ACDSeeの最新版を購入

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


ACDSeeの最新版を購入

イーフロンティアのACDSee Pro 3。拙者はアップグレード/乗り換え版のパッケージ版を購入した

 遅ればせながら、2009年末に発売されたACDSee Pro 3日本語版を購入した。大量のデジカメ写真をサムネイルやフォルダを使って管理したり、色味や明るさなんかを調整したり、赤目補正とかテキスト追加とかトリミングとかサイズ変更といった加工ができたり、さらにはオンラインでの写真共有/公開(無料)までに対応した画像系統合ソフトですな。

 以前からACDSeeシリーズを愛用している俺なんですけど、最近はこのソフトへの依存度がさらに高くなっている。毎日ほとんど必ず使っとります。

 ACDSeeはデジカメ写真の管理に向くソフトだが、フツーに画像全般を扱えるし、動画もサムネイル管理/再生でき、サウンドファイルにも対応しつつ、GhostscriptをインストールすればPDFファイルも扱えたりするので、ACDSeeを(ファイル)エクスプローラ的に常用している。

 さておき、以降、ACDSee Pro 3日本語版の機能や使用感について書いてみたい。

ココ、飛ばして読んでOKっす

 さて、いきなり余談だが、ナゼ拙者が今頃になってACDSee Pro 3日本語版を買ったのか?

 ACDSee Pro 3日本語版の新機能/新インターフェースに対する興味からというのも確かだが、ぶっちゃけた話「最新版にすればあの症状が軽減される!!」ってのを知ったから。

 この「あの症状」とは、マウスポインタ(マウスカーソル)が飛んじゃうコト。これまでACDSee Pro 2(前のバージョン)を使っていたが、これを起動するたびにマウスポインタがビョーンと画面の端に飛んじゃうのであった。また、ほかの操作をしているも、たまにポインタがワープ。

ACDSee Pro 2を起動直後。画面左側(クイック起動付近)にあったマウスポインタが画面右下端に飛んじゃうのであった。ディスプレイはデュアル環境
ACDSee Pro 2で画像のプロパティを表示させ、下端のEXIFタブをクリックすると、ポインタが上端に飛んじゃったりもするACDSee Pro 3では、このマウスポインタ飛び症状がわりと少なくなっている。が、処理モードにすると[キャンセル]の上にポインタがワープしたりこの症状、マウスのプロパティで[ポインタを自動的に既定のボタン上に移動する]にチェックを入れていると起きる。チェックを外すと起きない

 原因は、マウスのプロパティで[ポインタを自動的に既定のボタン上に移動する]にチェックを入れているから。この状態でACDSee Pro 2などを使うと、起動時や作業中にマウスポインタがときどきアサッテの方向に飛んだりする。もーね、そーとーなフラストレーションになるんですよ。でも通常は、ポインタを既定ボタンの上に自動移動させたい拙者。

 で、ACDSee Pro 3だとこの症状があまり起きないようになった。上の写真のように、まだ一部の機能を使うとポインタがワープするんだが、でもイライラ激減。あー良かったねぇ>拙者、的な。

ACDSee Pro 3は何ができる?

 さてさて本題。まずはACDSee Pro 3の基本的な機能から。このソフトを使うとナニがデキるの? といったことからですな。

 ACDSee Pro 3には、4つのモードがある。それぞれ、[管理]、[表示]、[処理]、[Online]となる。

[管理]モードでの表示例。写真などをフォルダ/サムネイルで管理できる[表示]モードでの表示例。1枚の写真を鑑賞したり精査したりするのに向く
[処理]モードでの表示例。写真の色味などを調整したり、簡単な加工を行える[Online]モードでの表示例。ACDSee Onlineウェブサイト(無料)を使って写真の保管/共有ができる

