みんなのケータイ

 KDDIが5月13日に発表した東京・町田「グランベリーモール」における“O2O”(Online to Offline)の実証実験。取材に訪れた発表当日から実験が開始されたこともあり、さっそく現地で利用してみた。

 まず、ショッピングモールでの実証実験ということで、キャリアに関係なくiOS、Android端末で利用できる。ドコモやソフトバンクもO2Oの実証実験やサービスを開始しているが、さすがにいずれもキャリアフリーというのが一般的だ。筆者は「GALAXY S III Progre SCL21」でさっそくアプリをダウンロード。Androidでは「すなっぴん」(SNAP IN)、「くーぴん」(COUPON IN)ともにGoogle Playで配信されている。

 利用登録では、誕生年(=年齢)と性別、郵便番号を入力した。2つ提供されているアプリのひとつ「すなっぴん」は、店舗スタッフなどが撮影した旬のアイテムの写真をまとめて見られるアプリで、実際にお店で使えるクーポンも付属する。トップ画面にはアパレルや料理の華やかな写真がタイル状に並び、SNSの画像一覧画面を覗いているようだ。スタッフの撮影テクニックも問われそうである。店内やお店の前で撮影された写真もあり、モールの常連客にとっても「あの店ってこんなアイテム売ってたんだ」と発見があるかもしれない。

 「レディースファッション」「スポーツ・アウトドア」などジャンルで絞り込むことも可能だ。写真をタップすると拡大画像が表示され、店舗が提供しているクーポンや地図、電話番号、営業時間など、ひと通りの情報にアクセスできる。このアプリはモール内の位置情報とは関係がないので、モールを訪れる前、自宅や移動中にチェックしてお買い得なアイテムを探すのに便利。昨今では各ショップやブランドそれぞれで情報発信を行っているだろうが、ショッピングモール単位でまとまって見られるのは理にかなっている気がする。

 クーポンは店舗単位になっているようで、個別のアイテムを紹介する写真と必ずしも一致しているわけではないが、新着商品や店舗の雰囲気を知る上でこうした店舗側が発信する写真が並んでいるのは分かりやすいと感じた。

 ちなみにクーポンは画面を店員に提示する形式で、「利用する」ボタンは使う直前に押すという仕組み。誤操作を防ぐために、画面上でスライド式のスイッチを操作すると、クーポン利用ボタンを押せるようになる。「Like!」ボタンでお気に入りに登録しておけば、後から簡単に呼び出せる。

「すなっぴん」のトップ画面

 「くーぴん」はグランベリーモールの中の位置に応じてクーポンがプッシュ配信されるアプリ。クーポンの内容は「すなっぴん」で配信されるものと共通だ。アプリをインストールし初期設定を済ませたら、あとはWi-Fiをオンにしておく以外の設定は不要なので、想像していたよりも手間はかからない。もっとも、「クーポン配信エリア」を探してウロウロするというのも本末転倒な気がするので、実際の利用イメージは、訪れたい店は決まっているが、念のため店舗の近くでスマホを確認したらクーポンが届いていた、という感じだろうか。

 まったく訪れないエリアのクーポンはプッシュ配信では取得できないが、一度取得したクーポンはアプリに保存されるので、モール内を練り歩くと多くのクーポンを取得できると思われる。「目の前のこのお店で使えるクーポンはどれだろう」とか、「さっき追加されたクーポンはどれなんだろう」といった、検索性や新着表示などは改善の余地がありそうだ。

 今回のサービスは正式なサービスインではなく、あくまで実証実験なので、アプリやサービスの仕様に検証向けの要素が含まれているが、「すなっぴん」などは下調べにも便利ではないかと感じた。

「くーぴん」インストール後、クーポン配信エリアに入ると通知バーに表示される
Francfrancのクーポンは、4000円以上の買物でマグカップがもらえるというもの
クーポン利用時の画面
飲食エリアは、まとまってクーポンがプッシュ配信されてきた