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3次元地図でドローンの運行管理する“管制塔”、KDDIやゼンリンなど構築へ

 KDDI、ゼンリン、プロドローンの3社は、モバイル通信のネットワークを利用して、自律飛行するドローンに向けた基盤「スマートドローンプラットフォーム」の商用化を目指して業務提携することで合意した。あわせてKDDIでは、プロドローンに対して3億円出資する。

3Dの地図データで安心・安全な飛行ルートを

 協力する3社のうち、ゼンリンは地上150mまで飛行可能なドローンでも活用できる、建物の3Dデータを含む“空の3次元地図”の開発を進めている。

 ゼンリンでは、これまで建物の高さ情報など、データ自体は保有していたが、一般的に車や歩行者用の地図には不要な情報であり、「高さ情報のデータはあるが、地図は作っていない」(ゼンリン上席執行役員の藤沢秀幸氏)。

 ドローンは現在、多くの都市部で飛行が禁じられており、ごく一部の河川敷などで、一般のユーザーも含め、飛行できる。これは安全性がないと思われていることの裏返しであり、たとえば歩道や車道を避ける、といった工夫が必要になる。地図情報には歩道、車道、川といった情報があり、たとえばカーナビの場合、車が通って良い場所の情報を活用する。そうした既存のデータも、「車が通る場所は飛ばない」といったように、使い方を変えるだけでドローンの飛行ルートを導き出せるようになる。

プロドローン河野社長「高精細な3次元データが必要」

 世界で初めて、遠隔操作できるアームを備え付けたドローンを開発し、運搬だけではなく、直接、現場で作業できることから新たな市場を開拓したと評されるプロドローン。

国交省の進める事業にあわせて開発されたドローン。風力で橋脚にくっつきながら4輪で動いて、橋脚の状況をチェックする

 そのプロドローンは、防風・防雨性能を持ち、利用シーンにあわせて遠隔操作できるロボットアームを備える機体や、風力で壁にぴったりと張り付くように移動して橋脚などの調査に使える機体など、高性能なドローン機体を手がけている。

 カーボン製のパイプなど、ベースとなるパーツをモジュールのように組み合わせ、特殊なパーツを追加することで、それぞれの用途にあわせた完成度の高いドローンを開発できることを強みとする同社代表取締役社長の河野雅一氏は「我々にとって、なぜ3次元地図が必要なのか」とあえて問う。

名古屋にあるドローンを東京の発表会場から遠隔操作

河野氏
「いつになるかわからないが、KDDIの建物の上、コンビニの上、あるいは空き駐車場などドローンポート(ドローンの発着場)がありとあらゆるところに設置されるだろう。そうなると(ドローンポートとドローンポートの間を結ぶ飛行ルートが)ビルの谷間を通ることもあり得る。そういうことを考えると、高精細な3次元データが必要だ」

機体、3次元地図、運行管理をセットで

 KDDIは全国各地に張り巡らせたLTEネットワークを保有し、クラウドサービスを手がける。

 各社のノウハウで開発していく「スマートドローンプラットフォーム」は、ドローンの機体、3次元地図、運行管理システム、クラウドで構成される。同プラットフォームを活用するドローンはモバイル通信でネットワークに繋がりつつ、自律飛行して、建物や他のドローンとの衝突を回避する飛行ルートが利用できる。

 KDDI執行役員常務で商品・CS統括本部長の山本泰英氏は、「複数のドローンが飛ぶようになり、それぞれが映像を撮り、センサーで得る情報もビッグデータとして蓄積し、分析していく方針を示す。

 山本氏は「これからは、目視外の飛行ということで、LTEを使った飛行がベースになっていく。ただそれだけではうまく飛ばない。機体、3次元地図、運行管理が全部揃っていくという場を通信事業者の上に乗っていただくという形。ただ私どもが差配するわけではない」と説明。通信事業者としては、上空150mの電波環境は今後、実験局免許で調査していく方針ながら、電波が届きにくい場所への対策として、たとえば基地局のアンテナを調整するのか、あるいは電波が届かなくても自律飛行でくぐり抜けるのか、正式サービスに向けた運用方針は実験を繰り返して見定めていく。

 商用化に向けたフィールドテストの場所や実施時期は明らかにされていないが、2017年度中にプラットフォームを固め、2018年度以降に正式な事業として展開していく。

左からプロドローンの河野氏、KDDIの山本氏、ゼンリンの藤沢氏