイル向けノートPC程度の容積/質量というイメージA6のサイズは148×105mm。ハガキが148×100mm。MW-260では、ほぼハガキサイズの用紙が使えるわけですな。用紙的もポータビリティに富むサイズだ手に持った感じ。目的地付近の簡易的な地図、連絡先リスト、ToDoリストなど、ほぼハガキサイズでカバーできるプリントは意外に多そうな気がする

 ちなみに、A7サイズ対応のモバイルプリンターとしては、MW-120 TypeFMW-145BTがある。が、個人で購入しよっかナ~と考えており、かつ、「どうしてもA7サイズである必要はナイ」という場合、MW-260のほーがいいように思う。A7サイズ対応モデルのほーが携帯性に優れてはいるものの、A7サイズ用紙に印刷&活用となるとプリントできる情報およびその種類に制限があるからだ。プリンタ本体の携帯性と、プリントの実用性を考えると、MW-260のA6サイズはやはりバランスが良いと思う。……って、それ以前に「買うゼ!!」と思ってる人はそーそーいないかも、ですな。

 さて、MW-260の携帯性については、サイズが幅130×高さ210×厚み18.5mmで質量が約520g(電池/感熱紙(C-211)含む)ということで、十分携帯に向く。その嵩張り感はタブレット端末程度で、重さはタブレットより軽いというイメージなので、積極的に活用するユーザーなら常時携帯も現実的だと思う。

 実際にAndoroid端末とともに外に持ち出してみたが、たとえばタブレットからのプリントアウトを無線(Bluetooth)で行えるのは快適&楽しい。MW-260は電池も用紙も本体内に格納していて、プリント時にトレイをセットするなどの手間も不要。Android端末側でプリントの操作をすれば、MW-260本体前面下部からプリントアウトされる。実際の使用感は非常にスムーズでスマート。気分がいい。

 

印刷品位と専用紙各種

 次に印刷品位や印刷速度、それから使える用紙を見ていこう。まず印刷速度だが、平均的なテキストの場合は1枚で15~25秒程度かかることが多く、ドキュメントに図版などのグラフィックが含まれるとさらに時間がかかることもある。モノクロ2値だが写真なども印刷できる。ただし写真などは1枚で1分~1分半程度かかることが多い。基本的にテキスト印刷向けプリンタって感じですな。

 印刷品位だが、サーマルプリンタなので、現代的なインクジェットプリンタのようなクッキリ感/精細感はない。が、印字解像度は300dpi×300dpiで低くはないので、視認性を考慮しつつドキュメントの用意~印刷設定をすれば、十分キレイな印刷物となる。以下、どんな感じで印刷されるのか見てみよう。

Microsoft Wordからテキストをプリントしてみた。フォントはMS明朝でサイズは10.5ポイント。ギリギリ読めるが視認性が良いとは言えない。文字がカスレたように見えるサイズを12ポイントにしてみた。視認性が少し良くなったが、スムーズに読めるサイズではない。ただ、情報を多量に詰め込みつつ、どうにか読めるというバランスはあるサイズを14ポイントに。まだ文字が小さくて読みやすいとは言いにくいが、まずまずキレイな印刷物という印象になった。これなら用途限定で実用レベルと言えそうだ
サイズを16ポイントに。雑誌などの写真に添えられる説明文程度の大きさとなり、大きな問題はなく読める。ただ、書体が明朝なのでクッキリ感が少ない印象となったサイズは16ポイントのまま、フォントをMSゴシックにしてみた。これならシッカリ読める。この状態で1枚に33字×21行印刷されている。なかなかの情報量である写真もこのようにプリントできる。カラー写真/図版は全体的にグレーがかってしまうので、ネット上の地図や写真のプリントにはイマイチ向かないMW-260かもしれない

 Microsoft Wordを基準として言えば、フォントをMSゴシックなど線の太さの抑揚の少ないものにし、文字サイズを16ポイント程度以上とし、余白を狭くしてプリントすれば、メモやリストとして読みやすい状態のプリントアウトが得られると思う。こういった設定なら、上記写真のように1枚に700文字程度入るので、MW-260からのプリントアウトを実用的な書類として利用できると思う。

 ちなみに、上の写真で使っている用紙は、MW-260の標準用紙である感熱紙C-211。1個のペーパーカセットに50枚入っている。なお、1個だけでは購入できず、市場では20カセット単位で売られている。ブラザー直販価格は20カセットで6615円。1カセット330円相当。1枚6~7円程度。サーマルプリンタはインクなど一切不要なので、ランニングコストは悪くないように思う。

