世界のケータイ事情雪のロンドン

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雪のロンドン

KDDI総研　藤原正弘
　KDDI総研第二市場分析室。専門は情報通信全般の社会・経済分析ということになっているが、まだネットワーク経済を勉強中の学生の身でもある。最近は、コンテンツ産業の調査にも手を出しており、「アキハバラ」にも馴染みたいのだが、なかなか踏み込めない二人娘の父親でもある。

　ロンドンの冬は寒くて冷たい雨で有名だが、今年は“雪”がたくさん降ってびっくりのようだ。1月下旬からの寒波で2月2日はロンドン近郊でも30cmの積雪があり、バスや鉄道などの交通機関はマヒし、空港も一時的に閉鎖されたりしたようだ。これほど積もったのは1991年以来とのことで、つまり、携帯電話が広く普及して、はじめて大雪に遭遇したということだ。で、何が起こったか？

　東京では、毎年とはいかないが、雪が積もるのはそう珍しいことではないから、雪と携帯電話といっても、あまりピンとこない。せいぜい、スキー場でも使えるのかとか、寒すぎて電池のもちが悪いとか、そんなことしか思い当たらない。

　さて、ロンドンっ子がどうしたかと言うと、まずはボスへの電話だ。「すみませーん。バスが来なくって会社に遅れまーす」「しょうがないな。実は、オレも行けるかどうかわからん！」なんて感じだろうか。とりあえずボスに連絡しておけば、あとは慌てることはない。「せっかくの雪景色を友達に見せてあげなきゃ、さっそく写メ送ろうっと。『そっちの雪はどう？』」

　その証拠に、Guardian紙の記事には、各携帯電話会社のコメントが載っている。

「Vodafoneでは、朝7時から9時のピークにはメールが58％も増え、3000万件を遥かに上回った。特に8時からの5分間だけで50万件以上のメールがあった」

「“3”では、撮った写真をブログやfacebookのプロフィールにアップするのが、前日の倍もあった」

「T-Mobileでは、通話は通常の月曜日の73％増、自宅での仕事でも携帯電話が手放せなかったからだろう」

　また、おもしろいと思ったのは、ネットニュースのSKYNEWSでは、雪で混乱した様子のニュースビデオに混じって、雪道での運転のしかたを記者がレクチャーしてもらっているビデオがあったことだ。滅多に雪が積もらないロンドンでは、恐らく、スタッドレスタイヤを履いている車はないだろう。雪が積もったサーキット場で、プロドライバーに横に乗ってもらって、ハンドルの切り方やブレーキの踏み方などを教わってるビデオだ。最初はそろりそろりと走り出し、何度も8の字に回って練習する様子が映っている。

　こうしたニュース記事に関連して、何度も見返せるレクチャー機能が生かせるのは、新聞でもテレビでもなくネットニュースのアドバンテージだ。

■ ＵＲＬ
　 Guardianの記事（英文）
　 http://www.guardian.co.uk/uk/2009/feb/03/weather-mobile-phone-messages
　 SKYNEWSのビデオクリップ（英文）
　 http://news.sky.com/skynews/Home/video/Snow-Driving-As-Drivers-Face-The-Icy-Weather-Darren-Little-Gets-Some-Top-Tips-For-Driving-In-The-Snow/Video/200902115215935

（KDDI総研　藤原正弘）
2009/02/25 11:03

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