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KDDI決算、携帯事業好調で営業利益は過去最高

KDDIの小野寺氏

連結業績
 KDDIは、2006年度通期(2006年4月~2007年3月)の決算を発表した。携帯電話事業が中心となって好調を維持し、2006年度も増収増益を記録した。

 連結ベースの業績結果は、売上げ高が対前年比9.0%増の3兆3,353億円となり、2年連続で3兆円を超えた。営業利益は16.2%増の3,447億円で、はじめて3,000億円を突破した。純利益は、対前年比2.0%減の1,867億円となっている。

 業績発表を行なったKDDIの代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は、増収増益の背景として、好調な携帯電話事業が固定電話のマイナスを吸収したと語った。auとツーカーを合わせた携帯電話事業の業績は、売上高が対前年比6.7%増の2兆6,774億円、営業利益が対前年比8.8%増の3,857億円の増収増益。固定通信事業は、パワードコムとの合併などにより、売上高は対前年比15.3%増の7,144億円となったが、営業利益は490億円と増収減益に留まった。なお、固定事業の赤字幅は縮小しており、2005年度の613億円の赤字で底を打ったとの見方が示された。

 また、2007年度(2007年4月~2008年3月)の業績見通しも明らかにされ、連結ベースでは、売上高が2006年度比4.9%増の3兆5,000億円、営業利益が13.1%増の3,900億円とした。

 なお、2007年度の設備投資額は、連結ベースで5,000億円となる見込みで、このうち携帯電話事業は3,700億円。2GHz帯や800MHz帯の再編をにらんだ設備投資が実施される予定だ。


携帯事業の業績 固定通信の業績

決算総括 設備投資

2007年度の業績見通し 2GHz帯への設備投資が拡大

携帯事業はMNP導入後も堅調に推移

KDDIの純増
 2006年度の携帯電話事業をふり返ると、3月末の累計シェアは29.1%(au:28.2%、ツーカー:0.9%)、年度純増シェアは55.8%(275万契約)とトップシェアを記録した。また、MNPによる純増数は81.6万契約(au:85万3,000万、ツーカー:-3.7万契約)となった。auの2006年度下期の純増数は、通常の増加に加えてMNPで獲得した85万3,000契約が上乗せされた格好で、au単体のMNP転出入は、ポートインが115万、ポートアウトが29万7,000契約となっている。

 小野寺氏は、MNPの転入数は当初の予想よりも小さかったとしたが、市場が活性化したことで、新規ユーザーの獲得に貢献したと説明。ただし、2007年度通期ではこの状況もシュリンクするとの見方を示した。

 なお、2007年度のauの販売コミッション(インセンティブ)は、2006年度から1,000円減少の36,000円となる見通し。小野寺氏は「MNPだからといって、コミッションを大きく下げない」とコメントしていた。ARPUについては、2006年度の6,610円(音声4,590円、データ2,020円)から、2007年度は6,150円(音声:4,100円、データ:2,050円)に減少する見通し。同社では、音声ARPUが560円減、データARPUが130円増との推定値を示している。

 端末に関する取り組みとして、2007年内にも新たな端末プラットフォームを投入するとした。これまでのKCP(KDDI Common Platform)から、「KCP+」となり、共通化部分を拡大する。こうした開発コストを削減する取り組みを通じて、コスト競争力を強化したい考えだ。なお、新プラットフォームはクアルコムのベースバンドチップ「MSM7500」が採用されている。

 今期の携帯電話事業の目標は、これまで小野寺氏が語ってきた「総合的な商品力の強化」をさらに進めるとともに、3,000万契約、シェア30%を達成するというもの。また、法人向けソリューションなどにも注力するとしている。


auの下期純増の内訳 解約率が低下

2010年度には売上げ4兆円、営業利益6,000億円に

チャレンジ2010
 小野寺氏は、KDDIの今後の目標として、「チャレンジ2010」を説明。このスローガンの下、同社では、今後、あらゆるサービスで顧客満足度No.1を目指し、2010年度に売上高4兆円、営業利益6,000億円を達成したい考え。

 そのための展開として、今後、コンシューマー向けの携帯電話事業を堅調に成長させる一方で、モバイルソリューションやコンシューマー向け固定通信を黒字化させる。さらに、コンテンツメディアビジネスや、法人向けのソリューション事業にも注力し、2010年に向けた目標を達成する方針だ。

 小野寺氏は、「チャレンジ2010」の数値目標について、「危機感があるからこの数字になった。現在、auを中心に比較的順調に動いている。こうした中、社内で目標を失うことが最大の危機となる。新しい領域で売り上げを増やさなければ4兆円は難しい」とコメント。好調に推移する業績の中であえて厳しい目標設定を行なったとした。

 なお、携帯電話事業はKDDIのコア事業になるとし、携帯電話事業を中心に事業を拡大していく方針。異業種との協業も検討しているという。


売上げ4兆円、営業収益6,000億円を目指す 携帯事業を核に他事業を拡大

コンテンツ・メディア事業に注力 FMBCの展開

法人にも個人にもシームレスな通信環境を提供

インセンティブで得をするのは実はローエンドユーザー

2007年度のコミッションは36,000円
 また、小野寺氏は、総務省で議論されているモバイルビジネス研究会についても言及した。

 同氏は「まだ結論が得られておらず、先行きは見えていない。そのため、2007年度への影響は考慮していない。ただし、KDDIでは、NTTドコモ、ソフトバンクの競争環境が今後も変わるとは思わない。研究会の結論によっては、メーカーや販売店や代理店への影響が懸念されるのではないかと考えている」とした。

 さらに、インセンティブの話題について、携帯電話を頻繁に購入するユーザーの影響で、長く使い続けているユーザーが損をしているという論調に対し「誤解がある」とコメント。小野寺氏は、「実態は違う。端末を頻繁にかえる人はARPUも高く、半年以上使わなければペイしない。実は一番メリットを得ているのは、ハイエンドの端末を使っているローエンドのユーザーだろう」とした。同氏の説明によれば、1円に値下がりしたハイエンド端末を購入し、通話もデータ通信もほとんど使わない人にこそメリットがあるとした。


経営陣に若手起用、次世代の経営陣育成

 このほか、決算では、新任取締役に執行役員 ソリューション事業統轄本部長の田中孝司氏と、執行役 コンシューマ事業統轄本部長の高橋誠氏が内定したことも報告された。6月の株主総会を経て就任する予定。

 これに伴って、取締役の牛尾治朗氏と代表取締役の山本正博氏は退任する。牛尾氏は、第二電電(DDI)、KDD、日本移動体通信(IDO)の3社が合併し、KDDIが設立された際の会長で、現在ウシオ電機の会長職も務めている。山本氏はKDDIの執行役副社長。

 今回の経営陣の刷新の目的について、小野寺氏は「若手を登用することで、次の世代の経営陣を育てていきたい」とコメントした。



URL
  KDDI IR情報
  http://www.kddi.com/corporate/ir/library/result/

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(津田 啓夢)
2007/04/24 20:27

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