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世界のケータイ事情タイトルGIF
中国の「手写筆」事情
KDDI総研 河村公一郎
 KDDI総研主幹研究員。アジア(中でも東南アジア、インド、中華圏)の電気通信業界動向を追っているが、実はロシアにも関心がある。最近のレポートは、KDDI総研R&A誌、「タイ随一の総合的通信事業者True Corp.について」(2008年2月)、「シンガポールの第2位総合事業者StarHubのHubbing戦略」(2007年10月)など。


 中国の人がケータイを打つときに、「ペンシルのようなもの」を使っているのを見かける。手写筆(Shou Xie Bi)、もしくは触控筆(Chu Kong Bi)という。いわゆる手書き入力端末で入力するときの「ペン」のことだ。写は日本語とは違って「書く」、控は「操作する」という意味で、単語は違うが、同じ物のことを言っている。中国の人に言わせると、触控筆は香港もしくは台湾っぽい、手写筆は大陸っぽい言葉だ。

 手写筆付きの端末は一般に高い。通常2,000元(約30,000円)以上、場合により5,000元(約74,000円)を超えるものもある。スマートフォン(中国語で智能手機)の場合も多いようである。一般的な若者の月給より高い程なので、彼らは日本同様、親指文化に馴染んでいる。つまり、テンキーからピンイン(上記の括弧書きのような音を表すアルファベット)を入力し、漢字変換してショートメッセージ(SMS)を送ったりしている。

 では、手写筆付きの端末を使う人はどういう人か? 一言でいえば、若者を含め「お金持ち」だろう。家庭が裕福なら、子息が買ってもらえるケースもあり得る。昨今の手写筆付き端末は画面に書かれた字の認識能力が相当高く、多少の走り書きなら認識できるので、この点便利である。中高年の人にはピンインの正確なアルファベットが分からない人がいるので、こういう人がお金持ちなら迷わず手写筆付きの端末を買うだろう。お金持ちとは、会社の幹部、老板(Lao Ban:個人経営者)、芸能スターなどだ。また、役所の人も国が購入し、配布を受けて使ったりしている。


ストラップスタイラスはと

ストラップスタイラスはと

ストラップスタイラスはと
 中国の消費者も日本と同様デザインに敏感だ。今のところ、まずは端末自体の機能やデザインが重要だが、手写筆も書き味に不都合がなければ遊び心のあるデザインが好まれるのではないだろうか。たとえば、中国の大手ITメディア企業の天極伝媒は、日本のミヤビックスの「ストラップスタイラスはと」を2007年9月、「最美麗的触控筆! 鳩型触控筆問世」(最も美麗な鳩型触控筆登場、今9月世に問う!)と紹介している。

 中国語は同じピンインのアルファベット表記でも四声によって違ってくる漢字の連続なので、手書き端末には一定の需要があると思う。手写筆はデザイン的にはまだシンプルなものの方が多いが、今後はキャラクターを打ち出したものなど、一つの市場になってくることが期待できるのではないだろうか。



KDDI総研 河村公一郎)
2008/05/21 10:40

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