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ドコモ古川氏、「全キャリアで接続料算定基準の透明化を」
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NTTドコモは3月11日、「接続ルールの見直し」に関する報道関係者向け説明会を開催した。携帯電話の通話料に含まれる“接続料”について、総務省で進められている議論を踏まえて、同社の見解・主張が紹介された。
■ 接続料とは
携帯電話市場の成熟化や固定回線での光ファイバー網の普及が進んだことなどから、総務省では、通信市場の新たな局面に対して、各社のネットワークの接続の在り方について議論を進めている。1月には、接続ルールに関する提案募集を行い、その結果を受けて、2月24日には情報通信審議会に対してルールの在り方を諮問した。その一環として、3月6日には、同審議会の電気通信事業政策部会・接続政策委員会の合同ヒアリングが行われ、NTTドコモなどが意見を述べた。
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ドコモ古川氏
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今回ドコモが開催した報道関係者向け説明会は、3月6日のヒアリングで主張した内容を改めて紹介、補完するものとなった。説明を行った同社企画調整室長の古川 浩司氏は「大きな論点は接続料」と述べ、説明をスタートした。
接続料とは、A社の携帯電話からB社の携帯電話に電話をかけた場合、B社のネットワークを使用した料金としてA社がB社に支払うもの。法律上、ドコモとauは接続料を公表する義務があり、ドコモでは2008年度(2008年4月1日~2009年3月31日)の接続料を1秒0.160円(同一営業区域内)にすることを明らかにしている。たとえば都内にいるソフトバンクモバイルの携帯電話から、横浜にいるドコモの携帯電話にかけた場合、3分間の通話すれば接続料は28.8円かかることになる。
ドコモによれば、接続料の設定方式には、A社とB社がそれぞれ自社網の利用料を設定する「ぶつ切り料金方式」、他社のネットワーク利用料を互いに支払う「エンドエンド料金方式」、互いにネットワークを使うことになるため支払いを行わない「ビル&キープ方式」という3つがあるという。このうち、ぶつ切り料金方式は米国や香港で採用され、「エンドエンド料金方式」は日本や欧州で採用されているという。
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接続料の設定方式
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区域内・区域外で接続料はわずかに異なる
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エンドエンド料金方式の日本では、どのように接続料が決められているのか。先述の通り、ドコモとau(KDDI)は、一定のシェアを保有することから、第二種指定電気通信設備を持つ事業者として、法規制が掛けられている。そのため、両社のみ接続料を公表する義務がある。ドコモの接続料は、営業費用のうち、音声通話にかかった費用を算出し、その中からネットワークにかかるコストを導き出す。ネットワークコストのうち、契約数に応じて発生するコストは、月額基本料で回収し、トラフィックに連動して発生するコストが接続料や通話料などで回収する。法的には、接続料にはコスト+適性利潤を含むことが許されているとのことで、利益を含む形で接続料が算定されている。これまでは費用に販売奨励金が含まれていたが、2008年度の決算以降は、販売奨励金のうち携帯電話端末の販売にかかる奨励金は、通信事業部門ではなく、付帯事業部門として計上することになり、接続料のもとになるコストから省かれることになった。
そのため、2008年度のドコモの接続料は前年より約11%下がっているが、端末販売奨励金も省かれれば、さらに15%以上、下落することになる。ただし、接続料の値下げは、通話料など料金の値下げには直結しない。理論上は値下げ要因の1つと言えなくはないが、現実的には他社との競争で料金体系が決定されることがほとんどのため「接続料値下げ=エンドユーザーの料金値下げ」とは言えないのだという。
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ドコモの接続料算定方法
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端末販売奨励金が省かれることに
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接続料に関する規制。ドコモとKDDIは規制対象だが、ドコモのほうが規制項目は多い
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接続料の値下げ=料金の値下げにはならない
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■ 各社の接続料
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総務省で行われた合同ヒアリングでの資料を元に提示された、各社の接続料
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通常はわからないソフトバンクモバイルやイー・モバイルの接続料だが、古川氏は、6日の合同ヒアリングで公表されたデータを元にグラフにした図表を示した。各社の数値は3分間の通話で換算したもので、さらに関東や北陸など同一区域内の通話と、区域外の通話によって異なる接続料が設定されている。
1年前となる2007年度の数値を見ると、ドコモの場合、区域内通話での接続料は3分32.4円、区域外通話での接続料は3分36.72円だった。KDDIは区域内で3分34.38円、区域外で43.56円、ソフトバンクモバイルは区域内で3分38.7円、区域外で45.36円となっている。
