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au、携帯向けアプリケーションプラットフォーム「BREW」導入
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左から、クアルコムのPaul E.Jacobs氏、中国聯合通信の尚 冰氏、KDDIの小野寺正社長、KTFのHan Hoon氏、日本IBMの内永ゆか子氏
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KDDI(au)は、同社の提供する第3世代携帯電話サービス「CDMA2000 1x」に、CDMA携帯電話向けに開発されたアプリケーションプラットフォーム「BREW」を導入することを発表した。これに伴なって29日、都内で記者発表会が行なわれた。
KDDI小野寺社長、今後BREW端末の拡充を明言
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KDDIの小野寺正社長
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BREWは、米クアルコムが開発したCDMA携帯電話でアプリケーションを開発・利用できる環境。現在日本では、ダウンロード可能なプログラムの実行環境としてezplusやiアプリなどJavaを使ったプラットフォームが採用されているが、バーチャルマシン(VM)上で動作させるということから起動に時間がかかるほか、セキュリティ上の問題から電話帳データなどの携帯電話のコア部分にはアクセスできないようになっていた。これに対し、BREWでは、同プラットフォームを採用する携帯電話向けのネイティブアプリケーションが開発可能で、動作も速く、これまでにないようなアプリケーションの登場が期待されていた。
記者発表ではまず、KDDIの小野寺正社長より挨拶があった。同氏はこの中で、BREWアプリケーションのダウンロードに対応した端末の1号機となる東芝製端末「A5304T」が2月下旬に発売することを明らかにした。また、韓国ですでにBREW端末を提供しているKTFや、中国の通信事業者である中国聯合通信にBREW開発元のクアルコムを加えた4社で、BREW採用キャリアを拡大させるためのグループ「BREW Operator Working Group(仮称)」を発足させることも発表した。
同グループでは、BREWの共通プラットフォームを構築し、相互にアプリケーションを流通させるための話し合いが持たれるという。記者発表の席では、KTFの Vice PresidentのHan Hoon氏や、中国聯合通信の副総裁 尚 冰氏、そしてクアルコムのWireless & Internet Group Group PresidentのPaul E.Jacobs氏がそれぞれ挨拶を行なった。
小野寺氏は、BREWの導入にあたって以下のような特長を挙げた。ひとつは、中国・韓国などのBREWを採用する通信事業者間で、アプリケーションの相互流通が可能となり、海外のアプリケーションが迅速に提供できる点。もうひとつには、アプリケーションの開発が柔軟に行なえることから、企業の業務システムと携帯電話を密接に連携させたモバイルソリューションが提供できる点。このほかアプリケーションの起動が早いため、位置情報サービスやゲームなどのコンテンツがより快適に利用できる点にも触れた。
なお、法人向けのサービスにも注力するにあたって、auでは日本IBMと共同開発で法人向けのBREWミドルウェアサービス「BREW Business Profile」を開発し、今春にもサービスを開始することも明らかにされた。発表会では、日本IBMのソフトウェア開発研究所長の内永ゆか子氏がこれに関して挨拶を行なった。内永氏によれば、同サービスは、日本IBMのモバイル機器向けのインフラ・ミドルウェア「WebSphere(ウェブスフィア)」のファミリーという位置付けになるという。
KDDI高橋氏、BREWの概要について説明
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KDDI ソリューション事業本部コンテンツ本部コンテンツビジネス部長の高橋誠氏
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auで具体的に導入されるサービスについては、KDDIのソリューション事業本部の高橋誠氏より説明があった。
高橋氏はまず、簡単にBREWの説明を行なったあと、BREWによって実現されることを語った。アジア圏を中心としてアプリケーションが流通し、企業ニーズに即したカスタマイズが可能になるほか、BREWがC、C++といったメジャーな開発言語を用いるため、快適な開発環境も提供できるとしている。
なお、アプリケーションの開発キットは公開されているものの、BREWがハードウェアの深い部分に抵触するため、アプリケーションの検証やダウンロードに関してはauが行なう。つまり、いわゆる勝手サイトでのBREWアプリの提供はできないことになる。検証には数週間程度の期間が必要とのこと。
