【IFA2019】

「Xperia 5」内部構造まで披露、ソニーモバイル担当者に聞く魅力と特徴

 ドイツ・ベルリンで開催されているIFA 2019のプレスカンファレンスで発表されたソニーモバイルのスマートフォン「Xperia 5」は、今年2月に発表されたフラッグシップモデル「Xperia 1」に次いで、フラッグシップラインに加わるモデルだ。

ボディカラーは4色展開

 プレスカンファレンス後、ソニーモバイルの企画部門企画部コミュニケーション戦略課統括課長の染谷洋祐氏による説明セッションが行なわれ、Xperia 5の企画意図やコンセプトなどが説明された。

フラッグシップラインに加わるXperia 5

 ソニーは今年2月、これまでのXperiaシリーズを一新し、21:9のシネマワイドディスプレイやトリプルレンズカメラを搭載した「Xperia 1」を発表。国内でもNTTドコモ、au、ソフトバンクから発売され、好調なセールスを記録している。

 プレスカンファレンスでも触れられていたが、Xperia 1は手軽に映画のような撮影ができる「シネマトグラフィー」や21:9の画面を活かした「モバイルeスポーツ」などが支持されているという。映画についてはXperia 1のみで撮影されたショートムービーが制作され、ソニーモバイルのWebページでもその内容が公開されている。

Xperia 1(左)とXperia 5の比較。高さ、幅共にコンパクトに仕上げられている

 今回発表された「Xperia 5」は、好評を得ているXperia 1と同じくフラッグシップラインに加わるモデルになる。

 かつて、Xperiaはシーズンごとにフラッグシップモデルを更新していたが、今回のXperia 5はそのネーミングからもわかるように、後継モデルという位置付けではなく、フラッグシップラインに『追加』されるモデル。

Xperia 5はフラッグシップモデルに加わる位置付け。今後もXperia 1は継続して販売される

 ちなみに、ソニーモバイルは現行シリーズのミッドレンジモデルとして、「Xperia 10 Plus」「Xperia 10」「Xperia L3」をラインアップしているが、これらのモデルは国内向けに展開されていない。

Xperia 1の流れを継承

 速報記事でも触れたが、今回のXperia 5はXperia 1の21:9のシネマワイドディスプレイやトリプルレンズカメラなどを継承しながら、幅68mmのボディに仕上げることで、より幅広いユーザーに持ちやすいモデルとして、仕上げられている。ボディサイズをひと回り小さくした背景には、Xperia 1で提案された21:9で楽しめる環境をより多くの人に体験して欲しいというソニーモバイルの意図がある。

約6.1インチのフルHD+対応有機ELディスプレイを搭載し、ボディ幅を68mmに抑えているほかは、Xperia 1とほぼ同等

 ディスプレイは6.1インチのフルHD+対応有機EL21:9シネマワイドディスプレイを採用し、Xperia 1同様、BRAVIA X1 for mobileによるHDRリマスター、映画さながらの画作りで撮影ができる「CineAlta」」、縦長の画面を活かして、2つのアプリを同時に利用できる「マルチウィンドウ」、Dolby Atmosオーディオなどの仕様も継承している。チップセットも同じ米クアルコム製Snapdragon 855を採用しており、パフォーマンスについてはXperia 1とほぼ同等という位置付けになる。
 Xperia 5はXperia 1よりもひと回り小さい縦長ボディに仕上げられているが、背面のデザインなどは新たな工夫が加えられている。一般的に、本体のフレームはメタルパーツを使い、デザインの仕上がりを良くするため、機種によっては背面にガラスが採用されるが、その場合、メタルを鏡面磨き処理で仕上げた側面などのフレームと背面のガラスが区切られるような形になってしまう。Xperia 5では背面のガラス表面に高反射の透明蒸着処理を施すことにより、背面にガラスを採用しながら、側面のメタルともシームレスなデザインで仕上げることに成功している。

レイアウトを変更したトリプルレンズカメラ

 カメラについてはXperia 1同様、トリプルレンズカメラを背面に搭載しているが、Xperia 1とは並び順が変更されている。

カメラの搭載位置とレイアウトを変更。いずれも1200万画素のイメージセンサーを採用

 本体の上部側から順に、望遠レンズ、標準レンズ、超広角レンズが並んでいる。望遠レンズはF2.4で焦点距離52mm、標準レンズはF1.6で焦点距離26mm、超広角レンズはF2.4で焦点距離16mmという仕様となっており、イメージセンサーはいずれも1200万画素を採用し、光学手ぶれ補正にも対応する。

 Xperia 1からレイアウトを変更したのは、幅68mmのボディにほぼ同等のハードウェアを凝縮する必要があったためだが、それ以外にも各カメラモジュール間の距離、手に持ったときの指かぶりなどのことも考慮されているという。

