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一周遅れのミレニアム
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KDDI総研 藤原正弘 KDDI総研 第二市場分析室。専門は情報通信全般の社会・経済分析ということになっているが、まだネットワーク経済を勉強中の学生の身でもある。最近は、コンテンツ産業の調査にも手を出しており、「アキハバラ」にも馴染みたいのだが、なかなか踏み込めない二人娘の父親でもある。最近のレポートは、KDDI総研R&A誌「ヘドニック価格分析による携帯電話の機能評価」(2005年11月号)、「プラットフォームビジネスにおける企業連携」(2006年3月号)など。 |
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日本ではマラソン大国として知られているエチオピア。東京オリンピックのアベベの優勝以来、エチオピアといえばマラソン、マラソンといえばエチオピアという印象がある。現在の男子世界記録保持者ゲブレシラシェもやはりエチオピアの英雄だ。いきなり、話が横道にそれるが、来年1月のドバイマラソンでは、5人のペースメーカーをつけて自己の世界記録の更新に挑むのだそうだ。
さて、そのエチオピア、マラソン以外のことは全然知らなかったのだが、2007年の今年がミレニアム(千年紀)だったのだ。ミレニアムって千年の区切りのミレニアム? そのとおり。今年の9月12日午前0時が、エチオピアの暦では、2000年1月1日の幕開けだったのだ。
ミレニアムって言うからには、当然、キリストの誕生から千年×nというわけだが、エチオピアは、キリスト教国なのだ。イスラム教徒も3割ぐらいいるそうだが、国民の半分はキリスト教なのだそうだ。とはいっても、バチカンやその他キリスト教国である西洋の国々から距離が離れていることもあって、エチオピア正教という独自の道を歩んできたという。詳しいことはわからないが、そんなこんなで、キリストの誕生も、エチオピア暦では7年ほど遅れているのだ。
9月12日の新年のお祭りはたいそうにぎやかだった様子を外電が伝えているが、ケータイでもお年玉があった。
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Nokia 1200
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実は、エチオピアでは、2年前の選挙をきっかけに、ずっとケータイでのメール(SMS)が禁止されたままになっていたのだ。それがようやく解禁になるのだ。さらに、今回のサービス再開のタイミングから、エチオピア語(=アムハラ語)の文字でメールが送れるようになるのだ。
以前サービスされていたときは、ラテン文字のアルファベットだけだったが、今回発売されるNokia 1200という端末には、アルハラ語の文字(ゲエズ文字)が入力できる機能が備わっている。ゲエズ文字は、子音と母音のマトリックスで文字が形成される文字体系をもっており、34の子音と7つの母音を組み合わせで約300個もの字形がある。これを日本語入力のローマ字変換のように、子音と母音、それぞれ一字ずつキーを押して文字が決定されるのだ。現時点ではサポートされていないが、今後は、予測変換にも対応するという。
ちなみに、このNokia 1200という端末は、カメラや音楽機能などはついていないベーシックタイプの端末で、日本円で5,600円ほど。ただし、これは税抜きの価格で、おそらく12%か、それ以上の税金がかかるようだ。
日本にいるとピンとこないが、インターネットやケータイで、自分たちの普段使っている文字が使えない人たちは、世界中にたくさんいる。もちろん、Unicodeの規格化が少しずつ進み、マルチリンガルの環境が少しずつ整い始めてはいるが、英語などメジャーな文字に圧倒されているのが現状だ。今回、ゲエズ文字が使えるようになることで、エチオピアのケータイの普及に拍車がかかることだろう。
とはいえ、エチオピアは、電話会社が1つしかなく、現時点では、政治的な理由でサービスが左右される国だ。そこへ、押し寄せるグローバル化の波に乗って、一周遅れでやってきたミレニアム。ケータイが豊かな暮らしに貢献できることを祈っている。
(KDDI総研 藤原正弘)
2007/12/26 13:57
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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