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英シンビアンCEO、最新版の特徴や今後の展望を語る

英シンビアンCEOのクリフォード氏

英シンビアンCEOのクリフォード氏
 シンビアンは17日、都内で記者会見を開催し、英国本社CEOのナイジェル・クリフォード氏と、日本法人代表取締役社長の久晴彦氏から、Symbian OSの現状などが紹介された。


シンビアンの現状

3つの“C”をポイントに挙げた

3つの“C”をポイントに挙げた

英国本社では、日本市場での2,000万台出荷を祝うイベントが行なわれたという

英国本社では、日本市場での2,000万台出荷を祝うイベントが行なわれたという
 クリフォード氏は、携帯電話の重要な点として「機能性(Capability)」、「融合(Convergence)」、「利便性(Convenience)」という“3つのC”があると指摘。これらが組み合わさった携帯電話は、たとえばデジタルカメラ機能が普及し、個人向けデジタルカメラよりもよく利用されるようになるといった現象を引き起こしていると説明した。

 同氏は「2007年にはスマートフォンの出荷数はデスクトップパソコンを超えた」として、今後の携帯電話開発には、安定性やカスタマイズが簡便なことなどが求められ、オペレーターがソフトウェアのプラットフォーム作りに邁進する現状に振れた。「NTTドコモはプラットフォーム開発のパイオニア。プラットフォーム化によってコスト低減や市場投入への期間短縮などが実現した」とした。

 グローバル市場のシェアが72%に達し、日本市場では2007年5月に累計出荷台数が2,000万台を突破したことを紹介したクリフォード氏は「シンビアンにとっては、日本は売上の25%を占める重要な市場。過去4年間を振り返ると、最初の3年で1,000万台の出荷だったが、次は1年で1,000万台増加した。このようなダイナミズムが日本市場にはある。このことは、英国本社でもスタッフに寿司などをふるまって祝った」と述べた。ちなみにシンビアン本社内では「Japan Day」と題するイベントが催されるとのことで、その際には日本国内の携帯電話が紹介されるという。このような機会は「英国に拠点を置くシンビアン本社には、日本人スタッフはおらず、英国人が多くを占めており、重要な市場である日本を理解し、イメージを伝えるために重要なこと」(久氏)だという。


日本での2,000万台出荷がトピックの1つとして紹介された 日本市場を例に、Symbian OS搭載端末は3カ月ごとのリリースで新機能を搭載していることなどが紹介された
日本での2,000万台出荷がトピックの1つとして紹介された 日本市場を例に、Symbian OS搭載端末は3カ月ごとのリリースで新機能を搭載していることなどが紹介された

日本法人の久氏

日本法人の久氏
 3月に発表された最新版のSymbian OS v9.5についてクリフォード氏は「当社は、次にミドルクラスのマスマーケットを狙う。v9.5によって広範な市場に対応し、コスト効果が高いソリューションを提供していく。その一方で、先進的なマルチメディア機能も登場することになる」とした。v9.5における重要なポイントとしては「デマンドページング」という機能が挙げられた。これは、Symbian OS上でアプリケーションを動作させる際に必要なコードだけを呼び出すというもの。これにより、アプリ実行に必要なメモリ量が少なくて済む、あるいはよりリッチなアプリケーションを実装するといったことが可能になるという。

 競合OSについて尋ねられたクリフォード氏は「ミドルクラスのマスマーケット向けOSでの競合を意識している」とコメント。これについて日本法人社長の久氏は「日本ではかつてμITRONを採用するメーカーが多かったが、海外メーカーは独自OSでローコスト端末を提供している。このあたりのOSが競合」と説明した。その一方で、久氏はノキアの「E90」を手にして、「このようなキーボート搭載端末を見ると、Windows Mobileを想起されるかもしれないが、実はSymbian OSが採用されている」と紹介した。

 また久氏は、日本国内のSymbian OS搭載端末が2005年に14機種、2006年に21機種、2007年はこれまでに16機種リリースされていることなどに触れ、ローエンドからハイエンドまでサポートできるOSとアピールした。


3月に発表されたSymbian OS v9.5 パフォーマンスやメモリ管理などが改善されている
3月に発表されたSymbian OS v9.5 パフォーマンスやメモリ管理などが改善されている

クリフォード氏インタビュー

クリフォード氏は、日本市場からの影響などを語った

クリフォード氏は、日本市場からの影響などを語った
――最新版のv9.5ですが、いつごろ対応機種が登場する見込みでしょう?

 今後1年程度で登場すると見ていますが、最終的にはメーカーが判断することですね。

――ユーザーからすると「Symbian OSって?」と、よくわからないこともあります。どういった機能を提供しているのでしょう?

 一言で言えば「全て」ですね。たとえば音楽再生中に電話がかかってきた場合、音楽再生機能をポーズしたり停止したりしながら通話させたりします。メールしながらブラウジングしている最中の着信についても、どの機能をどういうタイミングで実行するか決定します。またユーザーインターフェイスでカメラ機能が選ばれれば、APIを通じてハードウェアを呼び出します。そういった機能を担っているわけです。またバージョンアップしても、これまでのAPIは機能し続けるようにしています。端末メーカーが一度ユーザーインターフェイスを作り上げれば、そのソースは再利用できるという点もメリットの1つでしょう。

――日本では累計台数が2,000万台を超えましたが、日本市場がシンビアンに影響を与えた点は? あるいはシンビアンが日本市場にもたらした物は何でしょう?

 日本のコンシューマーは非常に物を見る目があると思います。そういう面で、シンビアンでは品質、性能にフォーカスしてきました。もう1つは、日本市場のバリューチェーンは、携帯電話で電子チケットや電子マネーが利用できるようになるなど、統合型の環境を作り上げました。これは将来に向けた示唆を与えてもらったと思います。一方、シンビアンからは安定した先進的なOSを供給することで、端末メーカーは他社との差別化を図れるようになり、同時にコスト低減や開発期間の短縮化が実現しました。

 携帯電話を、サービス、高速通信、開発コスト、デバイスという4つの要素で見た場合、高度なサービスが定着すれば高度なデバイスに繋がっていくと思いますが、日本市場はいずれも揃っています。英国本社では、AQUOSケータイやBRAVIAケータイが話題になったくらいです。

――シンビアンでは今後、ミドルクラス以下のマスマーケットを狙うとのことですが、OSそのものが高機能版と廉価版という形になることはあるのでしょうか?

 それはまったく考えていません。ミドルクラスのユーザーもいずれは、今のハイエンド端末で実現できる機能を体験したいと考えるでしょう。v9.5ではパフォーマンスを向上させ、メモリ管理機能などを改善させていますが、こういった進化で更なるコストダウンをはかります。たとえば、ライセンスの価格を下げるほか、OS周辺のAPIなどに互換性を持たせることでローエンドのハードウェアでもSymbian OSの各種機能がきちんと動作するようにすることでもコストを下げられます。コストダウンによって、1種類のOSでもハイエンド・ローエンドをカバーできると考えています。

――今後はどう進化するのでしょう?
 マルチメディア機能やエンタープライズ向け機能、そして低コスト化。またはパフォーマンスの向上といったところでしょうか。

――ありがとうございました。



URL
  シンビアン(英文)
  http://www.symbian.com/

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(関口 聖)
2007/07/17 19:54

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