 オートフォーカスについてはデジタルカメラのαシリーズで培われた瞳AFがXperia 1に搭載され、Xperia 5にも搭載されているが、それ以外にも動被写体に対して、より正確なAFを実現するため、演算処理速度を向上させているという。

 また、撮影のミスを防ぐために搭載された「撮影アドバイス機能」では、撮影前に「指の入り込み」と「フォーカスのずれ」、撮影後に「目を閉じていたとき」と「ブレ」が発見されたとき、アラートが表示される。この撮影アドバイス機能は撮影前と撮影後の両方が有効になるが、撮影後のみを有効にしたり、機能そのものをオフにすることもできる。

撮影時のミスを防ぐための撮影アドバイス機能を搭載

映画のような画作りができる「CinemaPro」も進化

 Xperia 1ではソニーが映画用に開発したデジタルビデオカメラ「CineAlta」の技術を活かした動画撮影機能「CinemaPro」が搭載されているが、Xperia 5にも同機能を搭載するにあたり、撮影の現場で活躍するクリエイターから得られた声を早速取り込み、進化させている。たとえば、撮影のセットアップでは、複数のフレームラインを表示できるようにしたり、作成したプロジェクトネームを任意に変更できるようにしている。

映画のような画作りができる「Cinema Pro」もさまざまな改良が加えられた

 撮影のセッティングではホワイトバランスをあらかじめ設定したものにロックさせたり、ブルフォーカスと呼ばれるピントを合わせるタイミングを細かく設定可能にする、オーディオの入力レベルを調整するなどの改良が図られている。Xperia 1の登場から、まだ間もないが、いち早くクリエイターの声を反映していることから、ソニーモバイルの意気込みが感じられる。

モバイルゲーミングのニーズにも応える

 Xperia 1は21:9のディスプレイを採用しているため、端末を横向きに構えたとき、映像がフルに楽しめるだけでなく、ゲームなども迫力ある画面で楽しむことができるため、eSportsをはじめとするゲームユーザーの反響も大きかったという。

人気ゲーム「FORTNITE」をPS4のDUAL SHOCK4で楽しむことが可能

 今回のXperia 5でもゲーム環境が強化されており、人気ゲーム「FORTNITE」と協業し、21:9の画面にフルに表示できるようにしたほか、PS4用のコントローラー「DUAL SHOCK4」の全機能に対応し、端末内のゲームを快適に遊べる環境を整えている。

よりゲームを楽しむために、ゲームエンハンサーも機能を強化

 ゲームを楽しむための「ゲームエンハンサー」についても細かく改良が加えられ、ゲームプレイ中に着信などの通知を非表示にしたり、誤操作防止のためにカメラキーを無効化している。ゲームのシェア機能ではスクリーンショットを最大毎秒20コマのバーストで撮影できるようにしたり、プレイ中の動画に音声を録音するとき、声質を変えるボイスチェンジャーを用意するなど、実際の利用シーンを考慮した強化が図られている。

質疑応答

 Xperia 5の商品説明後、商品企画担当者とデザイナーによる質疑応答のセッションが行なわれた。

デザインや背面の仕上げなどを解説したソニーモバイルのデザイナー 村井薫氏

――Xperia 1からカメラの位置が変更になったのはどういう理由か?

ソニーモバイル担当者
 デバイスの設計上、一番最適な位置にレイアウトをしたためです。Xperia 1と機能的な差分がない状態で、Xperia 1よりもコンパクトなボディに、いかにパーツを配置するのかを考慮した結果、カメラモジュールの位置をオフセットすることで、収めることができました。

本体の分解展示。Xperia 1とほぼ同等のハードウェアがコンパクトなボディに凝縮されている

――カメラは各社がいろいろな位置に搭載しているが、どの位置がベストなのか?

ソニーモバイル担当者
 ディスプレイとの位置関係を考えると、中央にあることが望ましいが、他の部品も実装するので、必ずしも理想的な位置にレイアウトできるとは限りません。また、複数のカメラが搭載されているときは、各カメラ間の距離も重要です。

――カメラ間の距離が重要になるのはどういう理由か?

ソニーモバイル担当者
 マルチカメラの場合、カメラ同士の距離によって、ボケ味の効き具合いが違ってきます。

――カメラに搭載された撮影アドバイス機能は、どの段階で表示されるのか?

ソニーモバイル担当者
 撮影後は撮影直後に表示されます。

――21:9の表示に対応した映像コンテンツはNetflixが知られているが、それ以外には増えてきているのか?

ソニーモバイル担当者
 スマートフォンで視聴できるコンテンツとしては、まだ16:9対応のものが多いのが実状です。ただ、オリジナルコンテンツなどで、シアター公開を想定しているものは21:9に近いものが増えています。