ノートPC向けスピーカー2機種を試用

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ノートPC向けスピーカー2機種を試用

 ノートPCをわりと多用する俺なんですけど、いつもつきまとう残念感と言えば内蔵スピーカーの音質。音質云々のレベルにすら至らない例のあのチープな出音ですな。大きめのノートなら多少マシだが、携帯を前提としたノートPCの音は……全滅状態と言えよう。

 解決策としては、ヘッドホン/イヤホンを接続するか、あるいは外部スピーカーをつなぐか。フツーはヘッドホン方面でサクッと解決すると思う。が、リラックスして音楽を聴くとか、複数人数で楽しむにはやはり外付けのスピーカーが欲しいところ。

 てなわけで今回は、ノートPCに外付けするに良さそうなスピーカー2機種を試してみた。両方ともロジクール製で、それぞれLogicool Laptop Speaker Z205Speaker System Z320である。

ロジクールのLogicool Laptop Speaker Z205。ノートPCなどとUSB接続して使える小型のステレオスピーカーだLogicool Laptop Speaker Z205はノートPCの液晶パネルにクリップオンして使用できる。クリップオンせずとも自立するので机上などにも置けるロジクールのSpeaker System Z320。汎用のステレオスピーカーだが、ノートPCと組み合わせて使うのもなかなか快適

 Logicool Laptop Speaker Z205はポータブルスピーカー。ノートPC用で、かなり小型なのだが意外とイイ音を出してくれる。USBバスパワー駆動の利便もあり、サブノートやネットブックと一緒に持ち歩くならコレかも。

 Speaker System Z320は汎用スピーカーだが、写真の印象よりもコンパクト。ノートPCと組み合わせて使ってもチグハグ感がない。独自の360°サウンド(オムニディレクショナルサウンド)は、良い意味で「ステレオスピーカーを大雑把に活用する」においてナイス感が高いかもしんない。

 ともあれ以降、これら2機種の機能や使用感を見ていこう。

携帯も利用もラクなZ205

 まずはLogicool Laptop Speaker Z205(以下、Z205)から。ノートPCの液晶パネル額縁にクリップオンして使える小型のステレオスピーカーですな。

Z205のサイズは幅180×奥行き34.33×高さ64mmで重量は150g。テレビの小振りなリモコン……的な大きさ&重さだキャッシュカードと比べるとこんな感じこのようなポーチ(付属)に入れて持ち歩ける。付属のUSBケーブルの長さは60cm。コネクタ部(ミニB側)が直角になっていて扱いやすい
台座部分はクリップになっていて、20mm程度開く。液晶額縁が10mm程度までのノートPCになら問題なく装着できるだろう。もちろん、机上へ立てての設置も可能液晶額縁にはこのようにセットする後方から見たところ。使用時は本体後方下部にUSBケーブルなどがつながる

 Z205には直径40mmのフルレンジユニット(スピーカー)が2基内蔵されている。最大出力は2Wで、周波数特性は210Hz~18kHz。PCとはUSB接続し、音声はUSB経由で送られ、電源はUSBバスパワーを利用する。ま、要はこの小さなスピーカーをPCとUSB接続すれば即ステレオサウンドを楽しめるっつーコトですな。

 肝心の音質はと言えば、スピーカー自体が小型なので低音はあまり得られず、高音が目立つ感じ。だがチープな音というイメージではなく、アナウンスなどの音声は明瞭でバランスが良く、音楽を聴いてもまあまあ楽しめるし、ステレオ感もまずまずある。

 さすがに重厚とか荘厳とかいうイメージの音楽だと「なんか軽い曲になっちまいますな」的な印象は残る。が、ノートPC内蔵スピーカーとは比べられないほど高音質だったりする。

 拙者的印象は「こんなに小さくて薄っぺらいステレオスピーカーなのに、意外なほど頑張ってる」というもの。ロジクールオンラインストア価格が3980円となっているが、携帯性抜群&ソコソコ高音質なポータブルスピーカーとして、わりあい優れたコストパフォーマンスなのではないだろうか。

 ともあれ、そのサイズや質量、音質、クリップのギミックを確認すべく、一度実機に触れてみるのがいいと思う。

外部入力アリ、外部バッテリーでも一応動作のZ205

 なかなかヤルなZ205、とか思ったのは、このスピーカーに外部入力端子がある点。このサイズのUSBスピーカーってコトでハナから「USB接続したPCからの音しか出せない」と思い込んでいたが、各種音楽プレーヤーなどの音も出せるのであった。

Z205本体背面のコネクタ類。電源はUSBバスパワーを利用するので、USB端子(左)は必ず使用する。これに加え、外部音源からの音を入力可能なAUX端子(右)もあるZ205本体とPCをUSB接続し、さらにiPodなどを接続可能というわけですな。さらにPCの音とiPodなどの音を同時に出せたりする本体上部には電源スイッチとボリュームスイッチがある。このボリュームスイッチにより、外部入力の音量を調節できるようだ

 PC(USB)からの音声と、AUX端子につながったiPodなど外部機器からの音声が鳴る。なかなかイカス!! ……けど、もしかして排他利用? どっちか片方の音しか出なかったりする!?

