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周波数/シェアで接続料格差はあって当然、ソフトバンクが反論
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ソフトバンクモバイルは15日、報道関係者向けに接続ルールに関する説明会を開催した。配布された資料は「周波数特性を中心とした携帯電話事業の真実~ドコモに800MHzを割り当てる必要はない~」と題したもので、同社常務執行役員 渉外本部長の弓削哲也工学博士から説明が行われた。
■ 接続ルールとは
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ソフトバンクモバイルの弓削氏
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携帯電話や固定電話といった通信サービスでは、各社自身が構築した自社ネットワークをユーザーが利用する。ただ、自社ネットワーク内だけでは他社を使う友人とやり取りできないことになるため、各社は互いにネットワークを接続している。他社ネットワークと繋がることで、A社ユーザーがB社ユーザーに電話すると、A社のネットワークとB社のネットワークを使うことになる。そこで、「B社ネットワーク利用料」といった形で、接続料が支払われることになる。
各社のネットワークをどのように接続するか、何らかの規制をすべきか、といった検討が総務省で行われており、各社各様の主張が繰り広げられている。
2009年3月には、通信各社が主張を述べる「合同ヒアリング」が2回開催された。あわせて、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイルはそれぞれの主張を補完する報道関係者向け説明会を開催。4月には、ドコモが「800MHz帯は2GHz帯よりエリア展開で有利」とするソフトバンクモバイルの主張に対する説明会まで開催された。
今回、説明を行った弓削氏は「各社が掲げる数字が食い違っていて整理されていない。事務局(接続関連の委員会をまとめる総務省側スタッフ)に対して、数値を整理したほうが、と提案したが『それではどちらかの企業に肩入れすることになる』と回答され、進捗がない。ドコモさんは800MHz帯と2GHz帯で差がないとしていたが、我々は差があると思っている。(ドコモが差がないと思うなら)今後は当社が800MHz帯をいただいていいかと思っている。殴られっぱなしというわけにいかず、今回反論することにした」と語った。
■ 800MHz帯と2GHz帯に「差はある」
総務省で行われた接続ルールの検討において、議論の対象の1つとなったのが「接続料」だ。他社ネットワークと接続する場合に発生する料金だが、その料金はサービスエリア構築にかかるコストなどで決定されるという。そこで、ソフトバンクモバイルの孫正義社長は「ドコモとauが利用できる800MHz帯は、当社が利用する2GHz帯よりも広くエリアをカバーできる」として、800MHz帯と2GHz帯の両方を使えるドコモ・auよりも、2GHz帯のみのソフトバンクのほうがエリア構築コストが割高になるとしている。
この点については、ドコモが「さほど差はない」という説明を行っていたが、今回の説明会では、「都心部(500m四方以内の人口が1250人以上)では、控えめに見て、800MHz帯と2GHz帯の差は1.1~:1であり、確かにあまり差はない。しかし、住宅密集地域~一般的住宅地(500m四方以内の人口1250人未満)では800MHz帯のほうが面積比で2GHz帯の3倍、山間部では2倍、広いエリアカバーとなる」と指摘する。
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エリア状況に応じた800MHz帯と2GHz帯の違いを説明
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800MHz帯よりも2GHz帯のほうがコスト増になるという
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今回は岡山県真庭市の地図で説明
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ソフトバンクモバイルの基地局は、都心部が2万1000局、住宅地や山間部は1万7000局ずつで計5万5000局となり、同じエリアを800MHz帯で構築する場合、都心部は1万9091局、住宅地は5667局、山間部は8500局と推定されている。基地局のコストは、都心部の方が収容量を多くするため高額になったり、山間部では鉄塔を建てるため基地局そのものは安いが付帯設備工事費が高くつく。基地局数や基地局コストといった要素を考慮して計算すると、2GHz帯は800MHz帯よりも約60%以上のコスト高になる、というのがソフトバンク側の主張だ。
ちなみに、ソフトバンクモバイルの基地局数5万5000局のうち、1万6000~7000局はリピーター(中継局)だ。弓削氏は「リピーターの何が悪いのか。リピーターか、基地局かは、トラフィックの状況などを鑑みて、事業者が選択するもの。トラフィックが少なければリピーターで、トラフィックが増加すれば基地局に切り替えることはある。住宅地や山間部ではリピーターもコストとして入れている」と説明した。
