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多様性の時代に入った腕時計マーケットの「レトログラード腕時計」
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分針が逆行するレトログラード腕時計(ジャン・イブ、写真左)とハイライフ・ハートビート・レトログラード(写真右)
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「チョイ悪おやじ」向けの雑誌の創刊が相次ぎ、それにともなって腕時計市場が賑やかだ。正確性が一番だった精密機械産業である腕時計市場は、かって日本企業の独擅場であった。そこに、過去の栄光を取り返すべく、一発逆転を狙い、長い潜伏期間に緻密な大作戦を立ててきたSWATCHグループが大攻勢を仕掛けてからすでに多くの年月が過ぎた。
腕時計市場は一気に1万円市場になり、正確性は大きな価値ではなくなった。そして、すぐさま露天で千円腕時計が売られ、そして、アッという間に百均腕時計も登場したが、生まれながら、ほんの少しの感性とノスタルジーを備えた人間が、古き良き腕時計時代に回帰するのは時間の問題であると思われていた。一点豪華主義の代表格であったロレックスのクロノグラフ「デイトナ」が市場の中心的存在と成り上がり、多くのチョイ悪おやじ向け雑誌は、今もその後追い特集記事が続いている。
しかし、筆者も含め、熱しやすく飽きやすい日本の「にわか腕時計マニア」は、カップヌードルを毎日すすってデイトナ買った組も、プラチナカードの1回払いでデイトナ買った組も、正規販売店で100万円超の本物を買った組も、オークションで1万円の偽物を買った組も、そろそろみんなが持っていて、同じ蘊蓄を語る腕時計に少し飽きが来たようだ。
メディアの操作によって、高価であることと、持ちたいということが連動する時期は少なからずある。しかし、その後市場規模がさらに拡大、成熟すると、消費者は個性化の道を歩み始めることが一般的だ。そんな“とっかかりの時代”ににさしかかった日本国内でも、いろいろな個性溢れる腕時計が登場してきている。
かれこれ2年ほど前から筆者が密かに狙っていた腕時計が、今回ご紹介するスイス、フレデリック・コンスタント社の「ハイライフ・ハートビート・レトログラード」だ。腕時計の精度をキープする為の基本機能は「テンプ」というメカが握っている。値段は別にしても、その最もメカらしい動きをするテンプ部分をデモンストレーション目的で、露出した腕時計は他にも多い。キビキビと1時間当たり28,800回の回転往復運動をするテンプの動きは腕時計マニアでなくても楽しいモノだ。
「ハイライフ・ハートビート・レトログラード」は、それに加えて、30秒ごとに秒針が特殊なカムとスプリングの機能によって100分の1秒という瞬く間に「0秒の位置」まで逆行ターンするメカニズムを搭載しており、30秒に1回のスリリングな楽しみをオーナーに与えてくれる。秒針の逆行に必要な時間である100分の1秒の誤差をどこで吸収しているとか、フライングで逆行しているのだろうか、といった蘊蓄は腕時計専門誌に任せて、「ハイライフ・ハートビート・レトログラード」はそのメカニズムの面白さを堪能したい腕時計だ。
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12時位置の丸窓が高速で動作するテンプ部分。6時位置の扇形部分を秒針が左から右に秒を刻み、30秒になると一番左端まで100分の1秒で戻って31秒から60秒までを刻む
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オートマチックのハイライフ・ハートビート・レトログラード。テンプ部分は裏からも、表からも見ることができる透過構造だ
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商品名 |
購入価格 |
製造元 |
ハイライフ・ハートビート・レトログラード |
398,000円 |
フレデリック・コンスタント(スイス) |
■ URL
FREDERIQUE CONSTANTオフィシャルサイト
http://www.frederique-constant.com/
(ゼロ・ハリ)
2006/06/27 11:00
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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