アドビシステムズは、携帯電話向けFlash Playerの最新版「Flash Lite 3」がNTTドコモ、ノキアの新機種で採用されたと発表した。同社は、プライベートイベント「Adobe MAX Japan 2007」の開催前日にあたる31日、都内で報道関係者向け説明会を開催した。
Flash Lite全般の動向については、米本社モバイル&デバイスエヴァンジェリストのビル・ペリー氏から説明が行なわれた。また、モバイル&デバイスビジネスユニットでプロダクトセールスエンジニアの岡田学氏からは、Flash Lite 3の特徴が紹介された。
■ Flash Lite 3の特徴
旧版との比較表。赤字で記された部分が新機能
アドビの岡田氏
正式発表の半年以上前、2007年2月の段階で米アドビは、「次期Flash Liteで動画再生(FLV)をサポートする」と発表した。「Flash Lite 3」そのものは、10月に入って正式に発表され、米国で開催されたイベント「Adobe MAX」でその概要が紹介されている。
プレゼンテーションを行なった岡田氏は、前バージョンでは未サポートで、「Flash Lite 3」で取り入れられた新機能をまとめて紹介した。1つは、デスクトップ用Flash Player 8相当であること(Action Scriptは2.0のまま)、そしてFlashコンテンツ(SWFデータ)入りのHTMLをFlash Lite 3のクライアントソフト(Flash Lite Player)からデスクトップ版と同様に閲覧できることだ。
また、大きな特徴となる動画再生については、FLV形式をサポートし、動画コーデックは米On2 TechnologiesのVP6とSorenson Sparkがサポートされている。どちらもデスクトップ版Flash Playerでは既に採用されているコーデック。音声コーデックは従来通りで、MP3とPCMやハードウェアでサポートするコーデックとなっている。Flash Lite 3対応の携帯電話で、動画再生機能も用意されていれば、YouTubeのような動画投稿サイトが利用できる。
このほか、透過表示にも対応し、表現力の向上が図られている。また、サーバー「Flash Media Server」(FMS)への接続も可能となっており、Flashで表現した通信対戦ゲームが実現できる。FMSの対応により、ストリーミング再生が可能となっている。エンドユーザーから見ると、全ての動画データをダウンロードしなくても、受け取った分から再生したり、好みの部分から再生(シーク)したりできるというメリットがある。また、動画配信事業者からすると、端末側に動画データが残らず、課金システムとの連携などが可能になる。Flash Playerとしてのファイルサイズ(コーデック含まず)は、Flash Lite 2.1では640KBだったところ、Flash Lite 3は380KBとなっている。
これらの特徴、新機能の搭載については、最終的にキャリアやメーカーが判断するとのこと。Flash Lite 3搭載でありながら、FLV再生は非対応となる可能性もある。今回、ドコモとノキアでFlash Lite 3が採用されることになったが、アドビ側からは「いつ対応機器が出てくるか、あるいはどういった機能が実装されるかは言えない」と説明された。また他キャリアでの展開については今回触れられなかった。
ペリー氏は「現在、Webサイトで用いられている映像で、70%以上がFLV形式。Flash Lite 3でFLVをサポートしたことで、今後に期待できるし、パソコン向けとなっていたWebサイトを携帯電話から閲覧できるようになる。既に携帯機器でも、より迅速に各種サービスが利用できるよう、端末内にポータル機能が搭載されはじめている。このあたりはアドビにとってチャンスと言える部分であり、ユーザーにとっては受け身で情報を得るだけではなく、すぐに情報を取り込めるようになるということ。動画に関しては、日本市場は今後どうなるか興味深い」と述べた。