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世界でセイコーだけしか作れないムーブメント「スプリングドライブ」
ステンレスモデル SBWA001
ケースとブレスレットの一体感のある近未来的なデザイン
18Kイエローゴールドモデル SBWA002
クラシカルなデザインのケースに黒い革ベルトの組み合わせ
海外高級時計が人気を集めているが、日本の時計メーカーからも素晴らしい腕時計がいくつも発売されている。その際たるものの一つがセイコーのスプリングドライブだ。スプリングドライブとは、ムーブメントの名称で、機械式ともクォーツ式とも言いがたいセイコー独自の構造をしている。スプリングドライブの動力は手巻で巻いたゼンマイなので、機械式ということにもできるが、クォーツ制御の脱進機を備えている。そのため、ゼンマイで動作する手巻き式腕時計ながら、日差±1秒以内、月差±15秒以内という極めて高精度を実現している。もちろん、手巻き式腕時計としては、世界最高レベルの精度である。
脱進機とは時計の心臓部で、巻き上げたゼンマイが一気に解けてしまうのを上手に制御して、細かく時間を刻む部分のことで、時計の精度を決定づける重要な部品のことだ。スプリングドライブには、電池や充電池などは、一切搭載されていないが、手巻きのゼンマイが解ける力を利用して、歯車を動かす。動き出した歯車に連動したローターによって微弱な電流が生まれる。その電流によって脱進機のクォーツ回路が駆動され、手巻き式腕時計としては極めて正確な時間を刻む調速機構「トライシンクロ レギュレーター」を搭載している。ローターで得られる電力は極めて小さく、この微弱な電力で駆動できるクオーツ回路を開発するために、セイコーでは何度もプロジェクトが中断されたという。結局、スプリングドライブの元になるムーブメントが企画されてから、20年以上の歳月が費やされ実現に至った。
クォーツ式腕時計は内蔵電池により、数年間動作し続けなくてはいけないために、その中身は省電力の粋を集めた技術が用いられている。そのため、文字盤上の針には軽量なものが採用されているのだ。軽量でなければならないために、薄く細い形状になってしまうのだ。しかし、スプリングドライブはと違いゼンマイが動力になっているために、時針や分針に視認性のよい立体的で太い針を使うことができるのだ。
このスプリングドライブを作れるのは世界でもセイコーだけで、組み立てには非常に緻密な作業を伴う。そのため、セイコーでもスプリングドライブを組み立てられるのは、一部の卓越した技術を持った人たちに限られている。そのため大量生産は行なうことができない。
これまでにスプリングドライブが搭載された腕時計はSEIKOブランドで2モデル、クレドールブランドで3モデル。1998年に発表されたモデルはいずれも限定発売だったが、昨年発売開始されたクレドールブランドの2モデルは年間出荷数は限られるが、限定モデルではなく発売が続けられる通常のモデルになっている。
ステンレスモデルの文字盤。バーインデックスとペンシルハンドのシンプルなデザイン
ステンレスモデルのリューズ。SEIKOの「S」が模られている
今回紹介するのは、1999年前後に国内で発売されたSEIKOブランドの2モデルで、ステンレスケース/ステンレスブレスモデル(SBWA001)は国内500個限定、18Kイエローゴールド/革ベルトモデル(SBWA002)は国内300個限定だった。どちらもスプリングドライブ(7R68)を搭載した腕時計だが、外観は異なる。
いずれも中3針タイプで、ゼンマイの書き上げ具合を表示するパワーリザーブ計、DATE表示が装備されている。ステンレスモデルは光沢のある黒文字盤にバーインデックス、ペンシルハンドの先進的なデザインである。ステンレスブレスも極めてしなやかな動きで、ガタつきなどはない高級感のあるものだ。18Kイエローゴールドモデルはイエローゴールドのパール調文字盤で、バーインデックス、ドルフィンハンドというクラシカルな雰囲気を持っている。ただ、表の顔の差とは裏腹に、本体裏を見るとどちらにも同じムーブメントであることが一目瞭然である。どちらのモデルも本体裏はシースルーになっていて、スプリングドライブを覗くことができる。
純粋な機械式ではないものの、各パーツは綺麗に磨かれている。ムーブメントだけでなく、文字盤や針などの仕上げも素晴らしく、高級時計としての完成度も高い。機械式時計の愛好者の間では賛否両論のあるスプリングドライブだが、日本が世界に誇る革新的な機構であることは紛れもない事実である。
18Kイエローゴールドモデルの文字盤。バーインデックスとドルフィンハンドのクラシカルなデザイン。文字盤には「SPRINGDRIVE」の文字
18Kイエローゴールドモデルの文字盤のパワーリザーブ計。1の位置がゼンマイを巻き上げきった状態。この状態から約48時間動作する
18Kイエローゴールドモデルのリューズ。SEIKOの「S」が模られている。
18Kイエローゴールドモデルのケース裏。シースルーバックで、スプリングドライブの心臓部を覗くことができる。パーツは綺麗に磨かれており、上の丸い部分が香箱で動力となるゼンマイが収められている
品名
発売元
購入価格
SEIKO スプリングドライブ
セイコー
ステンレスモデル 25万円
18Kイエローゴールドモデル 50万円
※価格は1999年発売時のもの
(うずまき天符)
2003/05/02 12:13
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ケータイWatch編集部
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