また、同氏は「BREW Operator Working Group」についても説明。同グループでは、日・韓・中で開発環境や著作権、ダウンロードの仕組みといったものをアジア圏共通のものとなるよう活動していくという。具体的には今後、仕様の統一やアプリの流通させるための具体策を1カ月に1回話し合いを行ない、まとめるとしている。
このほか高橋氏は、法人向けのサービスに関しても実例を示しながら述べた。同氏は、法人需要に答えるために重要なこととしてセキュアな環境の整備を挙げ、スケジュールの確認や顧客情報、インスタントメッセンジャーなどの機能を企業ごとにカスタマイズして利用できるとしている。BREW端末を使って、設備監視や、営業・外回り業務、運行・集配管理、医療関連のほか、様々な法人需要が見込めると抱負を語った。
日本IBMと共同開発する「BREW Business Profile」では、IBMが開発したミドルウェア「WEA」(WebSphere Everyplace Access)を利用した企業内サーバーなどとの連携が可能。同システムが導入されている企業へ、オフラインによるブラウジングおよびフォーム入力機能のほか、データベース機能や、サーバーから差分データだけが自動で更新される「サーバ・シンク機能」、インスタントメッセンジャー「IMクライアント機能」などが提供される。
もちろん、コンシューマー向けのアプリケーションも用意され、BREW導入とともに発表された「A5304T」では、プリセットアプリケーションとして、メールソフト「ハートメール」やナビタイムジャパン提供によるナビゲーションソフトなどが提供される。auでは、現在コミュニケーション系およびメール系のアプリケーションに注目しており、ナビゲーション機能に関しても引き続きBREW端末で力を注いでいくという。
同氏はさらに、KTFのアプリケーションがauでも使えるようになるなど、BREWの仕様を統一させることによって海外のアプリケーションも使える点なども述べた。発表会では、実際に韓国のサッカーゲームを言語だけ変えてauでも利用できることをデモンストレーションした。サービス開始時に20~30弱のアプリを用意し、今後順次拡充させていくとしている。
「A5304T」の場合のBREWアプリの購入方法は、端末に用意された「アプリキー」を押して、BREWアプリ購入メニュー「BREWアプリカタログ」を選択、続けてアプリケーションを選択するという手順になる。
なお、個々のアプリケーションのデータサイズについては、Javaのアプリケーションと同じ内容のBREWアプリを用意した場合、一概には言えないが、ほぼ同等だという。
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BREW導入とともに発表された東芝製の「A5304T」
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「A5304T」のポジショニング
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法人ユーザー向けのソリューションをビジネスマンの1日として実例紹介
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KTFで提供されているサッカーゲームを日本語に変えるだけでauでも利用できる
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小野寺氏、「KDDIはオープンなものを取り入れる」
発表会の質疑応答では、現在auが提供しているJava(ezplus)端末との位置付けの違いについて、回答を求められた。auによれば、ベースバンドチップ1チップで開発する場合はBREW、SH-mobileなどが搭載される場合はJava端末という位置付けで端末がリリースされ、今後リリースされる端末の半分程度がBREW端末になるとのこと。なお、今年のBREW端末の販売目標を実用機で500万台、ハイエンド機で200万台を見込んでいるという。
また、法人ユーザー向けサービスへの注力に関して、auでは、現在同社の法人ユーザーが5~10%で、個人ユーザーよりも法人ユーザーのARPUが高いこともあり、倍増するだけでかなりの貢献になるというメリットを強調している。
最後に、今後の海外への展開についてコメントを求められた小野寺氏は、「KDDIはWAPなどオープンなものを取り入れる」とし、「iモードのように海外へ投資してリターンを求めるのではなく、サービスは競争するが通信事業者同士で協調することにより、auのノウハウを世界へ広げていきたい」と語った。
・ ニュースリリース
http://www.kddi.com/release/2003/0129/index.html
・ ニュースリリース(BREW Operator Working Groupについて)
http://www.kddi.com/release/2003/0129-1/index.html
・ KDDI小野寺社長、BREWの本格導入を示唆
・ 第66回:BREWとは
(津田 啓夢)
2003/01/29 17:19
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