 と思って説明書を読んだら、「パソコンでメディアアプリケーション(音楽/動画)を実行しながら、外部音楽プレーヤー(iPodやMP3など)を再生することは可能ですか?」という設問があり、これに対する答えとして「可能ですが、推奨しません」とあり、さらに「外部音楽プレーヤーを機器ながら、ノートパソコンで一般的な作業をすることができます。Z205では、MP3プレーヤーやiPodなどで音楽を楽しんでいる間に、あらゆるプログラムのアラート音やサウンドを再生します」と書いてあった。

 要するに、PC(USB)からの音も外部機器(AUX)からの音も、両方再生されるということですな。でも、理由はよくわかんないけどメーカー的には「推奨しません」となっている。ともあれ実際に試してみると、確かにどちらの入力からの音も同時に鳴る。なかなか便利じゃんZ205!! とか思った。

 ちなみに、恐らく、これはさらにメーカーが推奨しない使い方だと思うが、Z205に汎用のUSBバッテリーをつないだら……と思って試してみた。結果、使えたりした。

試した外部電源はダイヤテックはFILCOブランドのPowerBank slim 2.0(http://www.diatec.co.jp/products/det.php?prod_c=457)。USBバスパワーで使える機器のための外部バッテリーですなZ205付属のUSBケーブルで、Z205とPowerBank slim 2.0を接続。フツーにZ205の電源が入ったさらにiPodを(Z205のAUX端子に)接続して、再生。フツーに音楽が聴けたヨ!! ミニマムなオーディオコンポかも

 メーカーが推奨しないというよりもメーカー保証外であり可能性としてはZ205の破損も考えられなくはないので自己責任でネ、的なトライだが、PCの代わりにUSBバッテリーをつないでも機能しちゃったZ205であった。USBバッテリーもしくはUSB ACアダプタと(自己責任で)組み合わせればPCがなくても使えるスピーカーになるって点で、Z205の拙者内部価値がさらに高まった気がする。

みんなで使うのに向くSpeaker System Z320

 それから汎用スピーカーであるSpeaker System Z320(以下、Z320)。サイズは幅89×奥行き145×高さ198mmで重量は1,140gで、電源をACアダプタから取る据え置きタイプのステレオスピーカーだ。ロジクールオンラインストア価格は5980円。

Z320は据え置きタイプのステレオスピーカー。写真は設置時のイメージだが、実使用時には周囲にケーブルがつながる。各種ケーブルはスピーカー本体から外せない構造になっている左右の各スピーカーにはフルレンジユニットが2基(前と後ろ)搭載されている。出力は5W×2chで、再生周波数帯域は70Hz~20kHz。入力はステレオミニプラグ1系統で、ステレオミニのヘッドフォン出力も備える電源はACアダプタ。キャッシュカードと比べるとこんなサイズだ

 据え置きって点で、前述のポータブルスピーカーZ205とは利用シーンが異なるが、このZ320もノートPCやiPodなどの音楽プレーヤーと相性が良いように感じた。たとえば家の中、家族がよく居るような場所(リビングとか)にZ320を置いとくんですな。

 そこにノートPCを持ってきた人は、ノートPC内のサウンドをZ320で鳴らせる。iPodを持ってきたなら……てな感じで共用のスピーカーとしてZ320を使ったりすると、なんつーか、こう、良い意味で「乱雑かつテキトーに使うスピーカーとしてZ320が便利」だと感じる。

 そう感じる理由のひとつは、まず接続や操作が非常に簡単なこと。右側スピーカー下部のツマミが電源オンオフ~ボリューム調整になっていて、本体から伸びたケーブルの先に3.5mmのステレオプラグがあるだけなのだ。プラグをノートPCなりiPodなりiPad(先取りっ!!)なりウォークマン(古っ!!)なりのイヤホンジャックに挿し、ツマミをヒネれば使える。当然っちゃぁ当然のコトだが、こーゆー単純明快さは家族で共有する機材として実用的で良い。

 もうひとつ、Z320に搭載されている360°サウンド(オムニディレクショナルサウンド)技術。ステレオスピーカーが本来持つスイートスポットを大幅に広げたことにより、室内のドコに居ても高音質で聴けるというものだ。

 これを実際に体験してみると、なるほど自分の位置が変わっても、スピーカーから出てくる音の印象はあまり変わらない。不思議なことにステレオ感が大きく変化するという印象も少ない───逆に言えば、まあ立体的ではあるけれど、そのステレオ分離度が曖昧だという印象になる。もちろん、Z320の真正面に来れば「ここだな」とわかるスイートスポットはあるのだが。

 言い方は悪いが、マジメにリスニング位置を追求する気などはそーんなに出てこないZ320。しかしソコがラクかもしんない───Z320の近くに居ればソコソコの音&何となくのステレオ感でリラックスして楽しめる感じなのだ。前述の操作性や接続方法と合わせ、やはり全体的に気楽に使えるZ320だと思う。

 なお、音質は、低音も高音も少し物足りないかも!? という印象になった。が、音楽に集中するのが目的ではなく「もう少し音が良ければ楽しい」とか「みんなで聴きたい」という用途なら十分な音質だと感じられた。ともあれ、Z320の音質や360°サウンドの効果など、やはり実機で確認するのがいいだろう。

 てな感じのノートPC向けスピーカー2機種。拙者的にはUSB接続でポータブルなZ205がかなり気に入れた。据え置きのZ320に関しては、ロジクール製品だけでも相当数の競合製品があるので、Z320だけの強力な魅力ってのに乏しい。一方、Z205には他社製品を含めても「ありそうでなかった機能/使用感」がポチポチと。小粒で地味ながらも、なかなかソソる魅力を持つポータブルスピーカーですな。

2010/5/10 06:00