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携帯周波数の検討会、既存組・新規組ともに「我々に割当を」

 4日、総務省において携帯電話向けに割り当てられる予定の1.7GHz帯、2.0GHz帯、2.5GHz帯、および800MHz帯の再編に関する「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」が開催された。

 第2回会合となった今回は、NTTドコモ、KDDI、ボーダフォンと既存事業者のほか、ソフトバンクBBやイー・アクセス、アイピーモバイル、平成電電と新規参入を希望する4社からそれぞれ代表者が出席し、周波数の取り扱いに関する意見が述べられた。平成電電に関しては、今回新たに携帯電話事業へ新規参入を求めていくことが明らかにされた。


既存3社「新規周波数は既存優先に割当を」

 新規事業者の携帯電話参入についてNTTドコモ、KDDI、ボーダフォンの3社の意見は、全体的に「新規参入は排除しない」という方向だが、その前提として「800MHz帯、あるいは新たに割り当てられる周波数帯は既存事業者を優先すべき」としている。また細かな部分でそれぞれの主張は異なっている。

 NTTドコモ代表取締役社長の中村 維夫氏は、GSM方式を採用する欧州各国のユーザー数とPDC方式のドコモのユーザー数を比べて「GSM方式より1.7倍効率よく、ユーザーを収容している」と同社の実績を紹介したほか、今後FOMAへの移行が進むに従って、2006年度末頃にはFOMAのユーザー数がPDCより上回り、ユーザーのパケット通信量が飛躍的に増大するとの見通しを示した。

 これらの点から、2GHz帯でFOMAサービスを提供する一方で、800/900MHzもFOMAに使用し、1.7GHz帯についても2006年度までにFOMAへ利用できるよう割り当てを求める意向だ。


 KDDI代表取締役社長の小野寺 正氏は、まず日本の携帯電話業界の流れを紹介。PHSを含めて数多くの企業が参入し、その競争結果が現在の状態であるとした同氏は、船舶電話サービス「マリネット」やデータ通信サービス「テレターミナル」など、既に廃止されたサービスに触れ、「携帯電話事業は巨額な設備投資が必要。ユーザーに不利益をもたらさないためにも新規参入する企業は、技術的・経済的基盤がしっかりしていなければならない」とした。

 周波数の割当について同氏は、「将来の発展に柔軟に対応できる形が望ましいが、ケースバイケースで判断すべき。また細切れに周波数を割り当てられても投資効率などで問題がある。たとえばFDD方式による新規事業者には15MHz×2を割り当てるべきだろう」との意見を示した。


 ドコモ中村氏、KDDI小野寺氏ともに周波数帯の特性についても触れた。ドコモ中村氏は「都市部では高密度で基地局を配しているため、周波数による伝播特性の差は少ないが、地方では基地局間の距離が大きく、影響が出る」としたほか、KDDI小野寺氏も「2GHz帯の基地局でカバーできる半径は800MHz帯の70%になる」と語り、2GHz帯よりも800MHz帯のほうが携帯電話事業においては有利とした。なお、KDDI小野寺氏は「高周波数帯であれば、アンテナサイズは小型化できるため、設備コストの低減が見込める」と、2GHz帯にもメリットがあるとした。


 ボーダフォン常務執行役 経営企画本部長の五十嵐 善夫氏は、「現在ボーダフォンには、2G(PDC方式)向けに1.5GHz帯、3G(W-CDMA方式)向けに2GHz帯を割り当てられているが、他の2社と比べて2G向けでは割り当てられた周波数帯は狭く、3G向けは他の周波数が利用できない」と説明し、既存事業者の中でも不利な立場にあるとした。

 このため同氏は、1.7GHz帯など新たに携帯電話用に周波数が割り当てられる場合は、優先的にボーダフォンへ割り当てて、まずは公平な競争条件を整えるべきとした。新規事業者の参入については「この検討会は新規参入の是非を議論する場ではない。2005年春に明らかにされる予定の総務省による携帯業界の競争状況評価を待ってから議論すべきで、現在は時期尚早」とした。


