みんなのケータイ
スマートフォンで株式会社を作れる時代になった
【arrows NX F-01J】
2017年4月4日 06:00
何を言っているのかわからねーと思うが、俺も頭がどうにかなりそうだった。住基カードはどこに行ったとか、資本金1円がありえないとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいarrows NX F-01Jの片鱗を味わったぜ……。
と混乱するくらいには感動した出来事があったのでここでお伝えしたい。なんと、F-01Jがあれば株式会社を設立できるようになったのである。いや、さすがにそれは誇張しすぎで、正確に言うと、この2017年1月からF-01Jを個人番号(マイナンバー)カードのリーダーとして使えるようになり、株式会社の設立に必要な電子定款の認証の申請などが可能になったのだ。なるほど、F-01Jは公証役場と仲良しなフレンズなんだね! すごーい!
あれ? 何がすごいかよくわからない? たしかに、会社を作るなんてあまりないことだし、筆者も初めての経験だったのだけれど、とにかく株式会社を設立するには、会社に関する決め事を記載しておく「定款」というものを作らなければならず、その定款を昔ながらの紙書類ではなく「電子定款」として電子データで申請するには、個人番号カードに記録されている代表者本人の電子署名が必要。そしてその電子署名を利用するには、これまでは専用のICカードリーダーを必ず用意しなければならなかったのだ。
e-TAXを利用した確定申告とか、特許の出願も同じ。とにかく、これまで専用のICカードリーダーが必要だった電子署名付きの書類をやりとりする行政手続きで、F-01Jを活用できるわけ。といっても、最近はせいぜい2000~3000円もあれば個人番号カード対応のICカードリーダーを購入できるので、対応スマートフォンがないとしても、その点だけで言えば金銭的にも、手間としてもさほど負担になる話ではない。のだけれど、電子定款にすることで、紙の定款の場合に印紙代として余計にかかってしまう4万円を浮かすことができるし、F-01Jがあれば簡単にそれに必要な環境を整えられるのは、やっぱりうれしい。
個人番号カードに対応したスマートフォンはF-01J以外にもある。でも、以下のURLにあるように今のところ合計で6機種と少ない。らくらくスマートフォン4 F-04Jがリストに含まれているのに意表を突かれつつ、その他にはNTTドコモのAQUOS EVER SH-02J、auのAQUOS U SHV37、AQUOS SERIE mini SHV38、ソフトバンクのAQUOS Xx3 miniが対応しているようだ。
注意しなければならない点としては、スマートフォンを利用した電子署名読み取りがmac OSは対応しておらず、Windowsでしか利用できないこと。スマートフォンはNFCリーダー機能(と専用アプリ)を使って個人番号カードを読み取り、PCは「JPKI利用者ソフト」上でBluetoothを使ってスマートフォンとそれらの情報をやりとりする形になるのだが、Bluetooth経由の読み取りを指定する方法が現在はWindows用の「JPKI利用者ソフト」にしかないためだ。
そういうわけで、Windows PCを持っていない(Macユーザーな)人にとっては、結局ICカードリーダーを購入した方が無難、ということになってしまうのだけれど、スマートフォンで電子署名して会社を設立する姿はなかなかにギークな雰囲気がある(と思う)ので、テクノロジー企業を設立する人には強くおすすめしたい。これからは、スマートフォン購入の基準の1つに「個人番号カードに対応(しそう)かどうか」も加えていきたい所存である。
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