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 「isai」には、「LG G2」が発表された際に明らかになった、「Hi-Fiサウンド」再生機能が搭載されている。FLAC形式などで24bit、192kHzまでの音楽データの再生をサポートするもので、世間で今「ハイレゾ音源」と呼ばれているデータの再生に対応しているのだ。

 音質なんてよく分からないし、という声はハイレゾ音源を語る際によく返ってくるのだが、音楽CD(CD-DA)の16bit、44.1kHzという規格は1980年に策定されたもの。冷静に考えると、けっこう古い。ハイレゾ音源を映像フォーマットに(強引に)例えると、音楽CDの音源がDVD(640×480など)だとするならば、ハイレゾ音源はBlu-ray Disc(1920×1080)のようなものだろうか。細部がより細かく、綺麗になるという意味では、同じような傾向だと思う。

 DVDで十分というタイプの人にハイレゾ音源を進めるのは気が引けるが、これから買うならBDでしょ当たり前でしょとか考えている人には、ハイレゾ音源の良さもなんとなく伝わるような気がする。連載時から修正された作画やマッハバンドの処理、はては特典映像からオーディオコメンタリーにいたるまでしゃぶり尽くす業の深いアニメファンならば、μ'sや麻生夏子、豊崎愛生のアルバムをかつてない高音質で聞きたいと思うはずなのだが(シングルやアルバムのハイレゾ音源版が配信されています)、そのあたり、いかがだろうか。

「isai」にプリインストールされている「音楽」アプリ。「アルバムアーティスト」タグが入力されていると「アルバム」タグに置き換わってしまうなど、タグの処理に少しズレがある
ハイレゾ音源を再生するとタイトルの左に「HiFi」のロゴが付き、右下のオーディオエフェクトは無効になる。アルバム「Love letters」は「mora」にて24bit/96kHzのFLAC形式で配信されている

 「ハイレゾ音源」という呼び方に明確な規程はないのだが、メジャーなPCM方式では、概ね24bit以上の音源がハイレゾ音源と呼ばれている。「isai」は、FLAC形式で24bit、192kHzまでの再生をサポート。WAV形式にも対応している。DSD形式には対応していないが、現在配信されているハイレゾ音源で主流のフォーマットは、特別なアプリを用意することなく、プリインストールされている「音楽」アプリで再生できることになる。

 この「音楽」アプリは見た目も洗練されており、ロック画面で操作できる簡易ウィジェットにももちろん対応。ギャップレス再生に対応していないのは残念だが、ハイレゾ音源をまずは試してみたいという場合にも手軽で便利だ。

 現在のところ、タグの処理で、楽曲データに「アルバムアーティスト」タグが入力されていると、「アルバム」名の場所に「アルバムアーティスト」名が表示されてしまう問題がある。これだと分かりづらくなってしまうので、端末上で正確に分類したい人は事前に「アルバムアーティスト」タグを消すなど、少し工夫が必要だ。

 ハイレゾ音源は上記にもあるように音楽CDを超えるフォーマットなので、音楽CDでは提供されない。「e-onkyo」や、ソニー系に強い「mora」、「OTOTOY」などでダウンロード配信されている。

 ヘッドホンやイヤホンもハイレゾ対応の製品を、という声も聞かれるが、筆者自身は、これは後でもいいように思う。よほどチープな製品を使っているなら別だが、ある程度の製品なら、なんとか差は感じられるのではないかと思う。製品にポテンシャルがあれば、「このイヤホンでこんな音が出せるんだ」と驚くこともある。ハイレゾ音源とは、それほど“上流”での大きな変化だと感じている。ダウンロード配信が主体になるなど、サービス面も含めてポストCD時代の訪れを予感させるハイレゾ音源は、いろいろこだわりたいユーザーにまずは試していただきたい機能だ。