より一層の競争環境を求める新規参入各社

 一方、携帯電話事業への新規参入を求める各社は、「現在の状況は寡占状態」との見解に基づき、「新たな周波数は新規事業者に割り当てられるべき」と、より一層の競争環境実現を求める姿勢だ。

 アイピーモバイル取締役の竹内 一斉氏は「1.7GHz帯、2GHz帯の新たな周波数は新規事業者に割り当てるべき。ただし、700/900MHz帯や2.5GHz帯、1.7GHz帯のうち20MHz×2の割り当てについてはITU-Rや日本国内でも統一した見解が出ておらず、留保すべき」としている。

 イー・アクセス代表取締役社長の千本 倖生氏は、「固定通信市場は、約1,700万加入で市場規模は約7,000億円だが、地域系を含め300社以上が競争している状態。一方、携帯電話市場は約8,400万加入、市場規模は8.5兆円に達する規模となっているにも関わらず、3社しかいない」と説明。通話料や利用料についても、初期のころに比べて、DDI(現KDDI)などの参入によって値下がりしたものの、それ以降は高止まりしているとした。

 既存事業者が「周波数が足りない」と主張していることに対して千本氏は、「現在、既存3社には計232MHz与えられており、8,400万というユーザーを収容している。単純に考えれば1MHzあたり36万人となる。既存3社に与えられている2GHz帯を見れば、ドコモが20MHz×2、KDDIが15MHz×2、ボーダフォンが20MHz×2となっており、当面はこれだけで充分だ」と述べ、新周波数は新規事業者へ割り当てるべきとした。

 また同氏は新規事業者の数や割り当てる周波数帯域の判断基準について、電波の利用効率や市場性、海外事例などを踏まえるべきとしたほか、周波数割当の過程は透明性・公平性が確保されなければならないとした。


 平成電電代表取締役の佐藤 賢治氏は、移動体による音声およびデータ通信サービスを全国で提供するとの意向を明らかにした上で、「携帯発固定着の通話料設定権問題で、既存各社はユーザーの不利益や、収益の悪化などを理由にして設定権は携帯電話側にあるべきと主張していた。しかし、実際に固定側の設定による通話サービスが開始されても、携帯各社の収益は悪化しておらず、ユーザーの不利益になったということもない。今回、周波数の割り当てについても主張している内容は設定権問題のときと同じだ」と既存各社の姿勢を批判した。


ソフトバンクBB孫氏、「我々は一歩も引かない」

 新規参入を巡って、総務省を提訴しているソフトバンクBBからは、代表取締役社長の孫 正義氏が説明を行なった。

 まず同氏は「新規参入は必要というコンセンサスは得られたと認識している。そしてその企業は健全な経営体質が求められているということも共通した認識だろう。また、今回の検討会でドコモ・KDDIの2社が“800MHz帯のほうが2GHz帯よりも有利”としたのは非常に重要だ」と指摘。

 孫氏は「800MHz帯を含めて、“聖域はない”として欲しい。聖域化するのは独禁法などに違反すると言わざるを得ず、1.7GHz帯だけ話せば事の本質を見誤る。我々は800MHz帯で一歩も引くつもりはない」と力強く語ったほか、現在の携帯電話業界についても「ドコモとKDDIの上位2社だけで80%を占めており、完全な寡占状態。特にドコモが半数を占めているのは、場合によっては分割が必要ではないか」とした。

 さらに同氏は、800MHz帯の取り扱いについて「これから3Gへの移行が進み、800MHz帯から2GHz帯にユーザーが移ると、800MHz帯はどんどん空いていく。再編は必要だが、その後は、新規事業者にも同じ条件で参入できるようにするのがフェアだ。またドコモは独占時代であった電電公社時代に800MHz帯を得ている。将来的な需要を見込んで余分な周波数を求めるのではなく、使いきった後に追加要望すべき」と語り、総務省の方針通り、800MHz帯はいったん再編されるとしても、既存事業者を優先せず、新規事業者にも割り当てるべきとした。

 今回、各社から披露された意見を元に、11月8日に開催される次回の検討会では構成員による意見交換が行なわれる。



URL
  携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/keitai-syuha/

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(関口 聖)
2004/11/04 15:13

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