 この感熱紙C-211のほか、高保存性感熱紙C-212、複写紙C-251、切取用紙(3分割)C-261がある。高保存性感熱紙は、冷暗所に保存すれば10年間保管後にも印刷内容を判読可能な用紙だそうだ。この点、感熱紙C-211は1年経過したら判読不能になってもおかしくない用紙で、経済性を優先しているとのこと。

 やや余談だが、感熱紙というとクセがあってクルリと丸まってしまうイメージがあるが、MW-260の専用紙はそういうクセはない。上記各種専用紙も同様、カールせず平らな紙状態で使えて便利だ。

高保存性感熱紙C-212と感熱紙C-211。前者は10年程度保管したあとでも印刷内容を判読できる用紙だ長持ち用紙と普通の用紙。並べてみても全く違いがわからない。手触りにも違いは感じられない印刷して見比べると、高保存性感熱紙C-212のほうが若干クッキリと濃い、といった印象になる
複写紙C-2512枚で1組の複写紙だ「控え」と「受領書」などを同時印刷できる
切取用紙(3分割)C-261用紙用面にミシン目がある用紙のミシン目で3枚に切り分けられる

 上の写真ではわかりにくいと思うが、高保存性感熱紙C-212は好印象。10年程度保つというのも嬉しいが、感熱紙C-211よりも黒ノリが良いためか、ドキュメント全体が高コントラストに見える。文字印刷時にその違いがあまり出ないように見えるが、細部のカスレ感が少ないので書類として読みやすい。

 あ。突然思ったが、MW-260などのサーマルプリンタの用紙ことサーマルペーパー(感熱記録紙)は扱いに注意が要る、のを、FAXすら縁遠くなった今時の人は知らないかもしれない。サーマルペーパーは熱を加えると黒くなる(のを利用して印刷している)ので、熱しちゃダメですヨ。強く擦ったりしても摩擦熱で黒くなっちゃうのダ。この点に留意しないと、箱買いした高保存性感熱紙C-212を暖房器具近くに置いちゃって全部黒くなっちまって廃棄処分になって悲……え? だからC-212箱買い以前にMW-260買わないってか!?

 いや、でも、「ボクはどーしてもMW-260を買いたい!!」って人のために、MW-260用オプションをもうひとつ。ペーパーガイドPG-200である。これを装着しておくと、MW-260からのプリントアウトが風に飛ばされたり、印刷中に触れてビッて破っちゃったり、みたいなトラブルを防げるのだ。数枚なら印刷物をそのままペーパーガイド内にためておけたりもする。屋外でMW-260を多用するならぜひ揃えておきたいアイテムと言えよう。

ペーパーガイドPG-200。その名のとおりMW-260からのプリントアウトをスムーズに受けるトレイだMW-260とはこのように一体化する。容易に外れない……というか、一度装着したらそのまま使うモノこんなふうにプリントアウトをしっかり受ける。プリントはペーパーガイド上部からスッと引き抜ける

 MW-260を買った場合、主に役立つのはモバイルノートPCとBluetooth接続してのプリントアウトとなりそうな予感ではある。現在のところ、MW-260を利用可能なスマートフォン類はAndroid端末だけだからだ。また印刷方法(アプリ)も限られている。

 具体的な方法は、アンドロイドマーケットから入手できるBrother Image Print Demo(JPEG/PNG/BMP印刷用)を、Brother Print Library(前者のアプリが必要とするライブラリ)とともにインストールすれば、Android端末内のJPEG/PNG/BMPといった画像ファイルをMW-260でプリントアウトできるようになる。

 でもまあ、来たメールをそのまま手軽にプリントアウトとか、開いたドキュメントの1ページをサクッと印刷って感じではない。「画像ファイルをプリント可能」ということで、メーラやブラウザの表示を一度スクリーンショットとして保存したり、あらかじめドキュメントを画像として保存しておいて、から、プリント、という手順になる。プチ回りくどいというか、一手間要るわけですな。

 この点、ブラザーに「なんかiOS端末とかAndroid端末でスムーズに使える印刷用アプリとかないんでしょうか?」と訊いたら、「現在いろいろと開発中ですので随時お知らせします!!」とのこと。汎用印刷アプリ的なモノが出てくれば、MW-260の価値が大きく変わると思うので、そのあたりも含めて今後に超期待している俺である。

 

2011/10/24 06:00