ニュース

ソフトバンクと東工大、5G対応「時間・空間電波伝搬推定法」の国際標準化を完了

ITU-R P.1816-4

 ソフトバンクと東京工業大学は、第5世代通信システム(5G)などの次世代移動通信方式に対応する「時間・空間電波伝搬推定法」の開発に新たに成功し、ITU-R(国際電気通信連合 無線通信部門)で追加・改訂され、勧告「ITU-R P.1816-4」として発行されたことを発表した。

 今回改訂された推定法は、ソフトバンクと東京工業大学工学院 電気電子系の藤井 輝也・表 英毅研究室が共同開発したもので、国内での審議を経て日本案としてITU-Rに提案したものが勧告された。

 ITU-R P.1816-4は、ITU-Rで時間・空間電波伝搬推定法に対して発行された勧告番号。「P」は勧告のシリーズのうち伝搬を表す「Propagation」の頭文字であり、1816は勧告の識別番号。続く「-4」は改定番号で4回目の改訂であることを示している。ITU-R P.1816(-0)は、2007年にソフトバンクモバイルとソフトバンクテレコムの2社によって標準化されている。

 時間・空間電波伝搬推定法は、IMT-Advanced(ITUにおける4G)やIMT-2020(ITUにおける5G)などの超高速・広帯域移動通信システムの開発に不可欠な技術で、無線通信における電波特性のうち、電波の伝搬遅延時間特性と到来角度特性を同時に推定する電波伝搬推定法。

時間・空間電波伝搬推定法の構成および追加点

 標準化された推定法を用いると、通信事業者は都市構造や基地局アンテナの高さ、送受信機間の距離など、無線伝送技術の設計などにおいて、さまざまな通信環境を考慮して効率的で精度の高い電波伝搬特性が推定できる。

 推定法は基地局受信(上り回線)、移動局受信(下り回線)における推定法と、基地局と移動局が見通せる「見通し内」、見通せない「見通し外」の伝搬環境で構成されている。今回の改訂では、基地局側における垂直方向の電波到来角度推定法が追加された。

 ソフトバンクは、2004年より時間・空間電波伝搬推定法の標準化活動を開始し、今回の改訂により、電波伝搬における基地局側での遅延時間特性、水平・垂直方向からの電波到来角度特性を全て推定できる時間・空間電波伝搬推定法を完成させ、標準化が完了したことになる。