 このうち、[管理]と[表示]はワンセットで考えちゃっていいと思われる。[管理]モードでは写真をサムネイル/フォルダで表示することを中心に、写真を多角的に整理したり探したり扱える。で、サムネイルの一枚をダブルクリックすると[表示]モードに移行。[表示]モードでは1枚の画像を鑑賞~精査したり、複数枚の画像の細部を見比べたりできる。

[管理]モードでは基本的にフォルダ/サムネイルで画像を見たり探したりする写真に含まれるEXIF情報から、自動的にカレンダー上に写真を割り振り、日付などから写真を見つけていくこともできるカメラのメーカー別や機種別で写真を見つけることも可能。ISO感度別とかホワイトバランス別、みたいな表示もできちゃう
一括処理も得意。たとえばファイル名やファイル形式、EXIF情報などをサクッと一括変更することができるACDSee Pro 3自体、カスタマイズ性が高い。たとえばサムネイルサイズは極小~特大まで自由かつクイックに変更できるどの情報窓を表示/非表示にするかなどインターフェースのカスタマイズも柔軟に行える
サムネイルをダブルクリックすると[表示]モードに移行。1枚の画像を大きくしたりして閲覧するモードですな。さらにダブルクリックすると[管理]モードに戻る[表示]モードでは、もちろんスライドショー表示も可能複数枚の画像を同じ拡大倍率/同じ位置にスクロールしての精査も可能。オートブラケット撮影時などには超便利な機能である

 それと[処理]モード。これは画像を加工できるモードですな。現像と編集の2つのサブモードがあり、現像サブモードで写真の露出/色調/レンズ歪みなどを補正でき、編集サブモードでは赤目補正/テキスト追加/特殊効果追加などを行える。また、この[処理]モードは非破壊的な処理に対応していて、処理後の画像でもすぐにオリジナル(処理前)に戻すことができる。

[処理]モードの現像サブモードでは、画像の色味や明るさ、トーンカーブなどを容易に調整することができる[処理]モードの編集サブモードでは、画像の細部修正やトリミングや特殊効果の追加など、より積極的な画像処理を行える処理後の画像はサムネイル上に「D」(現像済み)や「E」(編集済み)のマークが付く。処理後でもすぐに元画像の状態に戻すことができる

 それから[Online]モード。これはネット上の専用ストレージサービスを使うためのモードで、具体的には2GBの保存容量を無料で利用できるACDSee Onlineへ直接アクセスできる。ネット上の写真保存/共有サービスですな。ACDSee Pro 3上で画像を整理しつつ「あ、コレは共有しよう」と思ったら即ウェブに上げられるので、意外に便利だったりする。

[Online]モードの表示例。ACDSee Pro 3上からウェブ上のオンラインストレージサービスを利用できるモードですなサムネイルをドラッグ&ドロップする程度で画像をアップロードできるACDSee Onlineへは、もちろんウェブブラウザでアクセス/利用できる

 このよーな4つの機能を使って写真を整理/閲覧/加工/共有できるACDSee Pro 3。それぞれ十分高機能。写真をはじめとするファイルを自由に扱える画像系統合ソフトである。

全体的に高速、カスタマイズで快適に

 ACDSee Pro 3の全体的な使用感だが、従来のバージョンと同様に表示などが高速で快適だと感じる。ACDSee Pro 2と比べると……起動にかかる時間もすこーし短くなった……ような気がする。

 ACDSeeシリーズは、サムネイルなどの情報を独自のデータベースで管理している。一度サムネイルを構築/表示した画像は、次回からはデータベースから情報を読み出すために超高速でサムネイル表示されるようになるんですな。また、サムネイルから拡大表示や等倍表示を行った(サムネイルをダブルクリックなどした)ときに拡大表示などが行われる動作もスムーズだと思う(もちろんPCのスペックにもよるが)。

