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KDDI、シニア向けスマホ講座に消費生活センター向けコースを新設
受講者が架空請求メールの受信を疑似体験
2018年7月10日 22:14
KDDIは、シニア向けに実施している「KDDIスマホ・ケータイ安全教室」に、「消費生活センター向けコース」を新設し、申込の受付を開始した。
同社では、全国の自治体からのリクエストを受け、認定講師を派遣する形でKDDIスマホ・ケータイ安全教室を実施してきた。シニア向けの講座については、2012年10月の開始から2018年3月末までに累計1126回を実施。受講者数も累計2万524人となっている。
これまで「スマートフォンコース」「タブレットコース」「防災対策を学ぶコース」の3つのコースが提供されてきたが、新たに用意された「消費生活センター向けコース」では、スマートフォンコースをアレンジし、トラブルの事例が多い架空請求を疑似体験できる内容を取り入れ、ワンクリック詐欺などの事例とあわせて紹介することで注意を喚起する内容を盛り込んだ。
福岡県宗像市で新コースによる講座を実施
7月10日には福岡県宗像市の宗像市消費生活センターにおいて、「消費生活センター向けコース」によるスマホ・ケータイ安全教室が開催され、19人がこれを受講した。
KDDI サステナビリティ推進室長の鳥光健太郎氏によれば、シニア向けのスマホ・ケータイ安全教室は自治体のリクエストに応じる形で実施しているが、そのうちの1割を消費生活センターが占めており、消費生活センター向けのコースを検討していたという。
一方、消費生活センター側でも近年増加する架空請求やワンクリック詐欺が問題になっていた。宗像市 総務部 消費生活センター 所長補佐の古川博章氏によれば、昨年度に同センターに寄せられた相談の中で、架空請求やワンクリック詐欺が上位に入っており、KDDIにスマホ・ケータイ安全教室の開催を依頼する中でこうした実態を伝えたところ、それを講座に盛り込んだコース実施の提案があり、今回の教室の実現に至った。
受講者の端末に突然届く「架空請求」メール
この日、講師を務めたのは、KDDI サステナビリティ推進室 課長補佐の斎藤卓也氏。同氏は、全国に10人ほどしかいないという社内の厳しい認定テストをパスした講師の中でも講座用のテキストを制作に携わるなど、この取り組みをリードする立場にある人物だ。
講座の前半では、受講者には1人1台のスマートフォンが手渡され、文字入力などの基本的な操作方法をレクチャー。休憩を挟んで後半が始まると、斎藤氏は振り込め詐欺の認知件数が近年増えている実態を紹介。
すると、突然、受講者のスマートフォンの着信音が鳴り、メールの受信を知らせる。その内容が実際の「架空請求」を模したもの、という演出だ。
こうした流れの中で、斎藤氏は、架空請求のメールに返信したり、記載されている番号に電話をかけたりしてしまうと相手の思う壺で、無視するのが正解であることを解説。また、ワンクリック詐欺についても、突然支払いを求めるような画面になっても、同様に無視することが重要だと続けた。
同氏は、架空請求やワンクリック詐欺では、以前は銀行振込を促すパターンが多かったが、手口が知れ渡り、警戒されるとともに犯罪として足がつきやすくなっているため、コンビニエンスストアで販売されているプリペイドカードの購入を促すパターンが増えているという動向も紹介し、注意を呼び掛けた。
また、架空請求のような迷惑メールが頻繁に届く場合は、各キャリアが提供している迷惑メール対策を改めて確認するとともに、必要であればメールアドレスを変更することも可能で、万が一、返信してしまったり、トラブルに陥った場合は、慌てずに消費生活センターに連絡するよう促した。
講座終了後に斎藤氏に話を聞くと、「今は架空請求やワンクリック詐欺といった手口について注意を呼び掛けているが、次から次に新たな手口が出てくる。通信事業者として社会的責任を果たしていけるよう、講座の内容をブラッシュアップしていきたい」と語っていた。
新コースは、今年度中に7カ所で開催され、来年度はさらに増やされる予定。