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ドコモ第3四半期決算、最終利益は大幅減

NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏(左)と常務取締役の宇垣義昭氏(右)
 NTTドコモは、2005年度第3四半期までの9カ月間の連結決算を発表した。営業収益は前年同期比1.7%減の3兆5,822億円、営業利益は7.7%の6,935億円、税引前利益は35.1%減の8,112億円、当期純利益は31.7%減の5,164億円となった。

 営業収益のうち携帯電話収入は前年比13億円減の3兆1,303億円。また、営業利益は、579億円の減少となっているが、「902iシリーズの好調ぶりなど、FOMAへの移行進展、5,000万台キャンペーンによる販売促進費、代理店手数料の増加による端末販売関連収支の影響として340億円、電池パック無料サービスおよび無料故障修理サービス期間の延長の影響で約100億円、社内システムの更改に伴う耐用年数の圧縮の影響で約100億円が、前年にはなかったマイナス要素となっている」(NTTドコモ・中村維夫社長)としている。

 FOMAは単価が高いため、movaシリーズに比べて、代理店手数料が積み増しになっていることも影響しており、「702iシリーズでは、90Xシリーズに比べて、10,000円以上のコストダウンを図ることができるため、代理店手数料の引き下げにも寄与する」と、今後の70Xシリーズの普及に期待を寄せている。

 また、最終利益が大幅な落ち込みとなったのは、前年にAT&Tワイヤレスの売却益5,018億円が計上されたためと説明した。

 なお、同社では、2005年通期の純増シェアでは52%を獲得し、市場第1位を獲得したと説明。「新料金プラン、端末製品の強化が、他社との競争力強化につながった」としている。

 さらに、中村氏は、FOMAへの移行が進んでいることをに触れ、「12月31日時点で2,013万契約に達し、FOMAの累計比率は40%に達した。現在の出荷比率は、FOMAが2に対し、movaが1。来年度はもう少し基地局への投資を強化する必要があり、FOMAのエリア拡大、通話品質の拡大が、ナンバーポータビリティにおいても大きな意味を持つ。第3世代電話の契約者数では、まもなくauを追い越せるのではないか」と自信を見せた。ちなみに、auの12月末時点での第3世代携帯電話の加入者数は2,058万契約となっている。


ポイント 決算概況

パケ・ホーダイ対応料金プランなど拡張

解約率はさらに低下

パケ・ホーダイもサービス拡張
 今回の決算のなかで注目されるのが、解約率の低減とARPUの下げ幅が少なくなっている点だ。

 解約率では、第3四半期実績で0.72%となり、第1四半期の0.80%、第2四半期の0.81%をさらに下回る水準となっている。「低い水準で推移しているのは、今年11月に実施される番号ポータビリティ待ちではないかとの見方も一部にはあるが、当社の調査によると、そうした影響は少なく、むしろ、料金施策などの顧客重視の戦略の効果が出ているためと見ている」(中村氏)としている。

 また、ARPUに関しては、第3四半期が6,920円となり、第1四半期の6,940円、第2四半期の7,050円からは下がっているものの、対前年同期の増減比では第1四半期、第2四半期が、それぞれ6.2%減、4.0%減であったのに対して、第3四半期は3.5%減に留まり、「減少率は着実に縮小している」とした。

 第3四半期のトピックスとしては、11月から開始した新料金プランが、提供開始2カ月で1,128万契約に達し、23%のユーザーが選択しているとしたほか、12月1日から開始したファミ割ワイドも、約18万契約に達し、「新規契約者の32%を占めており、新規顧客の獲得にも貢献している」とした。

 さらに、9月9日から開始した「iチャネル」は、1月22日に100万契約を突破。10月13日から開始した「トクだねニュース便」は12月末に114万契約に達したという。「今後は、トクだねニュース便からiチャネルへと移行がはじまるかもしれないが、低トラフィック利用者層の利用底上げには寄与している」と効果を示した。

 おサイフケータイについては、1月26日時点で1,000万契約に到達したことや、三井住友銀行とのクレジットカードサービス「iD」の導入、モバイルSuicaサービスの開始など、サービス範囲が拡大していることに触れるとともに、「おサイフケータイ機能を902iシリーズに標準搭載したことで、さらにリアルとの連携利用が加速することになる」と語った。

