みんなのケータイ

 今回のNTTドコモが発表した2013年冬~2014年春モデルは、「スマートフォン全機種実使用時間2日間以上」が共通の特長。しかもスマートフォン11機種中5機種については、実使用時間3日間以上を実現するという。これまでスマートフォンはケータイに比べ、電池の持ちが悪いとされてきたけど、「ケータイを超えた」とまでは言えないものの、ほぼ遜色のないレベルに仕上がってきたというのが率直な印象だ。

フルHD対応約5.0インチWhiteMagic液晶ディスプレイを搭載。従来の液晶パネルに比べ、格段に明るく、省電力性能も高い。特に、屋外や快晴時などの明るいところでの視認性の良さは秀逸

 そんなロングライフを訴える新機種の中で、今回購入したのが富士通製スマートフォン「ARROWS NX F-01F」。ARROWSと言えば、過去の機種で発生したトラブルで不評を買っていたけど、2013年夏モデルの「ARROWS NX F-06E」を機に、設計をゼロから見直し、見事に『ReBORN』を果たした。同モデルを購入したユーザーからは、予想以上の安定度の高さと仕上がりの良さで、かなり高い評価を得ていた。

 そして、今回のARROWS NX F-01F。ハードウェアとしての基本路線は継承しているけど、チップセットは今回の冬モデルの標準であるSnapdragon 800に変更するなど、しっかりとバージョンアップし、NTTドコモの「おすすめ3機種」にも選ばれている。

ラウンドさせた背面は手にフィットする形状で、全体的にやさしいイメージのデザイン。底面のmicroUSB外部接続端子はキャップレス防水。本体左下角(写真右端)にはストラップ穴も備える

 まず、最初に目をひくのはボディ形状。従来のモデルは直線で構成されたボディで、どちらかと言えば、男性的なイメージが強かったが、今回は側面から背面にかけて、ゆるやかな曲線で仕上げられ、少しやさしいイメージになった。男性でも女性でも持ちやすそうなデザインだ。側面の電源キーと音量キーにはメタルパーツが使われていたり、背面は従来モデルに引き続き、耐久性を考慮したダイヤモンドタフコートで仕上げていたり、全体的に質感が高い。ちなみに、背面はARROWS NX F-06Eが少しザラッとしていたのに対し、今回のARROWS NX F-01Fはつるんとした仕上がり。これからの季節、手が乾燥したり、手袋を使うことを考えると、ストラップや背面カバーなどを使って、落下などのアクシデントには十分に気をつけたい。

 ARROWS NX F-01Fを手にして、次に気になったのはディスプレイ。この機種にはWhiteMagicと呼ばれる液晶ディスプレイが採用されている。このWhiteMagicの技術は元々、ソニーが開発したもので、現在はジャパンディスプレイが製造。グローバル向けモデルではソニーモバイル製などで採用があり、国内向けでは富士通製らくらくスマートフォン2 F-08Eで採用実績がある。一般的に液晶パネルがR(赤)、G(緑)、B(青)の3色のピクセルで構成されているのに対し、WhiteMagicでは白(W)のピクセルを加えることにより、少ない消費電力で明るく表示できるようにしている。

 実際の利用シーンで比較すると、これまでのスマートフォンでは少しでも長く使えるように、画面の明るさの自動調整をオフにして、画面をさらに暗くして使うことがあったけど、WhiteMagicは一般的なTFT液晶に比べ、同じ明るさでも消費電力を最大45%も抑えられるため、自動調整のままで問題なし。なかでも実使用で気に入ったのは、屋外の直射日光の下や快晴時の視認性。多くの機種は屋外で今イチ見えにくいことがあるけど、ARROWS NX F-01Fはそうった場所で手に取ってもクッキリと画面が見える。というか、はじめて見たときは、画面の明るさ設定を最大にしてしまったかと勘違いするほど、明るかった。

 そして、このWhiteMagicの低消費電力に加え、富士通製端末ならではのヒューマンセントリックエンジンによる省電力機能、各機能の動作を切り替えて電力消費を抑える「NX!エコ」などにより、実使用時間で97.1時間を達成。今回、各社から発表された冬春モデルの中でも文句なしにトップクラスのロングライフだ。実際の使用でもフルHD対応ディスプレイを搭載したモデルの中ではかなり電池の持ちがいい印象で、ひと晩くらい充電を忘れても電池残量が激減してしまうこともないし、ACアダプタ04(別売)での急速充電に対応しているのも心強い。

 ちょっと残念だったのは、従来モデルで対応していた卓上ホルダがなくなり、microUSB端子からの充電のみになったこと。キャップレスなので、ケーブルを挿せば、すぐに充電できるんだけど、決まった置き場所に慣れた人には今ひとつ。こういうところでもコストダウンを図っているのかも……。フルセグも付属のアンテナ付きイヤホンケーブルF01がほぼ必須なので、外出時には持ち歩いた方がいいかもしれません。

側面の電源キーと音量キーはメタルパーツを採用。質感も良く、デザイン上のアクセントになっている。ボクはホワイトを選んだけど、男性にはブルーブラックもおすすめ。ただ、ちょっと指紋が目立つかも
ARROWSシリーズの省電力機能「NX!エコ」。とりあえず、ONにしておけば、あとはおまかせでもあまり気にならない。細かい項目は詳細設定で設定可能。どうでもいいけど、この「やんわり」という表現はわりと好き(笑)
バッテリーモニターセンサーをチェックすれば、それぞれの主要な機能をあとどれくらい利用できるのかが確認できる
背面には富士通製端末でおなじみのスイッチ付スマート指紋センサーを備える。ボディカラーに合わせたカラーで仕上げられるなど、デザインも重視。今後はiPhone 5sのように、読み取りながら、学習していく機能にも期待
指紋は最大10本まで登録しておくことができる。普段の利用時にも画面上にガイドが表示されるので、初心者にもわかりやすい。指紋認証が利用できないときは、パターンでのロック解除も可能
電源キー長押しの「携帯電話オプション」の画面で選べる「タッチブロックモード」は画面タッチが無効になる機能。子どもや友だちにムービーや写真を見せたりするとき、タッチして誤操作してしまうことを防げる

 コストと言えば、気になるのは実売価格。ドコモオンラインショップの価格で比較してみると、一括払い額は7万560円で、Xperia Z1 SO-01Fの8万9040円、GALAXY Note 3 SC-01Fの9万2400円に比べると、2万円前後は割安。これに月々サポートが1680円×24回の4万320円が差し引かれるので、3万240円が2年利用時のARROWS NX F-01Fの実質的な負担額。おすすめの3機種以外のモデルに比べ、約8000円~2万円弱程度は割安になる計算。2013年夏モデルのような極端な価格差はないので、価格的なアドバンテージは少ないけど、防水で全部入り(卓上ホルダを除く)というARROWSらしいスペックと機能は、かなり楽しませてくれそうな気がします。