また、ソフトバンクが総務省の合同ヒアリングで提示した「岡山県新見市の事例」は、ドコモ側から「ソフトバンクが新見市の光アクセス基盤の構築を受託した」として、全国的な傾向と異なると指摘した件に関連し、弓削氏は新見市の近隣に位置する岡山県真庭市の地図を示した。同氏は「免許数で言えば、真庭市はドコモさんは66免許、当社は50免許。ただし、ドコモさんの免許のうち16は2GHz帯のもの。実際に基地局が設置されているのは、当社もドコモさんも同じ50カ所。しかし実際のサービスエリアを見ると、白い部分(電波が届いていない不感地帯)は一目瞭然」と述べ、同じ基地局設置箇所でありながら、ドコモのほうが幅広いエリアを構築しており、800MHzと2GHz帯の違いを示した。
■ ソフトバンク流“接続料算定式”
周波数帯の違いに続き、弓削氏は接続料算定の紹介を行った。ソフトバンクモバイルが示す接続料は、「設備コスト(施設保全費等)+間接コスト(管理費等)+資本コスト」を「トラフィック(通話量)」で割り、「ネットワーク外部性追加料金」を加算したものになるという。このうち「ネットワーク外部性追加料金」とは、英国などで採用されている算定方式に基づき導き出される数値で、加入者獲得にかかる費用などが含まれる。シェアの少ないA社が資金を費やして新規ユーザーを獲得すれば、他社ユーザーにとって通話相手が増えて利便性が増す、といった理論でネットワークの維持拡大を補助する資金と位置付けられている。
弓削氏は、「他社の情報は明らかにされておらず、これまで総務省の合同ヒアリングなどで公開された資料をかき集めて推定した」と前置きした上で、ソフトバンクだけではなくドコモやauも「設備コスト+間接コスト+資本コスト」は接続料原価に含むが、ソフトバンクはネットワーク外部性追加料金を、他社は奨励金を接続料原価に含むと指摘した。ネットワーク外部性追加料金も奨励金も似たような性格の費用だが、弓削氏は「ネットワーク外部性追加料金は国際的に利用されている方式だが、他社の場合、営業費用として算定していると我々にはわからないやり方になっている」と述べる。つまり、ソフトバンクの方法は透明性が確保されているが、他社は透明性に欠けるとして、他社の手法は国際的にも認められていない方法であり、認められるべきではないとした。
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ソフトバンクモバイルの接続料算定概要
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ネットワーク外部性追加料金
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各社の接続料算定の内容
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諸外国の状況
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会見終了後、あらためて弓削氏に「ホワイトプランの自網内通話にかかるコストは、他社への接続料でまかなっていないのか」と尋ねたところ、同氏は「よく言われるが、ホワイトプランのコストは接続料に含まれていない」と回答し、他社が抱く疑惑を否定した。なお、接続料の収支(他社への接続料支払額と他社からの接続料収入額)については開示するかどうか検討中として、今回は明らかにされなかった。
このほか同氏は、海外での事例を紹介し、「他国では周波数の違いや、シェアの違いによる接続料格差を認めている。ドイツでは、格差を解消する予定だが、これは現地キャリアがいずれも800MHz帯を割り当てられているため」と述べ、コストベースでの算定に基づき、事業者によって接続料が異なるのは当然との認識を示した。「ドコモとauの接続料は毎年同じように値下がりしているが、1社だけ動きが違う」というドコモからの指摘について弓削氏は、「これまでの格差が小さすぎただけではないか」と述べた。
接続料とエンドユーザーの料金の関係性は、直接的に関連しないと説明されることが多い。弓削氏は「たとえばドコモのタイプSSバリューは、月額980円で1050円の無料通話が可能で、70円分、どこかから持ち出しているようで、接続料より安く料金設定している。もし接続料が値下がりすれば、各社間でやり取りする金額は下がるが、ユーザー料金に相当する部分は増減しない」として、接続料はユーザー料金に一切影響しないとした。
今後、接続ルールに関する議論は総務省を舞台に進められると思われるが、他社と直接対話する機会を設ける考えがあるかどうか尋ねられた弓削氏は「個人的にはシンポジウムのようなものはやっていいと思うが、まだ打診はしていない」と語っていた。
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接続料とユーザー料金に関連性がないことを示す例として、ドコモの料金プランが紹介された
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接続料が変更されてもエンドユーザーの支払う料金に影響はないとした
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■ フォトギャラリー
■ URL
ソフトバンクモバイル
http://www.softbankmobile.co.jp/
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(関口 聖)
2009/05/15 17:35
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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