 また、今後の展開としては、本日付けで発表したパケ・ホーダイの利用可能プランの拡大に触れ、「これまで周波数帯域の問題や、競合相手の問題を見ながら検討を重ねてきた。だが、今回、契約対象プランを広げても大丈夫であるという見通しが立ったことで拡大した。今年3月からサービスを開始するが、これまでのパケ・ホーダイの契約者を見ても、新規契約者が40%に達しており、新規顧客獲得という点で、今回の対象サービスプラン拡大は大きな意味がある」と期待を述べた。

 3月には、子供向けのキッズケータイ「SA800iシリーズ」を投入する予定で、防犯ブザーやワンタッチでダイヤルが可能な直デンとともに、いまドコサーチ、ファミ割ワイドとの組み合わせで、子供向けの拡販を図っていく方針も明らかにした。

 さらに、WiMAXに関する取り組みにも言及。中村氏は、「これまで関心があると述べるに留まっていたが、NTTグループとして実証実験に臨むという観点から、まずはドコモがこれに参加することになる。そこに固定電話が一緒にやるという形になるだろう。詳細は固まった段階で話すことになるが、早ければ来月にも実験を開始したい」と前向きに姿勢を見せた。


ARPUは改善傾向 これまでの取り組み

「ファミ割ワイド」は順調に推移 おサイフケータイ拡大

各社への投資状況を説明

出資とその狙い
 一方、同社では、加速している投資戦略についても改めて説明した。

 「三井住友カードおよびタワーレコードの出資に関しては、おサイフケータイの普及に伴うコンテンツの強化という狙いがある。また、楽天オークションでは、モバイル向けのオークション市場の拡大という狙いの上で出資した。フジテレビジョンへの出資に関しては、ワンセグデータ放送への対応とともに、長期的な視点での理由もある。2008年の免許更新時にどんなことが追加されるのかといったことが注目されており、ワンセグ放送の将来に向けた布石でもある」とした。

 また、海外キャリアへの投資に関しては、韓国のKTFに10%の投資をしている理由として、「ローミングの観点が大きく、韓国では3社のうち2社がCDMA方式を採用しており、ドコモと同じW-CDMAはKTFだけである。日本からの渡航者の利便性を確保するためにも投資は必要だった」と説明。

 一方、本日付けで発表したフィリピンのPLDT社への出資に関しては、「PLDTが、携帯電話事業を行なっている子会社のSMARTの事業拡大を進めており、今回、固定電話事業のNTTコミュニケーションズから7%を譲り受けた。PLDTが持つ31%の株式と、NTTグループが持つ14%の株式に、あと6%を上乗せすれば、51%の株式を取得でき、安定的な経営基盤が整う。今回の出資はそこまで視野に入れたもの」とした。フィリピンにおけるiモードライセンス収入や、W-CDMAの普及、現在、ボーダフォンに委託しているフィリピンにおけるローミングサービスの移管などのメリットがあるとしている。

 携帯電話向けの基本ソフトを開発しているACCESSへの追加出資や、アプリックスに対する出資については、「基本共通ソフトの安定的で、永続的な体制の確保や、高度化するサービスへの迅速な対応の上で不可欠」だとした。


MNPではブランド価値が重要に

 質疑応答では、ナンバーポータビリティの実施や新規参入組の影響について触れ、「ナンバーポータビリティ(MNP)で重視されるのは、ブランド価値であり、すべてがここに凝縮されると考えている。端末、料金、サービスといったブランド価値を高める部分に力を注ぐ。また、日本の利用者は、つながらない場所があると目をつぶってくれず、あらゆる完璧を求める傾向がある。新規参入組はその点で苦労をするのではないか。今年は当社と新規参入組が戦う、という年ではないだろう」とした。

 一方、2007年度第3四半期でのPHSサービスの停止については、「PHSは、300万ユーザーがいないとペイしない。そこまでの数字が見込めず、赤字のままでは事業を続けられないと判断した。また、設備も老朽化しており、これを更改すると4,000~5,000億円の新たな投資が必要となる。こうした投資もできないことから停止を決定したものである。PHSの既存基地局については、携帯電話サービスで利用できるものもあるので有効に活用していきたい」としたほか、第2世代携帯電話サービスの継続についても触れ、「2012年7月に停波が決定しているが、いまの利用者がどのくらいの期間までを使っていくのか、新製品の投入をどうするのかといったことを検討して、時期を決めていきたい」とした。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/

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(大河原克行)
2006/01/31 20:14

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