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真のグローバル・ビジネスマンは「ZipanG」を腕に!?

Dual Watch「ZipanG」

現地時間が即座にわかる2カ国腕時計はビジネスツールなのだ

大きな文字盤と見やすい針のコンビネーションは、ビジネスツールの基本
 金満大国の日本とはいえ、国税庁の調査では、年収1千万を超えるサラリーマンは総労働人口の10%にもはるか及ばない、というのが現実だ。しかし巷に溢れる20~30代対象のメンズ雑誌を見れば、200万円近くもするブランド腕時計が売れまくっているかのような錯覚に陥る特集記事が目につく。真面目に考えれば、毎日コツコツと働いているヤング・サラリーマンでも、四畳半一間のアパートを借り、車も持たず、3日に1回は銭湯に通い、贅沢をせず、節約に節約を重ね、やっとの思いで60回ローンで買えるかどうかさえ怪しい代物だ。要は、勤労者では無い層が購買層のほとんどなのだ。

 筆者のよく知る米国人が日本に来て、通勤時間帯に地下鉄に乗っているシャネルスーツに身を固め、腕には宝石入りの金無垢ロレックス、出張にでも行きそうな大きなエルメスのバッグを抱えている若い女性を見て、「彼女のリムジンの運転手に今日は何かあったのかな?」と言った。筆者が「多分普通の日本のオフィスガールだ」と答えると、「馬鹿言うな!」という雰囲気であった。これは自分の生活レベルと大きくかけ離れた贅沢品をあまり買い込む習慣の少ない海外に住む人間から見ればしごく当たり前の反応なのだろう。

 どうも日本人の中には「値段が高くて入手困難なブランド品であれば良い商品だ」と思う人が多く、昨今流行の高級腕時計も正にその最右翼の商品なのだろう。同時にこの傾向を助長するペーパーメディアが数多く存在し、これが冒頭のような誤った仮想流行を生み、世界中の時計商人が、とにかく「日本に持ち込めば何でも売れる」という感覚になっている。

 それにつれて、同時に日本は今や「偽物天国」にもなりつつあるようだ。実際に著名なオークション・サイトを見れば、有名海外製ブランド腕時計のジャンルではその70~80%が「偽物」だ。Web上には「友人の海外土産なので、真偽のほどはわからない」といったコメントを出品者自身が書いていることも多い。本物だとしたら数十万以上の腕時計を海外土産にくれる人がいるなら、ぜひ筆者もお友達になりたいものだ。その他、「ご理解のある方のみ、ご購入下さい」、「正規販売店からの購入ではありません」、等々、これらの表現の全ては「偽物」だとハッキリ言っているのだ。出品する側も問題だが、表面上の姿勢は別にして、事実上全くこれらの取り締まりを行なう気持ちのない運営者側にも大きな問題があるだろう。このままではオークションそのものに規制の手が入るのももはや時間の問題だろう。

 そんな金満仮想贅沢国家でも、オリジナリティがあり、価格性能比の優れた腕時計を、共同開発・製造・販売するという「明るいまっとうなムーブメント」も起こり始めている。「無印良品」ではないが、Web上でユーザーが欲しいモノをリクエストして、時にはある程度以上の人数が集まれば、企画・製造に入る仕組みを提供している「たのみこむ」が今回の「本日の一品」である腕時計のプロモーターだ。筆者はこのWeb上のプロジェクトに最初から参加していたわけではないが、途中経過を見ていて、ぜひ購入したいと思った次第だ。


背面には誇らしげに日の丸の旗と、限定300個の個別シリアル番号が刻印されている(写真ではシリアル番号は削除・修正してあります)

ゆっくりモーニングコーヒーを飲んでいる場合じゃない……シリコンバレーのT君に電話しなければ、そろそろディナーに出かけてしまう!
 最近でこそ、海外出張は少なくなってきたが、月に1回くらいシリコンバレーに行っていた頃の悩みの種は、日本に居る時の現地時間であり、現地に出張している時の日本時間だ。日本オフィスのスタッフが仕事を終えて飲みに出る前に、西海岸から電話をして捕まえなければならないことや、定時になるとさっさと帰宅してしまうシリコンバレーにいる現地人スタッフを、日本から捕まえたいことなどは本当に日常茶飯事のことなのだ。ビジネスだけではなく、留守宅に残した家族や、ガールフレンドに連絡を取りたいことは誰にでもあるだろう。

 そういう人達に最も適した時計は、器用な日本のメーカーが必ず発売してそうだが、実は意外にも見当たらない。特にビジネスマンにとっては、一般的に9時から17時までと言われる「ワーキングタイムの幅」の一覧性が重要だ。それも地球の裏側で働いている人たちの現地時間での行動スケジュールを一目瞭然にできることがポイントだ。スッキリと秒針の無い「ZipanG」は一般的な12時間表示+2針の外周表示文字盤の内側に、ひと回り小さな24時間計+赤い短針を持ち、内側の短針を目的地の海外時刻に合わせておくことで、常に現在自分のいるところから目的地の時刻をシンプルに把握できる。当然、海外の現地から日本時間を知るという逆も同様に簡単だ。

 さらに、先ほどの「ワーキングタイムの幅」の視覚的理解を助けるために、文字盤上の24時間計の9~17時の円弧は黄色に着色され、その幅がワーキングタイムであることが一目瞭然だ。また同じ円弧上には、「Night」、「Midnight」、「Morning」と書かれており、多少アクセサリー的ではあるが、これらで目的の現地の状況が簡単に理解できる。限られた予算の中で機能を盛り込んでいったためか、もう少し簡単かつ機械的に目的地の選択・設定などができれば良いと思われる面もあるが、グローバルなビジネスマンが実用的に使うには必要十分な機能がもれなく盛り込まれている。時計の周囲には日本人が良く行く主たる海外都市との時間差が記載されているので、設定時の目安になるだろう。もちろん、その他の国でも日本との時差がわかれば設定は簡単にできる。

 無駄なお金が余っていれば、メディア操作で実力以上に高値を付けている金満時計を買うことも多少は日本の景気回復の役に立つかもしれないが、筆者が腕にしていた「ZipanG」はオフィス内や出張先のあちこちで多くの人目を引き付け、何度も質問を受け、購入した友人も既に2~3人は居る。しかし、筆者が親父から譲り受けた古いデイトナは、どんな時も、殆ど誰にも注目されることもなかったのは紛れもない事実なのだ。自己満足のために高価なブランド時計を買うのは良いが、ただ周囲から注目されたいだけなら、話題に上ることを期待するなら、それは明らかに誤った選択なのかもしれない。

品名 発売元 購入価格
Dual Watch「ZipanG」 たのみこむ 13,800円


・ たのみこむ
  http://www.tanomi.com/


(ゼロ・ハリ)
2003/02/20 11:04

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