また2008年度は、ドコモの区域内が3分28.8円、区域外が3分32.4円で、KDDIが区域内3分31.5円、区域外3分39.24円、ソフトバンクモバイルは区域内外ともに約5%値下げする予定となっている。また、2008年3月より音声通話サービスをスタートしたイー・モバイルは区域内外という区別なしで、3分29.34円となる。なお、固定電話(NTT東西)の接続料は3分6.41円となっている。
古川氏は、諸外国との料金比較でも日本はさほど高いレベルではないとしたほか、各社の接続料の差を取り上げて「当社とソフトバンクを比べれば、ソフトバンクモバイルの接続料のほうが約1.3倍ほど高い。規制される事業者と、規制されない事業者との接続料の差が拡大している。これでは、『他社携帯・固定にかけても30秒20円』という統一的な料金設定が困難になる。エンドユーザーからすれば、携帯電話番号を見ても、ドコモ宛なのかソフトバンク宛なのかわからない。接続料がバラバラ過ぎると、ひいてはユーザーの利便性に支障が生じる」と述べる。
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固定電話の接続料と携帯電話の接続料を比較した諸外国のデータ
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諸外国との料金比較
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これらの説明を受け、報道陣から「ソフトバンクモバイルの接続料算定は、ドコモと同じルールではない、と考えているのか」と尋ねられた同氏は、「結果から言えば、同じルールではないと思っている。2008年度の接続料を5%低減するとのことだが、その根拠を明らかにする義務はなく、“適正な原価に沿った形で計算する”という法規制がない。規制がないこと自体が問題だ。全事業者において接続料算定基準の透明化を図ることが重要であり、透明性が保たれた結果として接続料に差が出ても、コスト自体に差があるため仕方ない」と語り、透明性の確保および全事業者での適用を求めていくとした。説明会終了後に、報道関係者に囲まれた古川氏は「ドコモからソフトバンクモバイルに対して支払っている接続料は、100億円単位のレベル。トラフィックとしては同じくらい」と説明していた。
■ MNO同士のローミング/MVNOには規制を
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総務省の議論では、大きく分けて4つのテーマが掲げられている
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それぞれのテーマに関するドコモの主張
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接続料と同じく議論が進められている「ローミング等のルール化」について、古川氏は、「ドコモとしては新規事業者を対象にすべきで、既存事業者への提供は法的に強いられないものにすべき。また設備を貸し出すとしても期限を設けた形にする。鉄塔などの共用はできる部分から行ない、既に自主的に進められている」とした。
同社では、イー・モバイルに対して5年間という期限を設けてローミング協定を締結しているが、古川氏は「期間については客観的な基準に沿うのが納得を得られやすい。イー・モバイルは免許付与の際に5年間で人口カバー率50%と総務省から示されていたため、“5年間”“人口カバー率50%”を基準としている。そのため、イー・モバイル側のエリアが人口カバー率50%以上になった地域から、県単位でローミングを外している」とした。
またウィルコムがドコモ網を借り受けることについては、「いろいろと議論はあったが、携帯電話市場とPHS市場が同一市場か、という論点がある。総務省からも全体的には移動体市場だが、携帯・PHSは部分市場と結論が出されていて、同一市場とは言い切れない。法的にも携帯とPHSは役務などが異なっている。ただ、移動体、という枠組みは同じなので貸出期限を決めて、ウィルコムが次世代PHSのネットワークを構築するまで、“5年間”“人口カバー率50%”というところは課しており、そういう契約になっている」とした。
同じ携帯電話事業者から、ドコモ網を借り受けたいという要請は、これまで寄せられていないとのことだが、古川氏は一般論として「事業者として免許が与えられた以上、自ら設備を構築し、事業を展開することが大原則。それが日本のモバイル事業の発展のために必要なこと。そして、エリアは競争の重要な要素の1つ。一方、新規事業者はハンデがあるため、ローミングは合理性があること。そのため、時限的にして設備を提供する。ただ、提供側にもメリットがそれなりに生じさせる仕組みが必要ではないか。MVNOに対しては、設備の相互接続が義務付けられているが、同じ市場にある携帯電話事業者からの貸出要請があったとしても、法律で認められている“競争上多大なる支障が生じる”という理由で、拒否できる」とした。
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接続料に関する主張
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ローミングに関する主張
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■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
■ 関連記事
・ ドコモ、2008年度の接続料を改定
(関口 聖)
2009/03/11 15:43
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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