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クリアな高中域が特長、3ドライバ搭載イヤフォン「ATH-CK100」
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筆者の愛機「BeoSound2」をATH-CK100で聴いてみた
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筆者は、出張の移動中にDVDムービーを見るためにオーディオテクニカ社のノイズキャンセル機能付きのインナーイヤーヘッドフォン「ATH-ANC3」を愛用している。デジタル・ミュージック・プレーヤーとイヤフォンは、多くの機種を渡り歩いた末、今は、Bang&Olfsen社の「BeoSound2」と「Shure E500PTH」のコンビネーションに辿り着いた。
音楽の好みが人それぞれ違うように、音質の好みや、好きな音、嫌いな音も人によりさまざまだ。音の善し悪しというものも、ある程度の判断基準はあるかもしれないが、これも人によって感じ方は異なるので一概には決めつけられない。 筆者は学生の頃から現在まで、バンド活動を長くやってきたベースギタープレーヤーでもあり、多少ワイルドでライブな音に惹かれる傾向が強い。読者諸兄にはその辺りを割り引いて読み進めて頂きたい。
オーディオテクニカ社の「ATH-CK100」は、Shure社のE500PTHと同様、昨今流行の「2ウェイ3ドライバ構造」「バランスド・アーマチュア型」のハイエンド・イヤフォンだ。E500PTHがウーファドライバーが2基なのに対し、ATH-CK100は中高域用に2基のドライバを割り当てている。その違いが、似た構造でも異なる再生サウンドを生み出している。
今回は、ロック、ジャズ、セミクラシック、アコースティック、J-POP、ボーカルと、多くの音楽ジャンルを駆け足で試聴してみた。Eaglesの「Busy Being Fabulous」は、E500PTHではイントロのバスドラムとベースのユニゾンが粘りがあり、スタジオ録音なのにライブに近いスケールの大きなパワフルな印象を受ける。一方、ATH-CK100は明るくクリアで整ったスタジオサウンドの感じだ。
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9枚のCDからあらゆるジャンルの音楽を聴いてみた
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再生機として、iPhoneとBeoSound2の2機種を主に聴いてみた
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「The Phantom of The Opera」では、全体にやはり力強いE500PTHに対して、CK100では、イントロのベースギターは、かなりブリッジ側でピッキングしたソリッドな音、スネアドラムはヘッドをよりタイトに張った感じがある。DEPAPEPEの「夕焼けサイクリング」では、E500PTHは弦を擦る指先の音がかなり前面に出てくる。情報量の多さを感じさせると同時に、人によってはBUSYな感じがしないでもない。ATH-CK100はクリアな、気持ち良いまとめ方だ。逆に言えば優等生的で、好みは分かれるだろう。
サリナ・ジョーンズがジャージーに歌う「Don't Want To Be Alone Tonight」は、ATH-CK100ではセレブなジャズクラブのイメージを思わせる上品なまとまりを見せる。一方、E500PTHは、プレーヤーがすぐ目の前にいる、タバコが煙い場末のライブハウス感覚だ。そして、イントロのドラムとベースの掛け合いも譜面に書けるほどリアルだ。ビブラフォンのクリア感はE500PTHがひとつ上かもしれない。
サラ・ブライトマンの歌う「アヴェマリア」では、イントロの弦楽器のピチカートがクリアでインテリジェンスを感じるATH-CK100に対し、E500PTHはダイナミックレンジは感じるが、クリア感が少しだけ残念だ。Every Little Thingの「ソラアイ」も同様の印象を受ける。
最後に、映画「Dream Girsl」から「Cadillac Car」と「Steppin' To The Bad Side 」をE500PTHとATH-CK100の両方で聴いてみた。いずれの曲もブラスサウンドのエッジが効いた男性ボーカル、女性コーラスをフューチャーした現代版R&Bだ。E500PTHはスネアドラムの圧倒的なアタック感が特徴だ。ドラムのスティックが一回り太い感じがする。一方、CK100は音楽全体としてのまとまり表現は素晴らしいが、バンドの全メンバーがブレークした時の無音空間の「どうや!」って言う「したり顔」が今ひとつ感じられない。
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イヤーパッドが本体にストレートなATH-CK100とねじれ関係にあるE500PTH。ATH-CK100のケーブルはE500PTHに比べてよりしなやかで装着しやすい
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最適サイズのイヤーパッドを選ぶことで、超軽量のATH-CK100は最適度を加速する
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amazon.co.jpでの価格で比べると、12月22日現在で、3万3303円のオーディオテクニカ ATH-CK100と、6万9479円のShure E500PTHではその価格に2倍以上の開きがある。倍の価格差があるものを同列で比較してよいものかどうか、意見は分かれるとは思うが、いずれも日米を代表するハイエンドの商品ということで、無理を承知で、それぞれの印象を書いておきたい。
極めて主観的な総括をするなら、ATH-CK100は、多くの日本製品の特徴でもある何でもこなす「優等生」、サウンドは中高域の為の2基のドライバの影響か、ソリッドでクリア、ボーカルやJ-POPには極めて良いと感じた。一方、低域はクリアだがパワー感に欠ける。
一方のE500PTHは、スタジオモニターという触れ込みで日本に紹介されたが、筆者的には、個性的でアメ車的、パワフルなアタック感が特徴、演奏の雰囲気やミュージシャンの表情や指先の動き、スティックさばきまでが見えるようなライブ音楽的な仕上がりだと思う。
両製品は上でご紹介した通り、実売価格差では2倍もの開きがある(12月22日時点。ご存じの通りamazon.co.jpは頻繁に価格が上下するので、今後もそうだとは限らない)。あくなき原音の追求とは言え、「オーディオも価格性能比」ということを前提に考えるなら、オーディオテクニカ社のATH-CK100の圧勝だ。
清水の舞台から落っこちて頭を打った夢を見てE500PTHを買うか、理性的にATH-CK100を買って、残ったお金でお好みのミュージックCDを買うか、彼女を誘ってコットンクラブのディナー付きのライブに行くか、選択は悩ましい。
いずれの選択をしても、デジタルミュージックプレーヤーに標準で付属するイヤフォンとは別世界に読者諸兄を案内してくれることだけは間違いない。オーディオテクニカ社のATH-CK100、国際舞台で戦える日の丸製品の登場だ。
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接写するとはっきり見えるが、ATH-CK100はE500PTHに比べて「R」(右)「L」(左)の表示が小さくオフ系の色で、オシャレだが見づらい。早期の改善を望みたい
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個人的好みではATH-CK100の収納ポーチが軽くしなやかでベストバイだ
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商品名 |
実売価格 |
発売元 |
インナーイヤーヘッドフォン「ATH-CK100」 |
3万3303円 (amazon.co.jp、12/24時点) |
オーディオテクニカ |
■ URL
「ATH-CK100」製品情報(オーディオテクニカ)
http://www.audio-technica.co.jp/products/hp/ath-ck100.html
(ゼロ・ハリ)
2008/12/26 10:51
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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