多量の画像を含んだフォルダを開いても、一瞬でサムネイルが表示される。ただし、初回のアクセスはサムネイル構築にある程度時間がかかる。二度目のアクセスから超高速ってコトですな高速でサムネイル表示などがなされるのは、独自のデータベースを自動構築しているからだACDSee以外のソフトで画像を削除するなどすると、データベース上にオーファン(orphan)と呼ばれる孤立した情報ができてしまい、正しくファイルを開けないことがある。ので、ときどきデータベースのメンテナンス処理が必要なことも

 ACDSeeシリーズではEXIF情報を元にした高速な検索(たとえば特定のデジカメ機種で撮影した画像のみを表示)なども可能だが、こういった検索機能も前述のデータベースのおかげだ。ただ、データベースはときどきメンテナンスしてやる必要がある。

 というのは、たとえばWindowsのエクスプローラ上で画像ファイルを削除したりフォルダを移動したりした後、ACDSeeシリーズの検索機能などを使うと、ファイルをうまく見つけられなくなることがあるからだ。

 ACDSeeのデータベースは、ACDSee上からアクセスして初めて作られるし更新もされる。ので、別のソフトでファイルの削除や移動をしてしまうと、ACDSeeデータベース上には「ある」はずのファイルなどが実際には「ない」状態になり、検索などしても巧くヒットしなくなるのだ。いわゆるオーファン(orphan)がデキちゃうんですな。

 さて、ちょっと話が逸れたが、快適さという点ではACDSee Quick Viewも相変わらず便利だ。ACDSee Pro 3を起動するまでもなく画像をちょいと閲覧したいという場合、画像をダブルクリックすると“ACDSee Pro 3の表示モードの機能制限版的なビューワ”が即起動し、画像を見られるという機能だ。

デスクトップ上などで画像をダブルクリックすると……即座にACDSee Quick Viewが機能し、画像を表示できる。画像の拡大/縮小や回転なども可能。同じフォルダ内にある画像なら順送り/戻ししつつ閲覧できるこちらは[表示]モード。ACDSee Quick Viewは[表示]モードから機能を削減した“クイック&ライト版の[表示]モード”といったイメージだ。機能制限があるかわりに、超高速で使えますヨ、みたいな

 速度的には多くのシチュエーションで快適だと感じられるACDSee Pro 3だが、より快適な使用感を求めるなら、やはりある程度のカスタマイズが必要になると思う。たとえば[表示]モードでどんな情報を追加表示させるかで、役立ち方がずいぶん変わってくる。

[表示]モードで1枚の画像を表示。画像を精査するには、表示される情報がちょいと少ない感じですなそこで表示設定を変更。どんな追加情報を表示させるかをカスタマイズしていく画像全体を見ながら、ヒストグラムを参照しつつ、部分的に等倍表示できるようになった。白飛び/黒潰れなども確認可能に

 こんなふうなカスタマイズ性の高さは、ほかのモードでも同様。ユーザーの必要に応じて自由自在にカスタマイズできるのがACDSeeシリーズの大きな魅力であり利便である。

 ただ、どのソフトにもある印象だが、「ここがカスタマイズできて、ここは一切カスタマイズ不能かよ!!」という部分もある。拙者的には特定モードでしか背景色を変えられないところ。ほとんどのモードで濃いグレーのような固定の背景色となっているようだ。ま、細かい話なんですけどね。でもさらに細かく言うと……。

 拙者の場合は[表示]モードの背景色を白にしている。これは、写真のなかの白と容易に比べられるから。色かぶりが起きてないかなどをパッと見で判断できるんですな。同様に、サムネイル表示の背景も白なら、サムネイルを見るだけである程度の色の偏りなどを判断できる。が、サムネイル表示の背景色は濃いグレー固定。

 てな理由で、各モードで好みの背景色を選べたら有り難かったんだが、ACDSee Pro 3でカスタマイズできる背景色は[表示]モードの背景だけみたいですな。

完璧じゃないけど十分満足

 ACDSee Pro 3を使う前は、ACDSee Pro 2を使っていた拙者。両ソフトはインターフェースがけっこー違う。ので、ACDSee Pro 3使用開始当初「慣れるまでに時間がかかるかな?」と思っていた。が、そーでもナイですな。基本部分は従来のバージョンと共通しているので、わりと短時間で快適に使えるようになった。

