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オーディオの超小物「インシュレーター」でサウンド感は変わるか?

ハイブリッドインシュレーター AT6089CK

1個あたり200円強の超小型インシュレーター

「コルク」と「真鍮」のハイブリッドで振動伝達をシャットアウト
 デジタル・オーディオ・テクノロジーが大きく進歩した現代では、アンプやプレーヤーなど、その完成度が似通って「どんぐりの背比べ」的な世代に突入した感がある。その結果、昨今のオーディオ機器は、激安のラジカセタイプと、普通の生活をしている平均的サラリーマンには一生縁のない超高額な商品へ二極分化してしまった。高級オーディオ製品のジャンルは、昨今では電源周りにも及び、電源タップや電源ケーブルを蘊蓄入りの高価なモノに置き換えるだけで、見違えるように音が良くなるらしい。あいにく、それほどの経済的余裕も、良い音を聞き分けられる高性能な耳も持ち合わせていない筆者には、いまだにその価値がよくわからないでいる。

 電源周りより、少しは一般人に理解しやすいオーディオ・アクセサリーに「インシュレーター」がある。広義には、そこそこ大きなスピーカーを部屋に設置するときに、スピーカーの下に台座として置くブロックやレンガなどもその一種と考えることができるだろう。基本的にはスピーカーの位置を、床上からある程度の高さに持ち上げてクリアな低域を聴かせるようにするものらしい。筆者は楽器プレイヤーではあるが、オーディオマニアではないので詳しいことはわからない。しかし昔から、スピーカーの下には必ずブロックのようなモノを敷くものだということだけは、あまり深い意味も考えず、抵抗もなく理解していた。今回ご紹介するオーディオテクニカ社の「ハイブリッドインシュレーター」もまさに同じ仲間なのだ。

 スピーカーやプレーヤー、アンプなどに利用するオーディオ・インシュレーターの大きな目的の1つに、音を再生するときに出る自らの不要な振動を他に伝えないとか、他の機器が発した振動を拾わないというのがある。ご存じのようにスピーカーは電気エネルギー信号で自らのコーン紙を前後に振動させて音を作り出す。その時、同時に多少なりとも本体が振動し、何もしなければそれをそのまま床に伝えてしまう。その振動を、他のアンプやプレーヤーが拾うと、本来のナチュラルな音の再生以外の不純物が混じってしまうと考えるのも理屈としては正しいだろう。また大音量なら音そのものが空気を媒介にして他のオーディオ機器に振動を与えることもあり得る。空気がなければ音は伝わらないし、空気があることによって不必要な振動まで伝えてしまうという矛盾の世界なのだ。

 超大音量のロックコンサートなどでは、ギタープレイヤーのかき鳴らすエレキギターの低音は、フルボリュームのギターアンプのスピーカーを歪ませ、そのエネルギーはギターアンプのスピーカーボックス、そしてスタンドを経由して、ステージの床板に振動を伝え、アンプそのものの音と床との共振がパワーとして聴衆に伝わり、ホットなライブ感となるのもまた事実なのだ。それゆえ、確実に振動伝達を遮断するインシュレーターが優秀な製品かどうかは難しい判断となる場合が多い。やはりオーディオ・アクセサリーは自分の聴きたい音楽のイメージが明確にある人にとってのみ本当に役立つものだろう。


 ハイブリッドインシュレーターは、名前の示す通り、2つの異なる素材である「コルク」と「真鍮」のハイブリッド構造を採用した製品だ。ブロックやレンガとは比較にならない、非常に小さな形状をしており、振動係数の異なる素材を複数くっつけることで、より振動を伝わりにくくしている。

 筆者はこのインシュレーターを自室で愛用しているBOSE社の巨大ラジカセAW-1D専用に使用している。従来はサイドデスクの上に直接載せて聴いていたが、どうも低音がこもりがちだった。そこでハイブリッドインシュレーターを4個使用してみたところ、今まで、ブーンブーンと響いていた低音が「ブン」「ブン」と歯切れよくなり、ライブのロックコンサートを例にして大袈裟にいうなら、バックステージの楽屋で聴いていた音が、ステージフロントの感じに変化した。

 「ハイブリッドインシュレーター」はスピーカーやプレイヤーだけではなく、筆者のような大型ラジカセユーザーにも有効だ。ただ、音楽に対する個人の理想型はかなり異なるので、筆者のイメージを鵜呑みにせず、いろいろなチャレンジを行なっていただきたい。高級機器は超高価でとても手出しができない最近のオーディオワールドだが、インシュレーターはまだまだお小遣い程度でサウンドの変化を楽しめる、昔ながらの楽しい趣味の世界なのだ。


1個あたり耐荷重5kgなので、BOSE AW-1Dには十分 BOSE本体の大きさに比較すると超小さく、使っていると感じさせない自然さが良い
品名 販売元 購入価格
ハイブリッドインシュレーター AT6089CK オーディオテクニカ 1,980円


・ オーディオテクニカ
  http://www.audio-technica.co.jp/


(ゼロ・ハリ)
2003/03/13 11:01

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