ケータイ用語の基礎知識
第875回:Android Enterprise Recommended とは
2018年10月2日 17:58
Androidは、スマートフォンを初めとしたモバイルプラットフォームとして、最も多く使われているプラットフォームです。しかし、そのバージョンやハードウェアによって、さまざまな違いが存在します。
今回紹介する「Android Enterprise Recommended(アンドロイド エンタープライズ リコメンデッド)」は、ある程度、法人が導入しやすい水準にある機種として、グーグルがいわばお墨付きを与えるプログラムです。
「Android Enterprise Recommended」のエンタープライズとは、英語で「冒険」「企業」「企画」といった意味があります。法人向けといった意味合いでもよく使われるワードで、このプログラムの名称は、法人利用に適した端末・サービスの推奨端末、ということになるわけです。
グーグルは、2018年2月、にエンタープライズ向けに「Android Enterprise Recommended」を発表しました。
当初は、「LG G6」「L-03K」「V30」「HUAWEI Mate 10」「 HUAWEI Mate 10 Pro」「BlackBerry KEY2」などが含まれていました。
最近では、シャープのスマートフォン「AQUOS R2」シリーズ2機種および「AQUOS sense」シリーズ3機種の計5機種も追加されています。シャープでは、Android Enterprise Recommendedに対応することにより、グーグル推奨の法人向け機種として信頼性が増すことに加え、グーグル推奨のモバイル管理製品(EMM、Enterprise Mobility Management)との互換性も高まり、さまざまなビジネスシーンでの活用が期待できるとしています。
EMMを提供する事業者、日本であればソフトバンクや富士通などをのサービスを受け、必要なポリシーや管理アプリを端末に設定すれば、セットアップ時に管理アプリが自動的にインストールされるため、ユーザーが端末を手にした瞬間から管理を適用できるわけです。
推奨端末の条件
Android搭載のスマートフォンやタブレットには、もともと、サンドボックスの暗号化など、セキュリティ機能が用意されています。しかしAndroid Enterprise Recommendedの機種には、さらに厳しいセキュリティ条件が必要となります。
Android Enterprise Recommendedに選ばれた機種には厳しい条件が課せられ、Google Play プロテクト、Management API、プラットフォームセキュリティ、ハードウェアセキュリティの多重防御によって、スキャンと学習が24時間絶えず続けられ、常に最新のセキュリティ環境になっている必要があります。
グーグルでは、「Android Enterprise Recommended」により、法人向け機種の水準を引き上げ、厳格なテストに基づいて最適な共通要件を確立し、企業内に自信を持ってAndroid端末を導入して使える、としています。
そうした条件の1つとして、セキュリティアップデートの適用状況があります。グーグルがセキュリティアップデートを配信すると、「Android Enterprise Recommended」対象機種は90日以内に適用されることが必須とされています。端末メーカーにとっては、積極的に対応する必要があるわけです。
管理端末から、組織の運用ポリシーにあわせた設定や業務アプリの自動インストールが可能な「ゼロタッチ登録」にも対応する必要があります。ゼロタッチ登録を使用すると、法人が所有する端末をまとめて設定、導入できます。手動で設定することに比べて、かなり手間が省ける仕組みです。
こうした条件を満たし、テストに合格することで、スマートフォンは「Android Enterprise Recommended」に選ばれます。
Androidではバージョンごとの断絶もかねてより指摘されていますが、「Android Enterprise Recommended」対応機種であれば、複数の手法を組み合わせたセキュリティ、包括的な管理機能、さまざまな業務で使いやすいことなど、法人にとって導入しやすい機種と言える形になっています。