 また、慣れてみるとボタン位置やプルダウンメニュー化したボタンなどもスッキリしていて好感触。ブラッシュアップされていると感じられた。また、画像の調整/レタッチは別ソフトで行っている拙者ゆえ、[処理]モードが[管理]や[表示]モードと分離された点も使いやすい。

 ただ、使っていてちょっと戸惑ったことも。たとえば画像の回転だ。[管理]モードや[表示]モードでは、画面左下付近に画像を回転させるためのボタンがある。これをクリックすると画像が回転するのはいいのだが、回転処理がかかった直後、保存されちゃったりする。

[管理]モードや[表示]モードの画面左下付近に画像回転ボタンがあるこれをクリックすると画像が回転。そして回転した状態で保存される回転/反転のオプションで[JPEG可逆回転を行う]を選べば、JPEG画像を回転させても画像の劣化を避けられる

 この回転ボタン、フツーの機能ではある。ワンクリックで画像を回転させられるので使用感も良好。

 しかし、前バージョンとちょっと違っていて戸惑う。てのは、ACDSee Pro 3以前のバージョンの場合、画像の1枚表示で回転操作を行うと、これをサムネイル表示に戻すときに「変更を保存しますか?」というダイアログが表示されたのだ(サムネイル表示だとダイアログは出ない=ACDSee Pro 3も旧バージョンも同じ仕様)。しかし、ACDSee Pro 3ではダイアログ(アラート)無しで即保存される。

 非常に細かな仕様変更なので、戸惑う人は少ないかもしれないが、拙者の場合は画像1枚表示で回転させ、サムネイル表示に戻るときに[保存]をクリックしたり、「あ、やっぱオリジナルをコピーしてから回転させよう」と処理をやめたりしていた。ので、いきなり保存されちゃうのには微妙な違和感が。

 とかいうヒッジョーに細かい話をグダグダ書いているのは、これらの“画面左下付近の画像回転ボタン”を使って画像を回転させた場合、画像をオリジナルな状態に戻すことができないから。“非破壊的な編集処理”がウリのACDSee Pro 3なのに……残念ですな。ちなみに、一括メニューの回転/反転(ショートカットはCtrl+J)で回転を行った場合はオリジナルに戻すことができる。

 ACDSeeシリーズの場合、上の写真のように回転オプションで[JPEG可逆回転を行う]にチェックを入れておけば、JPEG画像を回転させても画質の劣化を避けられるので、大きな問題ではない。

 ……でも、前述のマウスポインタのワープ現象などと同様に、どのバージョンに移ってもな~んかいつも、こういうごく小さな違和感が残るACDSeeではある。こういうACDSeeらしさ(!?)はぜひともなくしてほしい。

 てな感じのACDSee Pro 3。毎日のようにACDSeeを使いまくりの拙者においては、非常に小さな違和感が残ったものの、十分快適に使えるソフトだと感じられた。ので、これからは毎日ACDSee Pro 3で行きますヨ!!

 ただ、値段、高いですな。便利で高機能な画像ブラウザが多々ある時代だし、ACDSee Pro 3、買いやすい価格でないと思う人が多いのではないだろうか。

 ACDSee Pro 3ほど高機能である必要はないという場合、ACDSee 12やそのアップグレード版がいいかもしんない。

 たとえば、ACDSeeシリーズの持ち味である超高速なサムネイル表示は欲しいけど、画像加工とかレタッチとかはほかのソフトでやる、てな場合、ACDSeeのProシリーズは不要かも。ホームユーザー向けのACDSeeも十分便利なソフトなので、ぜひ一度チェックしてみてほしい。

2010/4/5 06:00