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NEC 矢野薫社長
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NECの矢野薫社長は、5月29日に行なった就任後初の同社経営戦略に関する社長会見の中で、パナソニックモバイルコミュニケーションズと、同分野における協業強化について言及した。
これまでにも、第3世代携帯電話の開発で提携関係にあった両社だが、矢野氏は「米TI(テキサス・インスツルメンツ)を含めた3社による協業に関して、詰めをはじめた。パナソニックとは、より協業を深める形で具体的な検討に入った段階にある」として、携帯電話の開発および製品化において、同社との関係がより深まることを示した。
矢野氏は、「両社のブランドを統合するといったことは得策ではないと考えている。ブランドはそのままで、それぞれにNECらしさ、パナソニックらしさを生かす製品を開発しながら、スケールメリットを生かすことを考えたい」と語った。
同氏は提携強化の具体的内容については明言を避けたが、「この事業は、スケールメリットを生かさないとやっていけないのは事実。具体的な検討内容について言えないが、私がこの提携は結果が出ると申し上げているように、スケールメリットの点などで成果が期待でき、実行できるスキームはある。両方のトップが行けそうだと思っており、10年後に生き残る製品の1つとして携帯電話があるのは共通の認識でもある。そう遠くない時期にお話しできる」として、話し合いが急ピッチで進んでいることを窺わせた。
また、同氏は「誰もが考えつく提携の形として」と前置きしながらも、「開発のほとんどの部分を一緒に行ない、最後の部分でNECとパナソニックが、それぞれに各社らしさを出したものを製品化すれば、開発費の削減や、開発期間の短縮といった効果を出せる。基幹部品を共同調達することでのメリットも出る」と述べた。
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携帯端末事業の改善施策
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ブランド統合に関しては「それぞれのブランドに対する顧客の期待があり、統合するメリットがない」としたほか、事業統合に関しても「意味がないと考えている」として、出資や事業体制の統合まで含めた提携ではないことを強調した。
だが、一部報道にあったように、LSIの開発などについて、合弁で会社を設立するといった出資を絡めた提携については、「1つの選択肢として、そういった合弁会社を作るということも考えられるかもしれない」などと語った。
スケールメリットの追求がこの提携強化の狙いとなるが、ワールドワイドで見れば、そのスケールメリットはまだ小さいといえる。「確かに世界のビッグプレイヤーに比べるとまだ小さい。だが、まずは日本で勝たないと、その先の話も出てこない。国内でスケールメリットを生かして、新たな技術開発にも投資を行ない、もっと新しい製品、もっと新しい使い方を提案してかなければならない。まずはしっかりと日本で勝てる体質を、この提携によって確立する」とした。
一方、矢野氏は、NEC全社の懸念事業として、半導体事業とともに、携帯電話(モバイルターミナル)事業を掲げているが、「とくに海外における携帯電話事業の取り組みに反省がある。技術力を過信して、マーケットの変化に対応する力がなかった。日本と欧州とはマーケットの性格が違うのに、それを理解し、パラレルに事業を走らせる力がなかった。ただし、ここにきて、市場の同質化が始まっており、変化してきている。2006年度は、開発プロセスの改革による開発費の低減によって、機種あたりの開発費を2004年度に比べて4割削減する。また、海外については、採算性重視をベースに機種の絞り込みや事業の絞り込みを行なう」と述べた。
■ URL
NEC
http://www.nec.co.jp/
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(大河原克行)
2006/05/29 18:43
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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